*つくば市の水質保全と環境教育に対する提案*
第3章 *環境教育における提案*
次へ

目次へ


3-1 目的及び方法

  つくば市は、「環境共生都市」をうたっているが、市民に対しての環境教育・ PRが少ない。また、ISO14001を認証された自治体の小学校は環境教育が進んでいることが分かり、 ここでもつくば市の取り組み状況に疑問を感じた。そこで、この実習ではつくば市とISO認証済 の自治体における、行政・小学校が行っている環境教育についてそれぞれ調査すると同時に、環 境教育が住民に与える影響についても調べ、市民・児童に対して適切な環境教育の手段について 考察する。

3-2 行政が行う環境教育について

(1) 調査対象としたISO認証済みの自治体
千葉県白井町、新潟県上越市、大分県日田市
これらの3自治体は、ISO14001を日本の地方自治体の中で、初期に認証されたと ころである。これらの自治体の環境教育について調べ、つくば市の現状について考える。

(2) 市民に対しての環境教育の内容
ISO14001を初期に認証された3自治体の市民に対する環境教育の内容には、下記の ようなものが挙げられる。


   この他、自治体職員に対しての環境教育として、「月1回,市職員による 自主研修グループが、環境に関するテーマを設定して、討論を行う。(日田市)」というものや、 公園の整備の一部として「野立て学習看板の設置(年1ヶ所)(白井町)」というものもある。

(3) 学校の環境教育に関しての対応
ISO14001を初期に認証された3自治体の学校の環境教育に関しての対応をまとめると、下記のようになる。

  この中で、特に「空き缶回収拠点モデル校」の事業は、目的が「小中学生のモ ラルの向上」ということもあり、各学校の環境教育に対する取り組みの意識が高いことがわかった。

(4) つくば市の現状
(4.1) 市民に対しての環境教育の内容

(4.2) 学校の環境教育に関しての対応

  ISO認証の自治体と比較すると、つくば市の小学校は環境教育がまだ熱心に行われていない と思われる。そこで教育委員会に現状をヒアリングに行ったところ、つくば市では1993年に「環 境フォーラム」の実施を市内全小中学校に依頼したほか、各校を視察の際に、環境教育に対して の取り組みが少ない学校に対して、取り組みの高い学校の様子を紹介しているということである。
  そして次に、特に熱心に環境教育を行っているという並木小学校に、ヒアリン グに行った。 並木小学校では「花室川の水質調査」、コンピューターネットワークを利用しての環境学習、リサ イクルボックスの設置をしていたりと、つくば市にも環境教育に熱心に取り組んでいる学校があ ることが分かった。
  さらに、96年度の都市計画実習で、生活環境班は地域による住民の意識の違い について調べているが、この中で、周辺開発地域の住民は研究学園都市地域の住民よりも環境負 荷を与えているという結論が出ている。
  そこで、「全体的につくば市内の小学校での取り組みは、ISO取得自治体には及 ばず、小学校の環境教育の実施には大きな差がある。リサイクルにおいては、都市部の方が力を入 れている。逆に自然とのふれあいに関しては、周辺開発地域の方が力を入れている。」という仮説 を立て、市内の他の小学校の現状はどうなのか、市内の全小学校にヒアリング調査を実施し、同時 に地域住民に対してアンケート調査を実施することにした。

調査方法
・ヒアリング調査


・アンケート調査


3-3 つくば市内各小学校でのヒアリング調査結果 

(1) 回収状況
つくば市全小学校(36校)のうちの27校(学園都市地域6校、周辺開発地域21校)
[回答が得られた小学校 : 敬称略、順不同 ]
田水山  作岡  島名  田井  筑波第一  松代  並木  山口  前野  吉沼  柳橋  真瀬  九重  菅沼 北条  上郷  葛城  栄  大曽根  竹園東  二の宮  吾妻  手代木南  谷田部  栗原   谷田部南  小田

(2) 環境フォーラム・環境教育の実施状況について

   36校にヒアリングを行ったところ、小学校により内容は異なるが、何ら かの形で環境教育を行っている小学校が23校(85%)と多いことがわかった。このこと から、FAX未回答の5校とご協力のいただけなかった4校についても環境教育を行っているの ではないかと予想される。実際、回答の得られなかった小学校の中にも、環境教育に熱心だ と教育委員会から言われた並木小学校と協同して花室川の水質調査を実施したり、インター ネットで交流をしたりしている小学校があるという話を聞いた。

(3) 現在実施されている環境教育の内容
[自然に触れる](学園都市4校,周辺地域11校)

[ゴミ問題・資源のリサイクルについて](学園都市2校,周辺地域3校)

[調べ学習](学園都市3校,周辺地域1校)

[周囲の環境美化について](学園都市4校,周辺地域11校)

[その他]

  学園都市地域の児童は、周辺開発地域の児童と比べて、ゴミ問題・環境問題 についての学習をする機会は多いが、自然とふれあう機会が少ないことが分かった。また、周 辺開発地域のある学校の先生のコメントとして、「都市部以外の地域でのゴミの不法投棄が増 えている。せっかく児童がゴミを取り除いても、またすぐに不法投棄が出てくる。このことに、 多くの児童が疑問を感じている。」というものがあった。
クリーン活動は、ヒアリングを行った27校のうち半数以上の15校が行っている。動物の 飼育や、植物の栽培、調査などよりも、児童が率先してできる身近なことから始めるといった様 子が読み取れる。また、ミュージアムパークやクリーンセンターに見学を行うことにより、現場 を目で見て学習している小学校も多くみられる。各小学校にコンピューターが設置される今年の 秋以降からは、環境教育の幅も広がりを見せ、内容も徐々に充実したものになっていくと予想さ れる。
なお、環境教育を行う目的として次のような内容を挙げる学校があった。

(4) 環境教育に使用する時間

   年間の使用時間としては、最低で2時間、多いところで25時間程度という回 答だが、年間10時間程度という答えが8校と最も多かった。
   ゆとりや学活、道徳などを使用し、通常の授業科目以外で行い、授業に影響の ないように配慮している学校が多かった。授業時間の一部を使う学校でも、環境に関連のある分野 が出てきた時に合わせて行う形を取っている。また、夏休みの調べ学習として授業外に行ってい る学校もあり、各校工夫をしている様子がうかがえる。

(5) 学校から家庭への配布物における環境教育の掲載状況

  半数以上の学校が何らかの配布物で保護者に対して、主として行っている活動 の報告を兼ね配布物を配布している。だが、配布回数はまちまちであった。さらに、配布してい ない学校も7校あり、なかには環境教育、環境フォーラムについて行っている学校もあり、配布 があってもいいのではないかと感じた。

(6) 環境教育に対する児童の関心度

  児童が中心となって環境保全活動を行うのは、小学生という年齢から考えても 難しいことであると思われるが、18校中7校が児童中心であるというのは特筆すべき結果であ ると思われる。このことから、環境教育に対するつくば市の児童の関心は比較的高いといえる。

(7) 環境教育を行ったことによる児童の生活態度の変化


  この他、児童の環境に対する理解は深まったが、日常生活の中で実践させる となると難しいという声もあった。
  環境教育の成果として環境に対する知識と理解については深まったが、日常 生活においての実践となると、ゴミの分別・減量程度の実践にとどっまっており、リサイクル などとなるとまだ実践されていないことがわかった。これはリサイクルの機会や場所の不足も 原因と考えられる。

(8) 現在計画中の内容とその実施時期

   新たに出てきたものとして、緑の絵を描く、科学出前レクチャーによる環境 フォーラム、が出てきた。この中で、出前レクチャーについては、ISO認証都市と同様なことが 行なえるのではないか。

(9) 将来的な環境教育について
(9.1) 将来的に環境教育を取り入れる理由

(9.2) 総合学習(2002年度から)に対する対策

(9.3) 総合学習に対する期待

環境問題が取りざたされる昨今、新指導要領にもあるように環境教育はこれからの重要な教育 の一つであるため、小学生のうちから基本的・潜在的な環境に対する知識や意識を育てることが 必要。

(10) リサイクルへの取り組み状況について
(10.1) リサイクルボックスの設置状況

(10.2) 回収している資源と,その使い道


* この他,ダンボール・テレホンカード・空き瓶・古紙・古布の回収を行っている学校があった.
* 牛乳パックの回収状況については,2ヵ月にダンボール1箱程度という回答が多かった.

(10.3) 資源の回収主体

  学校における資源回収は、回収量や率を上げるという側面もさることながら、 児童のリサイクルへの関心を高めるという点で意味が大きい。
  回収している資源は牛乳パックがもっとも多かった。回答を得た27校中18校 が牛乳パックを回収していた。学校に集められたのち市のシルバー人材センターの職員に回収 され、製紙業者に引き渡されトイレットペーパーなどに再生される。牛乳パックは市のゴミ回 収区分にはないので、回収の機会を与えるということにおいても意味がある。
空缶の回収は7校であり、クリーンセンターに渡される。空缶は市のゴミ回収区分にあり、 もっぱら児童への環境教育といった色あいが濃い。他のペットボトルやダンボール、空き瓶、 古紙、古布の回収を行っているところは少数である。こういった資源の回収が少ないのは回収 が学校ではなく他の主体によって行われていることが多いためと思われる。地域の子供会や自 治会などが行っているという声を多数聞いた。

(11) パソコンの導入について
(11.1) パソコンの主な使用者

(11.2) パソコンの設置場所・台数
図書室:23校


職員室:2校
端末室(コンピューター室):3校
オープンスペース:1校

(11.3) パソコンの使用目的

   多くの学校で、特に学園地域では全校で、パソコンを児童主体に使用させる と回答しており、さらにインターネットでの情報収集をさせるなど、児童へのパソコンの使用 を考えていることが分かる。しかし、ネットワークが整備される一方で、他校との交流を考え ている学校は、5校と少ない結果になっている。

(12) 結論
  つくば市内の小学校はISO認証済みの自治体と比較すると、学校の枠を超えた活動が少なく、地域への働きかけも行っていない。このことから、「つくば市内の小学校の取り組みは、ISO取得自治体には及ばない。」という仮説は立証された。また、(2)より各小学校の間で、環境教育に対する取り組み状況に大きな差があることも分かった。
次に、自然とのふれあいについては、学園都市部では公園などのつくられた自然を見る機会がほとんどであることが分かったので、周辺開発地域の方が自然とふれあう機会が多い、という仮説も正しいといえる。一方で、リサイクルについては地域による差がほとんど見られず、私達の立てた仮説は否定された。しかし、市全域で平均的に取り組んでいることが分かり、今後は、リサイクルに対する取り組みを市全域で向上させていく必要がある。


3-4 アンケート調査に関する調査結果

(1) 仮定
  私達は、次のような仮定を立て、アンケート調査を実施することにした。

(2) アンケート実施状況
対象: ヒアリング調査を行った学校のうち、アンケート実施の許可が取れた学校の児童の保護者に対して実施。今回は、小学校6年生または5年生の児童の保護者を対象とした。
配布部数:1397部
有効回答数:894部 (回答率64.0%)

(3) アンケート結果とその内容
アンケート結果

質問番号
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21
@ 724 58 13 162 64 50 498 197 515 375 301 565 380 67 379 490 302 105 200 776 835
A 128 535 330 8 74 482 294 419 277 47 467 316 173 172 380 105 196 433 396 90 34
B 26 287 535 684 651 173 66 95 73 418 109 319 643 121 285 376 347 88
  C 6 32 80 170 166 20 44
  無回答 10 14 16 8 25 19 36 17 9 10 17 13 22 12 14 14 20 9 210 28 25
  894 894 894 894 894 894 894 894 894 894 894 894 894 894 894 894 894 894 894 894 894
@ 81.0 6.5 1.5 18.1 7.2 5.6 55.7 22.0 57.6 41.9 33.7 63.2 42.5 7.5 42.4 54.8 33.8 11.7 22.4 86.8 93.4
A 14.3 59.8 36.9 0.9 8.3 53.9 32.9 46.9 31.0 5.3 52.2 35.3 19.4 19.2 42.5 11.7 21.9 48.4 44.3 10.1 3.8
B 2.9 32.1 59.8 76.5 72.8 19.4 7.4 10.6 8.2 46.8 12.2 35.7 71.9 13.5 31.9 42.1 38.8 9.8
C 0.7 3.6 8.9 19.0 18.6 2.2 4.9
  無回答 1.1 1.6 1.8 0.9 2.8 2.1 4.0 1.9 1.0 1.1 1.9 1.5 2.5 1.3 1.6 1.6 2.2 1.0 23.5 3.1 2.8

アンケート内容
以下の各質問事項において、最もご家庭の状況に近い選択肢の番号1つに○をつけて下さい。


Q1. ゴミの捨て方や、家の回りの美化についてどのようにしていますか。
1. ゴミを指定された曜日に出し、家の周りの美化につとめている。
2. ゴミを指定された曜日に出し、家の周りの美化についてはあまり気にしていない。
3. ゴミ捨ての曜日については気にしないが、家の周りの美化につとめている。
4. ゴミ捨ての曜日や、家の周りの美化についてはあまり気にしていない。

ゴミを指定された曜日に出すことは,決められており、地区住民同士でも暗黙の了解のようでしっか り守っている家庭が95%以上である。また家の周りの美化も、80%以上の家庭でつとめているという回答が得られた。


Q2. エコマークのついた商品についてどう思いますか。
1. エコマークのついた商品に関心があり,常に買うようにしている。
2. エコマークのついた商品に関心があり,たまには買っている。
3. エコマークのついた商品にはあまり関心がない。

エコマークのことが世間で話題になってからかなりの時間が経過したが、30%以上の人があまり関心がな いと答えている。また、常に買うようにしている人も6.5%であまり高くない。最も多い回答の、関心があり、たま に買っている、は60%近く得られたが、たまにというのがどれくらいの頻度なのか分からないため判断するのが難し いが、金銭的な面及び商品の種類の少なさが背後にあるのではないかと考えられる。


Q3. 買い物などには、どのような交通手段を利用していますか。
1. 自家用車は利用せず,常に自転車や徒歩でいく。
2. 自家用車も利用するが,近い距離であれば自転車や徒歩でいく。
3. 常に自家用車を利用している。

ここではやはり筑波の特性というべきか、常に自家用車を利用しているという回答が約60%を占めている。 常に自転車・徒歩という回答は1.5%でしかなく、使い分けている家庭が30%後半であった。


Q4. 歯磨きのしかたについて、普段どのようにしていますか。
1. 歯磨き粉を使い、水を出しっぱなしで磨く。
2. 歯磨き粉は使わずに、水を出しっぱなしで磨く。
3. 歯磨き粉を使い、水は必要毎にコップにためて磨く。
4. 歯磨き粉は使わずに、水は必要毎にコップにためて磨く。


Q5. 食器洗いについて、普段どのようにしていますか。
1. 合成洗剤液にすべての食器を一緒に入れて洗う。かつ、食物残飯もそのまま流す。
2. 油物は分けるが、合成洗剤で洗う。かつ、食物残飯も流す。
3. 汚れにより食器を分類し、洗剤も選んで使う。食物残飯はコーナーに受ける。
4. 事前に油を拭き取り、流水や米のとぎ汁などであらう。食物残飯はコーナーに受ける。

汚れにより食器を分類し、食物残飯はコーナーに受けるという回答が72.8%と最も多いが、食物残飯をそのまま流 すという割合が1・2あわせて15.5%あり、食物残飯が多く下水へ流れていることがわかった。


Q6. 洗濯の仕方について、普段どのように洗剤を使っていますか。
1. 無リン系の洗剤を直接箱から振り込んで使う。
2. 無リン系の洗剤を計って使う。
3. 粉石けんを使う。
4. 風呂の残り湯を使い、かつ、粉石けんを使う。

無リン系の洗剤を使用している人が1・2合わせて約6割であるが、粉石けんの使用も約4割で、環境に配慮している人 が少なくないということが伺える。しかし、依然として無リン系の使用者の方が多い。


Q7. シャンプーについて普段どのような洗剤を使っていますか。
1. 石油系合成洗剤のシャンプー・リンスを使っている。
2. 石鹸、またはアミノ酸系のシャンプーを使っている。
3. 髪の汚れに応じて、石鹸・アミノ酸系シャンプーを使い分けている。

これについてもQ6同様、石油系合成洗剤を使用する人が55.7%、石鹸又はアミノ酸系の使用者が32.9%で、石油系の使用者の方が多い。


Q8. トイレや台所で洗剤はどのくらいの量を使っていますか。
1. 常に基準量にしたがうようにしている。
2. 基準量は知っているが,厳密にはしたがっていない。
3. 基準量では汚れ落ちが悪いので,基準量よりも多めに使っている。
4. 基準量については知らない。

基準量を知らない人が2割いるということは問題があるように思う。また、基準量にしたがっている人も2割しかおらず、基準量で汚れが十分落ちることを明示するべきである。


Q9. 洗濯洗剤はどのくらいの量を使っていますか。
1. 常に基準量にしたがうようにしている。
2. 基準量は知っているが,厳密にはしたがっていない。
3. 基準量では汚れ落ちが悪いので,基準量よりも多めに使っている。
4. 基準量については知らない。

洗濯洗剤については、基準量について知っている人が約97%と高い値を示した。しかし、基準量を知ってはいるものの守っている人は58%と意識の低さが伺える。


Q10. 油で汚れた食器や食用油はどのように処理していますか。
1. 食器は不要な紙や布で拭きとり、食用油も排水口に流さない様にしている。
2. 食器は不要な紙や布で拭きとっているが、食用油は排水口に流している。
3. 食器は不要な紙や布で拭きとっていないが、食用油は排水口に流していない。
4. 油で汚れた食器や食用油の処理にはあまり気にしていない。

油を排水口に流していない人は88%と何らかの形で処理している人が多く、意識の高さが伺える。しかし、油の処理について意識していない人も10%近くおり、これは低い値とは言いがたいので、油の与える環境負荷についてもっと知ってもらう必要があるのではないだろうか。


Q11. 雑排水についてはどのように処理していますか。
1. 煮汁の残り、味噌汁の残りや油汚れの処理についてはあまり気にしていない。
2. 出来るだけ残り汁が出ない様に工夫する。
3. 家庭用のためますなどを設け、自家処理をしている。

雑排水をなるべく出さないようにしている人と自家処理をしている人は、全体の64%を占めている。一方で34%近くの人が意識をしていないなど、油と比べると処理の意識は低いことがわかる。


Q12. 三角コーナーに水切り袋などを使用していますか。
1. 使用している。
2. 使用していない。

三角コーナーに水切り袋を使用している人は63%だった。しかし、三角コーナーに水切り袋は使用していないが、排水口の網で食物の残りかすを受け取り捨てるといったようなやり方で処理している人も多く、この質問からは一概にはっきりとした結論はいえない。


Q13. 風呂洗いについて、どのように掃除をしていますか。
1. 汚れたら石油系合成洗剤を使って掃除をする。
2. 汚れたら石鹸系洗剤を使って掃除をする。
3. 汚れる前に、こまめにスポンジやたわし等を使って洗う。

お風呂洗いは、汚れてから掃除をする人が約60%で、その中でも石油系合成洗剤を使用している人のほうが多く、意識に低さがわかる。入浴は毎日のことなのに、汚れる前にこまめに掃除をする人が少なかった。


Q14. 買い物をする時、買った商品を何に入れて持ち帰っていますか。
1. 常に、かごや袋を持っていき、店から袋をもらわないようにしている。
2. たまに、かごや袋を持っていき、店から袋をもらわないようにしている。
3. いつも店でもらえる袋を利用している。

買い物の際の袋は店でもらうという人が7割以上であり、自分の袋を持参するという習慣はあまりついていないようである。また、私達の感じることとして、スーパー側も買った品物に対して過剰に袋を渡しているように思われる。


Q15. トイレットぺーパーはどのような素材のものを使っていますか。
1. 常に再生紙のものを使っている。
2. たまに再生紙のものを使っている。
3. 常にパルプ100%のものを使っている。

トイレットペーパーは、再生紙使用の人が1・2を合わせれば8割を超え、再生紙利用は進んでいるといえる。また、再生紙の質がもっと向上すれば使用する、という意見も合った。


Q16. 空缶、空き瓶の処理はどうしていますか。
1. ほとんど、リサイクルにまわしている。
2. たまに,リサイクルにまわしている。
3. ゴミとして出している。

空缶・空き瓶は、リサイクル物品の中では、比較的リサイクルがよいということが、次の質問の回答と比較するとわかる。これは、メーカーのリサイクルに対する活動の積極さが原因ではないか。


Q17. 牛乳パックの処理はどうしていますか。
1. ほとんど、回収にまわしている。
2. たまに、回収にまわしている。
3. ゴミとして出している。

牛乳パックに関しては、空缶・空き瓶と比べるとリサイクル率は低い。この原因としては、Q19でもふれるが、「牛乳パックを洗って保管する場所がない。牛乳パックを他の方法で再利用している。」等である。


Q18. バザーなどの不用品のリサイクルには参加していますか。
1. しばしばリサイクルに参加している。
2. 何回かリサイクルに参加したことがある。
3. リサイクルに参加したことはない。

不要品のリサイクルは、リサイクルの中でも一番リサイクル率が低い。これは、不要品リサイクルの機会や場所が限られているために、参加し難いということも、原因の一つである。


上のQ17、Q18で2.または3.を選択された方にお伺いします。
Q19. リサイクルにまわさない理由は何ですか。
1. 手間がかかるのが面倒であるから。
2. そのような機会や回収場所がわからないから。
3. その他

リサイクルにまわさない理由の多くは、そのような機会や回収場所が分からないというものであった。従って、これらの機会や場所を設ければ、リサイクル参加率はもっと多くなると予想される。


Q20. もし、小学校にリサイクルBOXが常設されていたら、積極的に参加しますか。
1. 参加する。
2. 参加しない。


Q21. もし、ゴミ回収場所にリサイクルBOXが常設されていたら、積極的に参加しますか。
   1. 参加する。
   2. 参加しない。

(4) 結論
各仮定に対して、それぞれ次のような結論が得られた。まず、「牛乳パックを回収に 出している方がリサイクルに参加するのではないか。」という仮定に対しては、仮定の通 り、回収に出した事のある人とない人では差が出た。ゴミとして出している人も80%以 上の人がリサクルに参加すると答えているので、リサイクルボックス設置は有効であると 考えられる。


次に、「牛乳パックを回収に出している人の方が環境に配慮し、トイレットペーパーも 常に再生紙のものを購入するのではないか。」という仮定については、グラフを見ても明ら かなように牛乳パックを回収に出している人は環境配慮への行動の意識が高く、トイレット ペーパーもパルプ紙のものではなく常に再生紙を使っている人が半数の50%近く折り、たま に再生紙を使う人を含めると90%近くに上っている。よって手間のかかる事でも家庭で行って いる人は、購買の際にも環境に配慮した行動をとっている事がわかる。

最後に、「リサイクルボックスを設置している学校の保護者の方が、設置していない学 校の保護者よりもリサイクルに関心があり、回収にまわしているのではないか。」という 仮定においては、仮定の通り、リサイクルボックスを設置している学校の保護者の方が、設 置していない学校の保護者よりも回収にまわしている率が高い。このことからも、リサイク ルボックス設置は有効であると考えられる。


3-5 まとめ 

  今回の実習を通して私達は、つくば市の環境教育を推進していくために次 の2点を提言する。まず、現在、リサイクルボックスを設置している学校でそれなりの量を 回収できている一方で、アンケートの結果より、どこでリサイクルを行っているのか分から ないという意見や、学校にリサイクルボックスが設置されたら参加するという声が多くあっ た。また、ゴミ集積場にリサイクルボックスが設置されても参加するという声も多かったが、 つくば市内の全ゴミ集積場に設置するとなると、リサイクルボックスの設置費用が膨大なも のになると思われる。また、リサイクルの推進教育を行なわないで、リサイクルボックスの みが設置されても住民の参加状況は予測できない。そこで、リサイクルボックスをつくば市 内全小学校(36校)に設置することは容易なことから、まずは児童へのリサイクルに対する 興味を起こすためにも、リサイクル普及の足がかりとして、市内の全小学校に、リサイクル ボックスを設置することをすすめる。
  次に、今挙げたリサイクルについて、リサイクルを行っている施設や店舗、 回収した資源の使い道などについては、市民が広く知らなければならない。この他にも、つく ば市の環境を守るためには、市民一人一人の努力が大切だが、そのためには、環境保護の為の 知識となるような内容を市民が知ることが大切である。このような内容をつくば市の全市民に 伝えるための最適な情報手段は、つくば市の広報誌だ。よって、市の広報誌の中で環境やリサ イクルといった内容に関するコーナーを設けることを提言する。

次へ

 目次へ