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私たちの分析結果から適正だと思われる、つくば駅周辺の駐輪場のあり方を提案する。
【背景】
現在つくば駅周辺の市営駐輪場は第一区画を除いて料金設定が一律である。そのため駅の入り口に近い駐輪場から順に埋まっていき、最も遠い図書館前の駐輪場などほとんど使われていない駐輪場が出てきている。これは距離と料金の適正な設定ができていないことが原因だと考えられる。そこでアンケート調査で駐輪場の位置と料金に関するシミュレーションを行い、その結果から料金と距離の基本的構造を導き出した。
【ターゲット】
この提案に関してはつくば駅周辺で最も駐輪場利用の多い、つくば駅利用者を主なターゲットとしている。料金設定の中心につくば駅を置いているのはそのためである。
【内容】
つくば駅周辺の有料駐輪場の料金を以下のように設定する。
1.各駅出入り口から徒歩1分未満=150円
2. 〃 徒歩1〜2分圏内=100円
3. 〃 徒歩2分以上=50円
【期待される効果】
この料金設定にすることにより、料金より距離を優先する人は駅から最も近い(1)を選択し、料金より距離を優先する人は3.を利用するようになり、利用者のニーズに対応することができる。また、既存の料金設定ではあまり利用されていなかった図書館前の有料駐輪場なども、この提案を実現すればより利用されやすくなり、これだけでも多少ではあるが駐輪場の不足が解消されると考える。
【背景】
実態調査から、つくば駅に隣接している駐輪場は利用率がすぐに100%を超えてしまい、その後違法駐輪の数が増加していたこと、また時間別の利用台数の推移から超過需要だということがわかった。そのためつくば市では現在駐輪場の増設計画をたてているが、その計画内容では無料駐輪場をなくしたり、距離に関係なく料金が一律だったりと、私たちが分析から導き出した利用者のニーズを満たせていない。そこで、市の計画と合わせて、新しい駐輪場の増設を提案する。なお、駐輪場の料金設定は提案6.1を参考にする。
【ターゲット】
つくば駅に隣接している駐輪場を主に利用している利用者、つくば駅北側に住む学生。
【内容】
1.現在の駐車場を駐輪場に変える
車1台のスペースに自転車を8台駐輪できると算出した(下図)。
2.駅近くに新たな駐輪場を増設する。
北1駐車場の一角を利用して、立体駐車場を建てる。1階部分は自転車用、2階部分は自動車用として利用すれば、収容台数を変えることなく駐輪スペースを確保できる。(現在、駅前駐車場は土日になるとどこも混雑する。) なお、この駐輪場は定期利用100台分、一時利用300台分と設定した。
3.無料駐輪場の設置
北2駐車場の50台分を400台分の無料駐輪場(徒歩4分とどの駐輪場より遠いため)に変更する。
【期待される効果】
この提案により、駐車場の台数はわずか50台分しか減少しない一方、駐輪場の台数は800台分の増設になる。これにより、まず駅に隣接している駐輪場の超過需要に対応できる。また、学生は他の利用者のなかで最も料金に対する抵抗が強いため、そのニーズにこたえるために徒歩4分程度の距離に無料駐輪場を設置する。そしてこの駐輪場は学生がより住んでいる駅の北側に設置する。これにより、より学生が無料駐輪場を利用しやすくし、駅近くにおける違法駐輪の抑止にもつながり、学生のニーズを満たすこともできる。
【背景】
現在、つくば市では違法駐輪対策として月に2回撤去活動を実施している。しかし、変換手数料は1000円と低く、さらに撤去活動を行っているのが平日限定となっており、違法駐輪コストは最大でも1ヶ月2000円となっている。それに比べて、駐輪場を利用した場合定期利用でも1ヶ月2040円もかかっている。あきらかに駐輪場を利用するより、違法駐輪したほうが低コストである。しかも、違法駐輪は駅近くに多く発生していて、適正に駐輪場を利用している利用者より利潤を得ている。私たちはこれがつくば駅周辺で発生している"歪み"の原因の一つであると考え、問題解決のためには撤去リスクを引き上げることが必要だと考えた。
【ターゲット】
撤去リスクが上がれば違法駐輪しなくなる利用者。
【内容】
1.毎週1回ランダムで撤去活動を実施する。
2.変換手数料を1回につき3000円と引き上げる。
最大違法駐輪コストは3000*4=12000円となる。
【期待される効果】
撤去頻度を増やし、返還手数料を引き上げることで撤去リスクを大きくすることができる。その頻度と手数料の決定は、違法駐輪コストが駐輪場利用コストを大きく上回るように設定することで非常に効果的に、違法駐輪を減らすことができると考えられる。さらに商業施設内でも撤去活動を実施することにより、放置自転車による駐輪場の混雑を解消できると考えられる。
【背景】
アンケート結果より学生は無料駐輪場を利用する傾向が強く、また目的地からの距離よりも料金を優先する傾向があると分かった。このことから学生には低料金の駐輪場を提供することが必要であると考えられる。
【ターゲット】
学生(筑波大学生)
【内容】
1.つくば駅徒歩1〜2分圏内の駐輪場において学割制度の導入
2.筑波大学生が多く来る、つくばセンター北側に駐輪場を整備
徒歩1〜2分圏内としたのは、学生は目的地から近く料金の高めな駐輪場(徒歩30秒圏内)より、遠くても安い駐輪場を使う傾向があるためである。また学割制度を導入することで、より一層低料金な駐輪場を提供できる。また学割で割り引いた分は、大学循環バス定期券のように大学が負担する(図32)。
【期待される効果】
料金に対して抵抗の強い学生のニーズにも対応でき、学生の駐輪場利用率が向上し、結果として学生による違法駐輪台数の減少が期待できる。
【背景】
つくば市では今後の駐輪需要増加に合わせ、新たな駐輪場を設置する計画を立てているが、それらは有料のものが多い。そんな中、商業施設の駐輪需要に対応するために現行の状態(無料)で、商業施設の駐輪場を増設していくとしたら、駅利用者が今後ますます商業施設の駐輪場を使うようになり、商業施設における違法駐輪問題は解決しない。そこで、つくば市の計画にあわせて、商業施設の駐輪場も有料化することが必要だと考える。また、施設利用客の負担を小さくすることや、施設周辺に好条件の駐輪場を整備することで、各駐輪場利用者に適した駐輪場を利用するように促す必要があると考える。
【ターゲット】
商業施設利用者と駅利用者かつ商業施設駐輪場利用者
【内容】
1.自動ゲート精算式を取り入れて、出入庫の手間を省く。
2.施設利用者のニーズを満たすために、3時間までは無料の駐輪場とする。
3.3時間以上の利用者には駐輪料金を徴収するシステムとする。ただし、施設利用客には、サービス券を発行する。
4.駅利用者にとって条件の良い駐輪場を商業施設周辺に整備する。
【期待される効果】
商業施設駐輪場の有料化により、施設利用をしない駅利用者の駐輪を抑制することで、施設利用客が駐輪場を十分に使えないという事態を防ぐことができる。同時に施設駐輪場の周辺に、駅利用者にとって条件の良い駐輪場を整備することで、駐輪場利用の分散を計ることができる。具体例としては、施設駐輪場の利用料金を150円、周辺の市営駐輪場の利用料金は100円とすることで、施設利用者以外は市営駐輪場を利用するように誘導することができる。
【背景】
2.2.1住所と駐輪場、目的地を結ぶ動線図の結果から、全体の約10%以上に無駄な利用があることがわかった。また、アンケート調査内の不満に関する項目や自由記述欄においても、「駐輪場の場所がわからなくて困った」という意見があり、駐輪場に関する情報量が不足していることが明らかになった。そこで私たちは、駐輪場の無駄な利用を減らし、適切な駐輪場利用を促すために、新しい情報発信の方法を考えた。
【ターゲット】
駐輪場の認知度が低い利用者
【内容】
上図のような案内板をつくば駅の南北にそれぞれ設置する。
案内板の操作表示に従い、目的地・利用時間などを選択すると、利用に適した駐輪場が地図上に表示され、表示された駐輪場を選択すると、その駐輪場の料金・目的地までの距離などの詳細情報が表示されるような仕組みを導入する。
【期待される効果】
駐輪場を探す際の手間を省くことで、利用者の不満を解消することができる。また、適切な駐輪場利用が促進されることで一部の駐輪場の混雑が緩和され、周辺の違法駐輪も抑制することができる。
【背景】
実態調査から休日の定期駐輪場利用率は全体的に低く、例えば西路上での一時利用駐輪場は休日には利用率が100%になり(図18)、付近での違法駐輪まで発生している状態となっている。それに対し、西路上の定期利用駐輪場では利用率が30%にも満たず(図17)、空きが目立っている。そこで定期駐輪場の一部を休日のみ一時利用者にも開放することで、一時利用者のための駐輪スペースを増やし、休日の需要変化に対応することを提案する。
【ターゲット】
路上駐輪場満車時にその付近に違法駐輪する利用者、また休日の駅やセンター利用者
【内容】
定期駐輪場を休日のみ一時利用として利用する方法として、定期利用の契約を、
(1)一般定期利用:平日・休日どちらも利用可
(2)平日限定定期利用:平日のみ利用可
の2種類とする。定期利用駐輪場にこの2種類の駐輪スペースを設けて区分することで休日は平日限定定期利用者側のスペースのみ、一時利用者が利用できるようにする。
【期待される効果】
休日のみ定期駐輪場の一部を定期利用から一時利用に転換することで空いている定期利用スペースを一時利用者にも提供できる。それにより、それまで付近で多発していた違法駐輪の軽減も期待できる。また、休日の定期利用率の低さはほとんどの駐輪場に当てはまること(図17)から、今後定期利用の駐輪場が増設される際にもこのような傾向が見られることが予想される。そこで、新たに増設される駐輪場にも定期利用兼一時利用を取り入れていくことで休日に増加する一時利用者への対応が可能となる。
現在のつくば市には既存の駅周辺の駐輪可能台数は2260台である。それに対して、つくば市の予定増設台数と提案の増設台数の合計は約1800台である。つまり、今回の提案が実現することで、つくば駅周辺では合計4060台の自転車が駐輪可能になる。この数値は平成27年のつくば駅周辺における自転車予測需要台数(つくば市算出)の約3937台をカバーすることができる計算になる。
今回の調査から私たちは、以下の7つの提案をする。
【今後の展望】
今後、以下の内容を検証していくことで、本研究の有用性が高められる。
(1)距離と料金設定が実際のニーズを満たさなかった場合、ニーズの再検証の必要性
今回の調査で導き出した距離と料金設定は、単純なシミュレーションによる分析だけだったので、果たしてそれが実際のニーズを満たしているかを検証する必要がある。
(2)プランターの設置、ポスターの掲示等、ソフト対策による違法駐輪抑止効果の検証
今回の調査では違法駐輪防止対策として「ソフト対策」は有効ではないという意見が多かったが、調査方法の問題で被験者に対し十分にソフト対策の意味などが伝えられなかったため、アンケート調査ではなく、ソフト対策に関しては社会実験を行って検証する必要があると考える。
(3)駐輪場内の設備の充実による駐輪場利用促進効果の検証
実施したアンケート用紙の中で、駐輪場を選択する際優先する項目として「駐輪機能以外の付加サービス」の優先度を聞いたのだが、その優先度は非常に低かった。これは、被験者にその言葉の意味が十分に伝わらず、駐輪機能以外の付加サービスにどんなものがあるのか想定できなかったことが原因だと考えられる。なので、これに関してもソフト対策と同じようにモデル駐輪場のようなものを作り、実態調査を行う必要があると考える。
(4)TXと連携した取り組みの可能性の検証
つくばセンター周辺の駐輪場で発生している違法駐輪問題の主な原因はTX開通に伴う、急激な駐輪需要の増加にある。なので、つくばセンター周辺の駐輪問題を考える際TX側との連携は重要なポイントになってくる。しかし、TXは自転車問題に関してほとんどなんの調査も行っていない状況で、今回の研究ではTXとの連携した取り組みを検証することができなかった。しかし、現在でも研究学園駅の高架下のスペースを利用して駐輪場を整備するなど少しずつであるが取り組みは行っている。なので、これからさらにTXとの連携した取り組みを検証していく必要があると思う。
(5)コスト面から見た、本改善案の実現可能性の検証
本改善案は、利用者のニーズに即して作成したものなので、駐輪場の管理者の立場では考えていない。なので、撤去活動にかかる費用や、駐輪場の管理費用などを計算し、利用者側の観点も取り入れより実現性のある提案につなげていく必要がある。