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基本構想Basic Concept

基本構想の設定

 図B-1左より、将来的に土浦市の人口は減少すると推計されています。一方で、土浦市都市計画マスタープラン[b-1]においては、近年の一時的といえる人口増加の傾向から、将来目標人口は推計人口よりも高く設定されています。既存の行政サービスの維持のためには、人口減少は極力避けなければならないため、私たちはこの土浦市が設定している将来目標人口に近づけることを目標とします。

 そもそも、人口はその増減に関して2種類に分類することができます。一方は自然増減、もう一方は社会増減です。自然増減は、出生と死去による人口の増減を現していて、日本全体として人口減少の傾向があるため、土浦市も同様に人口の自然減少は避けられません。しかしながら、社会増減、つまり他の行政自治体との転出者数・転入者数の関係によって左右されるものは、土浦市がその増減を唯一コントロールできるものです。

 転入者数から転出者数を差し引いた社会動態という指標を導入して、土浦市の社会動態の推移をみると、図B-1右のように、令和元年以降社会動態が正の値をとる(=転入超過)ようになっています。その内訳は、転入に関しては、県北地域からの転入者が多数を占めており、転出に関しては、東京圏や近隣自治体への子育て世帯の転出が目立っています。

 一方で、現在の転入超過の状況は、県北地域からの転入者の多さに依存していると解釈することもできます。他の市町村でも同様に人口の自然減少が進む中で、この県北地域からの転入も一時的な可能性があり、現状に満足せず、東京圏や近隣自治体への転出者数を抑えることが、人口を将来目標人口に近づける私たちの目標の達成には必要不可欠になります。

 また、転出者数を抑えることに関して、一時的な転出者数を抑えることではなく、長期的な転出者数を抑えることに重点を置きたいと考えます。例えば、一度東京圏へ転出した若者が、数年後家庭を持つようになり、土浦市にUターンすることを考えれば、長期的に見れば土浦市に定住しているといえるでしょう。

図B-1 土浦市が設定している将来像と現状
(「土浦市都市計画マスタープラン」[b-1]、「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査」[b-2]より)

 以上を踏まえて、土浦市の将来目標人口に近づける目標(=人口減少を緩やかにする)の達成のためには、長期的な転出人口を抑える必要があり、これは定住やUターンの意向を高めることに等しいといえます。したがって、私たちの基本構想は「暮らしやすさを“もっと”向上させる」ことに設定し、それらの意向を高めることをねらいます。また、空間の使い方の変化(例えば、建物の新規建設や再開発、公共交通のルート再編など)に限った施策の展開だけではなく、時間の使い方の変化(例えば、公共交通のルートが変更になることで実現される行動の変化)も効果の想定に入れた施策の展開を行います(図B-2)。

図B-2 私たちが掲げた目標の達成までのフロー

[b-1]土浦市:土浦市都市計画マスタープラン(2025年2月17日閲覧)

[b-2]「政府統計の総合窓口(e-Stat)」、住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査(総務省)