新交通拠点(新治・おおつ野)

新治とおおつ野は、駅となっているほかの拠点とは異なり、新たに拠点となる場所を整備する場所である。具体的には、車とバスを乗り継げる交通拠点となるように、駐車場とバスターミナルを設ける。そして、乗り継ぎ場所としての機能だけでなく、買い物や医療など、日常生活の場としての機能を備えている拠点を目指す。この二つの地区について、新治には「新治ショッピングセンター さん・あぴお」が、おおつ野には土浦協同病院や、(個人経営の)クリニック数軒、さらにスーパーマーケットが、病院の周辺に点在している。拠点をこれらに近い場所に設置することにより、既存施設の機能を活用することができ、整備費を抑えることができる。双方の拠点にはさらに、多目的広場を設け、農産物など物品の販売など、イベント等での活用が可能な広場を設ける。地域住民の交流の場を創出することで、拠点地域の地域活性化を図る。

二つのバスターミナルについて、想定される事業費の内訳は、いずれも次のとおりである。
用地費(地盤改良等含む):1憶円
建物:0.5億円
バスターミナル(車路・歩道):1億円
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計:2.5億円
よって、2つ合わせて5億円を見込んでいる。

-おおつ野-

おおつ野の拠点は「スーパーマルモ おおつ野店」に隣接した場所に設置する。
交通拠点はスーパーやドラッグストアに隣接しており、買い物の利便性が図られる。また、拠点から徒歩10分のところに土浦協同病院をはじめ、複数のクリニック・薬局などの医療施設が集積している。このように、おおつ野は交通・医療・買い物の機能がそろう拠点となる。

-新治-

新治の拠点(バスターミナル)は、国道126号沿いの、利用されていない森林の一角を活用し整備する。ショッピングセンターさん・あぴおから徒歩5分の場所に設置することにより、日常の買い物や飲食の利便性が高い交通拠点を目指す。

新治農業拠点化計画 ~新治~

新治地区は農業従事者が多く、農地1つにつき住居が1つという都市形態であり、これが交通拠点に人口を集約するうえで大きな課題となってくる。そのために、農地を集約し大規模農業を行い、住居を拠点に集約することが必要となる。このためにまず、新治地区に多く存在する耕作放棄地を土浦市が買収したのち集約し、企業を誘致することで大規模集約農業を新治地区全体で集約的農業を推進する。集約的な企業による農業で雇用を生み出すだけでなく、個人事業主としての農業ではなく労働者としての新規農業従事者を生み、更に集約的農業により規模の経済が働き生産効率を上げることが可能となる。

下の図は新治地区のとある地点の耕作放棄地をまとめたものであり、青点は耕作放棄地、灰色の点は経営耕地である。この青点の耕作放棄地をまとめると下の画像のようになる。下の画像からわかるように、耕作放棄地を集約することは可能であり、こういった集約できる耕作放棄地は新治地区で多く見ることができた。周辺の農家で引退を考えている農家の耕地を集めるなどしてより、広大な農地を確保することが可能となることが予想できる。


青:耕作放棄地 灰:経営耕地

神立工業団地拡張 ~神立~

神立駅周辺地区には「神立工業団地」があり、工業の盛んな地域となっている。また土浦市の法人税・固定資産税の50.9%、は工業に由来し、市内総生産の27.6%は工業が占めている。また土浦市内の人口のうち約10%が工業従事者である。このことより土浦市において工業は人口、財政面を支える重要な分野であり、神立はそれらを支える拠点となりうる。

現状、神立工業団地の土地はすべて売れている状態である。しかし、常磐自動車道に近いことによる都心へのアクセスや高度な研究機関の集まる筑波研究学園都市に近いという立地は工場を建てるための魅力は十分にある。そこで我々は新規の工場建設による税収と雇用の確保を目的とした神立工業団地の拡大を提案する。神立地域には未利用地が多く存在し工場を建てる土地は十分に存在するが、今回は新たに建設されている道路沿いの未利用地において具体例を提示する。対象地は㈱日立製作所インダストリアルの工場の南側にある土地である。

費用と効果

分譲価格は茨城県南地域の工業団地7か所の平均値である23,571円/㎡とする。また立地する工場の規模は土浦市の観光資源の一つである自転車の工場、ブリヂストンサイクル(株)上尾工場が十分収まる大きさの90,000㎡とする。土地売却時、市は21億2139万円の収入を得る。また一年目の課税標準額を建設費用と土地の価格の7割とし、建設費用を日本の平均工場建設費135,000円とすると固定資産税は139,859,622円となる。

また工場が新設されることにより増える雇用はブリヂストンサイクル(株)の総従業員数1025名のうち上尾工場勤務を各工場の規模から推察、約3割とし300人とする。令和元年1月から12月にかけて減少した土浦市の人口は846人なので300人はその約35%である。また先ほど例に挙げた自転車工場などを建設すれば地場産業を創出し地域への経済効果もさらに大きなものになる。

事前復興計画 ~土浦駅周辺~ 

土浦駅を拠点に人口や都市機能を集中させていくことは土浦市にとって必要なことは先述したが、同時に土浦駅周辺の浸水の影響を高めることにもつながる。桜川が氾濫し家屋が浸水すると、単純な経済被害だけでなく住む場所を失った人たちが土浦市を去る可能性がある。事実、2015年9月に鬼怒川氾濫による被害を受けた常総市では水害後、人口流出が加速した。桜川の氾濫および、氾濫による浸水対策は必須である。浸水後、復興が速やかに行われず住み慣れた土地を離れる人は少なくない。浸水被害による人口流出が起きれば拠点集中による市の将来像も実現できなくなってしまう。浸水被害による人口流出を防ぐためには一刻も早い復興が必要であるが、災害という非常時において迅速な復興計画は困難である。そこで、土浦市における水害時の事前復興計画策定を提案する。事前復興計画とは、発災後の迅速かつ円滑な「市街地の復興」を実現するために平時から復興体制の構築や人材育成、住民との合意形成等の「復興事前準備」に取り組み発災前に策定する復興計画である。

あらかじめ、市民とともに復興の方針・手順をつくり共有しておくことで、浸水被害を受けた後でも土浦市に住み続けることへの不安感を払しょくし発災後の人口流出を防ぐことが期待できる。事前復興計画によって、復興の方針・手順をあらかじめつくることで最大1200人(常総市の事例から予測)の人口流出を防ぐことが可能になる。

中心地における浸水想定地域

歩行者空間整備 ~荒川沖~

住宅街において道が細く、歩道もなく、通過交通が可能な状態である。またコンパクトシティを実現するにあたって住環境の交通インフラを整えることは必要であると判断した。実現にあたって各拠点の目標人口に対応する範囲の街路を整備する。解決策としてスタインとヘンリーが提唱したラドバーン方式を採用した。クルドサックにより通過交通を抑えるとともに歩行者道の整備を行い住民の生活利便性を上げる。歩行者道の整備は幅員が狭いことから道路の片側のみにペイントによって境界を作ることにした。下の図は3中地区(荒川沖駅付近)の写真である。

青線は歩行者道なし。赤線は歩行者道あり。

解決策として2つの提案を行う。
1. 柵設置
柵設置することによって通過交通を抑制する。
2. ペイント
歩行者道にペイントを行い明示する。歩道部を確保することによって歩行者保護をすることや滑り止め効果により転倒を防ぐこともできる。

事業費内訳(10万㎡当たり)は、柵設置:110万円、ペイント:480万円となる。