土浦市の現状
1.人口
1.人口
土浦市の人口は、2005年までは増加傾向にあったが、その増加の割合は年々小さくなっている。2010年に大幅に増加しているのは、旧新治村を合併したことによる。2010年の総人口は143,839人、高齢化率は約22.4%となっている。2010年以降は、コーホート要因法による推計によれば人口は減少傾向となり、2030年には総人口は約130,500人、高齢化率は約33%となる。

図1.土浦市の将来人口推計
2.新治
土浦市内の中で最も高齢化が進んでいる地域である。農作地が多い地域であるが、高齢化が原因で耕作放棄地が多いのも新治の特徴である。「平成22年土浦市 耕作放棄地解消計画」によると新治地区の耕作放棄地の面積は市全体の28%を占めており、アンケートでは92%の地主が自分で復元するのは困難であると回答している。

図2.新治地区の耕作放棄地面積が市全体の耕作放棄地面積に占める割合

図3.土地所有者の将来の耕作放棄地意向
※図2,3…「H22 土浦市 耕作放棄地解消計画」より作成
3.霞ヶ浦
土浦市には国内面積第2位である霞ヶ浦をはじめ、桜川などの水資源が豊富にあるが、現状では活用しきれていない。また、「平成24年 かわまちづくりアンケート調査」によると、桜川には「遊歩道整備」への要望が20%、土浦新港・京成ホテル跡地には「カフェの新設」への要望が16%とそれぞれの環境に見合った施設整備の要望が上がっている。
また、「かすみがうらマラソン」のコースをはじめ、水辺の環境を感じることの出来るジョギングコースは多数存在しているが、市民やジョギング目的で活用する人々のニーズに応えられる周辺整備がなされていないのが現状である。

図4.「かわまちづくりアンケート調査」新川・桜川への要望

図5.「かわまちづくりアンケート調査」霞ヶ浦への要望
※図4,5…「H24 土浦市 かわまちづくりアンケート調査」より作成
4.おおつ野
「土浦ニュータウンおおつ野ヒルズ」は、商業・工業・住宅の隣接したニュータウンとして計画された。圏央道の開通により、関東における交通の利便性が向上する場所であるが、現状は計画人口6000人に対し定住人口1524人(H24.10.01時点)、工業用地39.5haに対して未利用地が33.8ha、未利用率86%と未だ開発が進んでいない。そんな中、土浦市真鍋新町にある土浦協同病院がおおつ野地区へ移転することが決定した。

図6.おおつ野ヒルズの計画人口と実際の人口(H24.10月時点)
5.神立
神立駅前は閑散としており、人が集う環境が整っていないのが現状である。現在、土浦市では神立駅西口前広場等の都市施設の整備や駅舎の改築、自由通路の整備といった移動を円滑化するための都市計画整備を計画中である。
また、神立地域にはこの地域を拠点としている知的障害者施設“尚恵学園”の施設が点在することも特徴として挙げられる。尚恵学園でヒアリング調査をした結果、就労支援として週5日パンを調理し、JAや幼稚園などで販売していることがわかった。また、職員の方からは外部の人々にその活動内容を知って欲しいといの声もあがった。

図7.閑散とした神立駅前(H24.10月時点)

図8.老朽化した神立駅舎
6.荒川沖
荒川沖駅周辺の土浦三中学区の15歳までの人口を他の2つの駅と比較したものが表4である。ここから、荒川沖駅周辺は他の2つの駅の周辺に比べて子どもの人口が多いことがわかる。また、荒川沖駅東側には空き店舗が散見され人通りも少ない。また、駅西側には四車線の道路である荒川沖駅西通り線があるが、六号とは繋がっておらず交通量は少ない。

表1.土浦市3駅周辺の0~15歳人口

図9.荒川沖駅付近の現状
7.中心市街地
中心市街地には、衰退している商業施設、計画を見直している駅北側地区、交通結節点となる土浦駅、移転する新市役所がある。これらの項目についてそれぞれ現状をまとめていく。
7-1.市役所移転
私たちは、市役所移転の影響を調査するため、市役所職員へのアンケートを行った(2/11~2/15、回答者数229名、無記名回答)。アンケートの結果より、8割以上の人が現在自家用車で通勤していることがわかった。 また、移転後の通勤手段の予定を聞いたこところ、自家用車で通勤予定の人が約5割に減少し、電車やバス、自転車での通勤を予定している人が増加した。

図10. 市役所職員の通勤手段
7-2.駅前ロータリー
現在の土浦駅西口駅前広場は人と車の動線が交差しており、バス・タクシー・自家用車のゾーンの区別があいまいな状態である。横断歩道を渡る歩行者を待つために車が停止することによって混雑を招いたり、バスの進路を自家用車が塞ぐなどして、駅前広場としての機能に低下が見られるほか、横断歩道のない箇所を渡る人と車の動線が交差する箇所が多く事故の危険性もある。
図11. 土浦駅ロータリー動線模式図
7-3.駅北側地区再開発
現在、土浦市では土浦駅北側の現在駐車場として利用されている空き地の開発計画が進行中である。市では、図書館を中心とした複合施設と高層マンションをこのエリアに建設する計画を立てていたが、リーマンショックに伴う不況による影響等もあり現在は規模を縮小し図書館複合施設のみを建設する方向で計画を策定中である。
図12. 土浦駅北地区再開発 旧案イメージ図
(土浦駅前北地区第一種市街地再開発事業 基本設計概要より)
7-4.モール505
モール505の現状として、店舗44件のうち8件が飲食店(倉庫を除く)である。空き店舗も多く、各階ごとに入っている店舗の種類も不揃いである。また、小中学生・高校生の通学路としての利用や、高齢者の利用が比較的多い。モール505利用者を対象としたヒアリングの結果、若者への利用を求める声があがった。また、市役所職員にアンケートを行った結果、現職員の昼食状況は食堂と庁内出前、市販の弁当類を購入する人が約6割いることがわかった。また、職員へのアンケートの結果、昼食にかけられる金額は500円までという人は約6割いた。市では、今回移転に伴い駅周辺の飲食店の活用を図るため、新市役所内には食堂を作らないという案も検討中である。

図13.市役所職員の昼食手段

図14.市役所職員の昼食予算
8.観光
土浦市の主要な観光資源として、宿場町として栄えた歴史のある町並みと、霞ヶ浦が上げられる。土浦市は水戸街道の宿場町として栄え、現在でも亀城公園周辺においてその歴史的な町並みを見ることができる。霞ヶ浦は国内第2位の面積を持ち、遊覧船による観光を始め、釣りなどのレジャーを楽しむことができる。
また、1年を通して多くのイベントが開催されており、日本三大花火に数えられる土浦市花火競技大会の時には80万人以上の人々が訪れる。その反面それ以外では観光客がほとんど来ないのが問題として挙げられる。

図15.土浦市のイベント

図16.平成22年月別観光者数
9.交通
現状の土浦市の交通状態について、道路は東西南北に常磐自動車道や国道が広がっていて、道路の新設や拡幅工事が進んでいる。
鉄道は、現在土浦市内には3駅が存在しているが、駅の利用者はそれぞれ緩やかに減少している。TXの開通や人口減少が影響していると考えられる。
また、土浦駅をはじめ3ヶ所の鉄道駅は駅舎雄老朽化や危険な構造の駅ロータリーを抱えていると言った現状がある。
バスは、路線バスやまちづくりの活性化を目指したコミュニティバス(キララちゃんバス)などがある。路線バスの利用者は減少傾向にあり、赤字路線の廃止が続いている状態である一方、キララちゃんバスは増加傾向にある。タクシーは、「のりあいタクシー土浦」というデマンドタクシーがあり、会員数・利用者数は増加傾向にある。

図17.土浦市内の鉄道と主要道路

図18.土浦市内駅の利用者数の推移
10.商業
土浦市内および周辺の大型店舗として、ウララ・モール505のほか、商店街や中心市街地にも商業施設が多々あるが、それらの衰退が進んでいる。その原因として、つくば市のiiasつくば・阿見町のあみプレミアムアウトレット・土浦市郊外のイオンモール土浦といった郊外の大型店舗の出現によるものと考えられる。 現在では、モール505などの商店街は空き店舗やシャッターが目立ち、人通りも少ない状態となっている。

図19.土浦市内及び周辺の大型店舗の立地

表2.土浦市と周辺の大型商業施設の比較
11.農業
全国第一位のれんこんの生産量を誇る土浦市は、この他に菊やヤナギといった花の栽培も盛んである。農業産出額の内訳からも分かるように、46%の野菜,19%の畜産類,15%の米に次いで花きは10%を占めている。その産出額をみてみると、S60年のピーク後H15年まで減少傾向にあったが、それ以降は横ばいが続いている。農業人口と農家数は年々減少していて、S60年とH17年の人口と戸数を比較すると半分以上もそれぞれ少なくなってきている。

図20.農業人口と農家数の推移