全体構想


公共交通中心の交通計画、都市機能の集約化の2点を成し遂げる解決策の全体構想は土浦駅、神立駅、荒川沖駅と新治地区、おおつ野地区の2地区に交通拠点を設置し拠点間を繋ぐバス路線を充実させ、この5つの交通拠点に都市機能を集約させることである。

これによって、交通弱者を市外に逃がすことなく、都市機能の拠点集中によって経済活動の活発化、商業の衰退の防止が可能となる。


費用効果


拠点集中の必要性を考えるためにその効果を概算する。コンパクトシティ形成効果の費用便益評価システムに関する研究(2007,高橋,出口)において仮想都市モデルを作成し効果を計算している。これを土浦市に適用し計算したところ30年間の便益が803.5億円となった。しかしこれではインフラ整備維持費用や環境負荷の面から効果を測定しており、市民の交通手段転換による交通費削減効果が計算されていない。そこでこれについても計算を行った。

車の1kmあたり費用とバスの1kmあたり費用の差に交通手段転換率と平均移動距離を乗じて便益とした。また自動車からバスへの転換率は前述のコンパクトシティ形成効果の費用便益評価システムに関する研究(2007,高橋,出口)での数値や地方都市と三大都市圏での自動車分担率の差から15%とした。その結果1れると予測する。ここで削減された費用が他の消費に回ることで市の経済が活性化する経済効果が期待できる。これを土浦全体30年間で計算するとおよそ146.8億円の経済効果となる。


都市整備税の導入


公共交通中心の交通を成し遂げるうえで必要となってくることは、運行本数が増加しても乗車数が少なければ運行が難しくなるため、現在自家用車中心で移動している人に公共交通にシフトしてもらうことが必要不可欠である。現行のバス路線は運賃が非常に高いうえに、本数が少なく利便性が低いという問題がある。これに対して、都市整備税を導入しバス運賃を無料化し、交通拠点整備にあてることで可能となってくる。税という形で事前に徴収することで公共交通を利用するインセンティブとなり、又運賃無料化によって自家用車に対しコスト面での大きな優位性を持たせることが可能となる。

都市整備税については土浦市地域公共交通網形成計画からきららちゃんバスの1kmあたりにかかる経費を計算(3000円/km)し、バス運行にかかる予算は、
(拠点間のバス運行距離×年運行本数)×3000(円/km) =約4.5億円
となり、交通拠点整備に約10億円かかり、これを年1億円の支払いとすると
5.5億円/土浦市20~64歳人口=6875円
これを12か月で割ると、一人当たり月572円の都市整備税の徴収で、交通拠点整備とバス運賃無料化が可能となる。