一中地区
図:一中地区
一中地区は、11.45平方キロメートルのエリアに20,477人の住民が住んでいる地区で、土浦駅とバスターミナルが立地し、その周辺には商業施設が集積しており、土浦市全体の中心地区としての役割を担っています。また、商業地区と隣接する地区には亀城公園やまちかど蔵など、歴史的景観も残されています。
この地区における主幹産業は駅周辺に立地している商業ですが、各商店街においてはシャッターが降りたままの店舗が目立ち、にぎわいや活気を感じることはあまりできないという現状にあります。市の商業統計によると、1997年から2007年までの10年間で、中心市街地における店舗数と年間商品販売額は共に減少傾向にあり、特に、年間商品販売額については、10年間で半分以上に減少していることが示されています。
グラフ:中心市街地の年間商品販売額(左・百万円)と店舗数(右・件)の推移
この理由としては、イオンモールに代表される、自家用車によるアクセスが便利な、土浦市内やつくば市、阿見町に近年進出している大型商業施設、あるいは、二中地区などに多く立地するロードサイド型の店舗に顧客が移った事が考えられます。
また、2013年度の市民満足度調査によれば、「駅前開発など中心市街地の整備」や「中心市街地のにぎわい対策」といった事柄については、重要度は高いものの、満足度は低いという結果が得られており、中心市街地における課題の重大さを示すものとなっています。
その一方、2015年度には、イトーヨーカドーが撤退した複合施設のウララに、現在下高津にある土浦市役所が移転する予定です。また、2017年度には、現在空き地となっている土浦駅北のエリアに、図書館を核とした複合施設が整備される予定であり、これら公共施設の移転に伴う人の流動や周辺地域の土地利用の変化を予測・分析し、今後の地区の活性化を行う上で、適正な誘導を図っていく必要があります。
また、一中地区を取り囲むものとしては、霞ヶ浦や桜川といった自然資源があり、霞ヶ浦においては、マリーナや霞ヶ浦総合公園が整備され、レジャーの場として利用されています。その他、マリーナと隣接する地区においては、川口二丁目地区整備事業として、複合レクリエーション施設の整備が計画されており、加えて、桜川流域の一部においては現在遊歩道や桜並木が整備されています。
しかしながら、現状ではこれら資源はフルに活用されている状態であるとは言うことはできません。市民満足度調査によれば、土浦市民の間で、「『土浦』ならではのもので、まだ生かされていないと思うもの」に、霞ヶ浦とサイクリングロードが挙げられています。これらを今後どのようにして活用していくかが課題となっています。
二中地区
図:二中地区
二中地区は面積6.75平方キロメートル、人口16,545人の小さな地区です。市内には南北に国道が2本、東西に都市計画道路である真鍋神林線が通り、交通量の多い3本の幹線道路により近隣地区とのアクセスを便利にしています。真鍋神林線は今後、西側へ延線することが決まっており、沿道の商業空間をさらに充実させるなど新たなにぎわい拠点とするための計画が進められています。今後、幹線道路のアクセスを活用した中心市街地との連携の強化などが見込まれます。
地区内には真鍋小学校、土浦工業高校、つくば国際大学など多くの教育機関が集中しており、市内でも文教地区としての機能を果たしています。市内8校ある高等学校のうち3校が二中地区に集中しており、これらの教育機関に在籍する生徒数は市内全体の約3割にのぼります。市内外から多くの学生が集まることを踏まえ、学生を中心とした若者による地域に根ざしたまちづくりへの期待が高まります。また来年夏以降に、現在市の医療拠点として重要な役割を果たしていた土浦協同病院がおおつ野地区へ移転することが決まっています。医療拠点の移転による人口の流動、病院跡地の活用など、これからもまちづくりの計画が進められると考えられる地域です。しかし学校が多いことで、市民の中では学校周辺の通学路や歩道、ガードレール等の整備についての不安の声が上がっています。昨年度の市民満足度調査では「通学路、歩道、ガードレールの整備や信号機の設置ななど交通安全対策」について重要度は高いものの満足度は低く、これらの交通安全対策が今後の課題だと考えられます。
三中地区
図:三中地区
三中地区は面積11.64平方キロメートルで24,979人が居住している、土浦市の南部に位置する地区です。北東部で四中・六中地区と接しているほか、東部で阿見町、西部でつくば市、南部で牛久市に接しています。当地区の南部には荒川沖駅があり、常磐線と関東鉄道バスのつくばセンター、あみプレミアム・アウトレット方面のバスが発着しています。荒川沖駅から都内に通勤する人も多くいます。
当地区の地域資源としては、土浦公設市場や乙戸沼公園があります。当地区には学園東大通りと国道6号線が通り、その周辺にはロードサイド型の店舗が多く立地しています。一方で、荒川沖駅周辺の商店街ではシャッターを閉めている店が多く、駅周辺に活気がないことが課題となっています。
三中地区では他の地区と比べ、荒川沖駅があることによって、交通機関へのアクセスが良い一方、駅周辺は人が集まらず、ロードサイドの店ばかりに人が集中する課題があります。
四中・六中地区
図:四中・六中地区
四中・六中地区は面積15.99平方キロメートル、41,576人が居住する地区です。四中・六中地区は、高度経済成長期に開発された住宅団地が多く立地しており、代表的な団地として天川団地、烏山団地、小岩田団地等があります。これらの団地では同じ年代の人が一斉に入居しました。そのため、近年では、住民が一斉に高齢化する問題が発生しています。一部の団地では2010年の時点で高齢化率が30%を超えており、今後は他の多くの団地で高齢化が進んでいくとみられます。
また、地区の一部区画においては空き家や空き地が見られる。特に開発が早かった天川団地では閉店した商店、荒廃した空き地・空き家が他の地区より多く見られます。
四中・六中地区の団地はいずれも閑静な住宅街で、区画も広く、良好な住環境が整備されています。しかし、高齢化に伴い地区の人口が減少、空き家・空き地が増加していく事が懸念されています。
四中・六中地区では現在の市役所も立地しているが、2015年度には土浦駅前のビルへの移転が予定されています。そのため地区の機能低下・賑わいの低下が懸念されています。
五中・都和中地区
図:五中・都和中地区
五中・都和中地区は土浦市の北東部に位置する地区で、面積35.78平方キロメートル、31,314人が居住する地区です。神立駅の周辺は従前からの市街地であり、商店等が立ち並んでいます。南北方向に国道6号、東西方向に国道125号・国道354号が貫いています。また当地区の西部には常磐自動車道の土浦北インターチェンジがあり、自動車交通は非常に便利な地区です。当地区には神立工業団地、テクノパーク土浦北および土浦おおつ野ヒルズの3つの工業団地が立地しており、多くの企業が立地しています。おおつ野地区は新市街地として開発が進んでおり、土浦協同病院の移転が決定しています。
一方で霞ヶ浦沿岸や周辺部ではレンコン畑や水田なども数多く残っており、農業生産も存在している地区です。
一方で、神立駅前など既存の市街地は閑散としており活気があまりありません。おおつ野や都和中地区北部などではバスなどの公共交通が利用できない地域もあり、高齢者や障碍者などの自動車を使用できない人の交通機関をどう確保するかなどが課題として挙げられます。
新治中地区
図:新治中地区
新治中地区は土浦市の北西部に位置しており、2006年に土浦市へ編入された旧新治村にあたる地区です。面積は32.06平方キロメートルで、8,387人が居住しています。北部で石岡市、東部でかすみがうら市、西部でつくば市と接しています。朝日トンネルの開通によって北部の石岡市への利便性が向上しました。
当地区の観光資源としては小町の里やりんりんロード、藤沢の歴史的な街並みなどがあげられます。当地区の土地利用は農地が大半を占めており、農業の中心は畑作です。霞ヶ浦周辺のレンコンのような基幹作物はありませんが、稲作や畑作、果樹、花卉類の生産が盛んです。当地区は土浦市の中でも高齢化が進んでいる地区で、2010年における高齢化率は29.4%で、土浦市の全体の高齢化率よりも6ポイントほど高くなっています。中学校区別にみると当地区の高齢化率が最も高くなっています。
当地区の課題として、耕作放棄地の増加問題があります。農業振興地域の農用地区域における耕作放棄地のうち、当地区が本市全体の約5割を占めています(土浦市耕作放棄地解消計画、2008年)。その原因としては、高齢化による経営規模の縮小などがあります。今後、高齢化の進展に伴い、当地区の耕作放棄地はさらに増加する可能性があります。
グラフ:農用地区域における耕作放棄地の地区別面積(土浦市耕作放棄地解消計画より)
また、当地区には小町の里やりんりんロードなどがあり、豊かな自然を感じられる地域である一方で、高齢化や耕作放棄地の増加問題が課題となっています。