補助計画
相思相愛、助け合い
【背景】土浦市の農業予算は年々減少しており、予算のかからない対策を行うことが求められている。また、市の農林水産課にヒアリング調査をした結果、耕作放棄地問題に特別大きな危機感はないということが分かった。
【提案】
そこで、当マスタープランでは新規就農者の増加を促し農地を活用することによって、結果的に土浦市の農業を保全することにつながるような事業案を考えることにした。事業を考える際に、まず保全する農地の面積を設定した。具体的には、2035年までの20年間で増えるとされる耕作放棄地300haのうち三分の一の100haを、20年間にわたり毎年5haずつ活用していくものとした。この5haは、新しく5人が0。75haずつ耕作するとしたときの合計3.75haに、新規就農者の経営拡大により増えるとした分の1.25haを加えた面積であると説明できる。初期面積の0.75haは、新規就農者が初期に得る農地面積が50~100aの割合が一番多いという全国農業協会の調査データを参考にして設定した。
先ほど述べたように、この提案は新規就農者の増加を促すこと目的としている。そこで、CSAという新たなかたちの農業を土浦市で始めることを提案する。CSA(Community Supported Agriculture)とは、消費者と生産者が前払いによる農作物の契約を通して連携し、相互に支え合う仕組みのことである。CSAは1980年代にアメリカで始まり、現在では欧米を中心に世界的な広がりをみせている。この事業で土浦市が果たす役割は、新規就農者への国からの補助金の窓口となることと、新たに農地へ再生しうる耕作放棄地の紹介を行うこと、また就農者と消費者をつなぎ収入源の確保の手助けをすることである。
【効果】
CSAを導入することによって、新規就農者にとって不安要素となり得る初期費用の確保と経営の安定に対するサポートができる。さらに、CSAでは消費者は生産者のもとに農作物を直接取りに行くことが基本とされているため、近年の輸送料の値上がりによる影響を受けないという意味でも経営面でメリットがあると言える。 私たちは、農業の保全の必要性を「農業の多面的機能」という観点から考えた。農業の多面的機能とは農地が持つ付属的効果を表したものである。多面的機能には図のようなものが含まれている。そのうち、今回は計算が可能な効果を中心に農業の便益を調べることとし、「洪水防止機能」「流況安定機能」「土砂災害防止機能」「地下水涵養機能」「土壌流出防止機能」を考慮することにした。
【費用と便益】
費用: PR費用・研修費 500万/年
便益:農業の多面的評価 1032万円/年
費用便益比1,923
【課題】
確実に新規就農者を獲得できる保証がないことがあげられるが、市のPRや研修の充実化を図り対応していく。
工業組合化
【課題】土浦市の製造品出荷額は平成23年をピークに減少傾向にあり、伸び悩んでいます。また、近年では、土浦市の工業は、4つの工業団地のうち3つの区画が完売するなど、一見満足のいく状況に見えます。実際、県内有数の製造品出荷額を誇っているのは事実ですが、近年、土浦市周辺ひいては茨城県周辺において、盛り上がりの兆しを見せている地域が存在します。 まず、茨城県内において考えると、平成28年度に圏央道が開通したことによる物流の活性化が周辺地域に与える影響が大きいと考えられます。土浦市はもとより、圏央道沿線に位置し、予てから大手企業を多数抱える阿見町や、坂東市の新興の工業団地が勢力を伸ばしていくと考えらえます。茨城県内における圏央道沿いの工業団地の分譲価格を見てみると、安価な工業団地への進出に大きな期待が持てるといえます。県内の新興団地の出現や、北関東をはじめ、首都圏そして北陸地域が勢力を付けてきている現状がある中で、市内の空き区画の分譲のみに注力する今の状況は、1960年代から続く土浦市の工業の考え方に留まった古い考え方であるといえます。したがって、今後土浦市の工業が更なる発展を遂げるためには、時代に合った新しい成長の在り方を模索する必要があります。また、魅力が高まりつつある他地域への流出の恐れを引き起こす可能性についても考える必要があると考えました。 また、マスタープランによると神立地区の特徴として、大規模工場のほか、県営や市営の団地や共同住宅が多く立地していることがあげられています。加えて、住宅地ゾーン(中高層)と工業地ゾーンが隣接指定も区間も存在します。
【先行事例】
埼玉県川口市、川口新郷工業団地では、住工供住の工業団地をモットーに工業組合が結成されました。この工業団地には、81社の様々な幅広い業種の工業が立地しています。主な事業内容は以下の通りです。
・教育情報事業
・地域社会との共生活動
・隣接長会との融和
・共同受配電(新電源調査の研究を行い、効率的な電源に)
・高速道路通行力金大口・多頻度割引制度
・ごみの共同収集
・ガソリンの共同購入
・ゆうゆう歩道(散歩道)整備
・環境整備・保全
【提案】
土浦市の現状と課題から、私たちは、新しい工業の在り方を見つめ、更なる発展のために、工業団地の組合化を提案する。
【効果】
まず、地域社会に対しての効果を説明します。地域内外から外国人労働者を受け入れる取り組みを率先して行い、研修を行う外国人労働者の受け入れ推進を推進します。また、地域社会との共生を図ります。これは、個別の工場ではできなかった、地域住民との関わりを持つことで、住民、従業員の相互理解につながります。このつながりは災害時などに役に立つことが予想されます。さらに、持続的な環境整備・保全が可能となります。工業団地周辺は県営、市営アパート、住宅地が広がっており、工業団地内、付近の環境整備を行うことによって、周辺の景観を向上させ、住民にとっては住みやすい、従業員にとっては働きやすい空間を目指します。 次に組合員への効果について説明します。まず、共同受配電によるコストカットが可能となります。これは、受配電を一括して行うことによって、個別に行っていたときよりもコストカットができるということです。
【費用と便益】
費用:発電機購入費 約3000万円
出資金 192万円(各企業から8万円ずつ)
維持費 24万円(各企業から1万円ずつ、年間)
便益:無駄な電力の削減 200万円(毎年)
これらより、20年間事業を継続した場合の費用便益は1.09となる。
【課題】
本提案の課題として、工場どうしの合意形成、初期費用の負担の問題がある。工場どうしの合意形成に関しては、工場団地内の連携の必要性を説明し、を今以上に強くしていきます。初期費用の負担については、最初のみ市が一部(1000万円)を負担することにより、継続性を図ります。
広域ごみ処理施設
【背景】本市のごみ処理施設は土浦市清掃センター(中村西根1811番地1)があり、新治地区以外の地区から排出されたごみを処理しています。新治地区のごみは本市、かすみがうら市、石岡市(八郷地区)で構成する新治地方広域事務組合環境クリーンセンター(かすみがうら市上佐谷31-1)で処理されています。平成27年度から一部のごみの再資源化を開始したことによりごみの焼却処理量は減少傾向にあります。さらに、将来的に考えられる人口減少に伴い、今後のごみ処理量は減少が続くと考えられます。土浦市清掃センター長寿命化計画によると長寿命化にかかる総工費は約96億円とされています。周辺自治体においても同様の状況が考えられます。
【提案】
今後のごみ処理をとりまく状況や本市の財政状況から、新たなごみ処理場の在り方として、周辺自治体と共同の広域ごみ処理施設(以下、本施設)を建設することを提案します。対象地は平成30年3月に新治学園義務教育学校の開校に伴い閉校となる斗利出小跡地です。本市と本市に隣接する阿見町のごみ処理を本施設が担うこととします。本施設はダイオキシン類の排出の少ない全連続式のストーカ炉とします。全連続式とすることで焼却に伴う熱による発電(サーマルリサイクル)を可能とし、蓄電が可能な施設とします。本施設の処理能力はこのサーマルリサイクルを有効に行っていくうえで必要とされる300t/日とします。
【効果】
まず、財政における効果が考えられます。高度な処理が可能で小規模なごみ処理施設を個別に整備すると前述のように多額の費用が必要となりますごみ処理施設を集約化し、広域的に処理することによって公共事業のコスト削減を図ることができます。次に考えられる効果は環境に対するものです。全連続式の炉とすることで大気中に排出されるダイオキシン類の有害物質を削減することが可能となります。リサイクル可能物をより広域的に収集することによってリサイクルが推進され、焼却量の減量化を図ることができます。また、サーマルリサイクルによる発電を行うことによって、将来的にごみ収集車や運搬車をEV車に転換した際、その輸送コストは大幅に削減されることが考えられます。そして、災害時などの緊急時にも電気の拠点として働くことが可能となります。
【費用と便益(20年事業継続時)】
費用:建設費 約120億
維持費 約1.3億/年
便益 約425億(土浦市清掃センター基幹的施設更新に係る基本計画より)
以上より、費用便益比は2.93となります。
【課題】
本提案における課題としては、阿見町との合意形成があげられるが、広域的なごみ処理施設の必要性や財政負担等のバランスを最適にとることによって解決を図ります。また、NIMBY施設に対する住民の理解については、有害物質の排出量の削減等環境に最大限配慮した施設を建設することによって合意への可能性はあります
つちサポ
【背景】土浦市の総人口の25%にあたる、10- 35歳の若い世代に市民恊働を積極的に行ってもらうため、若者を対象に楽しみながら、気軽に市民協働に参加できるツールを作成する。
【提案】
つちサポアプリを開発し市民に様々な用途や方法で使用してもらい、自然と市民協働が行われるまちを目指す。
・主な機能
①まちなかミッション
まちなかミッションとは、『まちの用事を解決する』をコンセプトとした「まちかどギルド」を参考とし、地域のお手伝いやまちのイベント(以下ミッション)に市民が積極的に関わることを促す機能。具体的なミッションとしては、町内会が行うゴミ拾いのお手伝いや、市が開催する市民協働イベントなど市民協働にかかわりを持つものを想定している。ミッションへの参加を通して市民は、楽しみながら人の役に立つことができ、思い出に残る体験ができる。また、日常生活で関わることのなかった市民間のつながりが増え世代を問わず交流を生むことが期待できる。
②写真投稿
写真投稿機能はアプリのユーザーが土浦市の魅力的な風景やカフェ、ランチや小洒落た雑貨屋などの様々な魅力を、インスタグラムのような形でハッシュタグ(#)を付けて投稿できる機能である。また、#を投稿に付随させることで他の土浦市民は「#カフェ」や「#ランチ」の様に各々が知りたい内容ごとにソートされた投稿を検索できるメリットが考えられる。 また写真投稿のもう一つの機能として「課題発見」があり、これは街灯の不備や公園の遊具の破損、公共物への落書きなどをユーザーが見つけた際にその写真を投稿できるシステムである。その問題を運営側(行政)が把握することで効率的に改善がすることができる。刑法犯数が多い土浦市において危険個所や注意地点を市民それぞれが確認することにより、住民同士が守りあうことにつながるのではないかと考える。
③つぶやき
市民が、土浦に関する意見(やりたいこと、改善してほしい点、不満など)を自由に発信できる場。つぶやかれたものに対して他のユーザーが共感した際にはイイネボタンを押すことができ、ここでイイネが多いものに関しては、運営側が拾い実際に改善や企画をし、実現化することができる。
④各機能のつながり
「まちなかミッション」を軸とするこれら3つの機能は相互にかかわり合っている。例えば、「写真投稿(課題発見)」に投稿された課題が市民の力で解決できそうなものである場合、行政側はこの課題をまちなかミッションに投稿し、協力してくれる市民を募ることで、市民の力による解決を図る。また、「つぶやき」に投稿された市民のアイデアが実現した場合、「まちなかミッション」で参加者を募集するなどの利用方法を想定している。
・アプリ利用促進の為のインセンティブ
本アプリを利用してもらう為のインセンティブとして以下、二つの付加価値を設ける。
・ポイント制度
各機能の随所にポイント付加の機会を与える。そのポイントを利用して普段は買わない贅沢品や土浦商工会議所の商品券○○円分がもらえる仕組みにすることで、ポイントに価値を持たせる。
・有益情報
何曜日がゴミの日か分かり、かつその日をアラームしてくれる機能や粗大ゴミ回収の予約ができる機能、土浦市内を運行するバスの時刻を検索・表示できる機能、土浦市の天気を表示する機能など、生活の上で利便性の高い情報を多く掲載し、利用頻度が上がることを期待する。また災害時にどの場所が避難所になっているか確認できるようになっており、日ごろから防災に対しての意識が上がることにつながる。
・管理運営について
運営は行政でチバレポに習って「チバレポ運用事務局」と同様のものを作る。詳細については、ヒアリングから、『兼務が三人で、専任はいない。』という情報に倣い、土浦市でも初めは土浦市役所の市民恊働室から3、4人ほど兼任させ、今後アプリのインストール数が増えれば専任を付ける予定である。
【効果】
効果に関しては行政コストの削減を目標とせず、今後少子高齢化やその他の社会的問題によって行政に対するニーズが多様化する一方、行政側が職員を増やすことは困難であり、むしろ削減しなければならないと考えられる状況に対応できるまちをつくることを目標とする。そのような状況に対応できるまちとは、すべての業務を行政に一任するのではなく、市民と行政が協働し互いに補い合うことでより良いまちを目指すまちである。そのようなまちを目指す一歩として、アプリをきっかけに市民の意識を市民協働に向けて、積極的に市民に動いてもらえる枠組みを作り広めていくという効果が期待できる。
【費用対効果】
費用:開発費 3000万円
運営費 500万円
【課題】
アプリ開発の上での課題として、比較的“開発費・年間の運営費や人件費が高くつくこと”やその経費に対しての効果を具体的な数値として表すことが困難であることが考えられる。またインストール後にメインとなる「まちなかミッション」等の市民恊働の機能を使用してもらえるかが課題である。