公園のトイレはイメチェンできる!!
都市計画実習インフラ班
第2章 調査
2−1.既存研究調査
水野(2005)の調査によると、公衆トイレには4Kというものがあり、これは、「汚い」・「暗い」・「こわい」・「臭い」というネガティブなイメージにつながるものであるという。さらに、公衆トイレに必要不可欠なものはなにかとの問い(表2-1)に、「清潔さ」と「安全性」と答えた人が8割を超えた。改善してほしいトイレはどのようなものかとの問い(表2-2)に関しては、「公園・歩道のトイレ」が75%超。この時点で、公園のトイレというものは非常にネガティブイメージが強く、これを変えていく必要があると考えられた。また、公共トイレで改善してほしい点についての問い(表2-3)に関しては、9割近くの人が「きれいにしてほしい」と回答した。
さらに、澤田ら(1994)の調査においても、京都府立大学の女子学生を対象にアンケートを行った結果、公衆トイレのイメージに関して、「汚い」と回答したひとは80%を超えていた。きれいにするということだけでも、大きなイメチェンが望めることが分かった。
表2-1 公衆トイレに必要不可欠なものはなにか(水野映子(2005):トイレに対する生活者の意識)
表2-2 改善してほしい公共トイレはどこのトイレか(水野映子(2005):トイレに対する生活者の意識)
表2-3 公衆トイレをどのように改善してほしいか(水野映子(2005):トイレに対する生活者の意識)
2−2.現地調査
2−2−1. 現状調査
まず、つくば市内15公園を、公園の種類がすべて含まれるように注意しながら調査を行った。調査対象は表2-4の通りである。
表2-4 調査対象公園及び調査日程
この調査により、洞峰公園のような大規模公園ではトイレがきれいな状態であり、すずかけ公園のように小規模な公園では汚い状態であることがわかった。
ここで、トイレを評価するために、"汚い"つながるものとして、「ごみ」・「床や壁の汚れ」・「破損状況」・「落書き」の4点をKJ法により定義し、きれい指数を導出した。各項目に関して0・1・2の3段階でそれぞれ評価をし、満点を8点とした。8点に近くなるほどきれいであるということである。結果は表2-5のようになった
表2-5 15公園のきれい指数比較
表2-5から、面積が大きいほどきれい指数は高くなる傾向があるのではないかと考え、面積ときれい指数の関係をグラフに表した。
図2-1 きれい指数と公園の面積の散布図
相関係数は0.716であり、面積の大きさときれい指数に高い関係性がみられるといえる。つまり、面積が大きいほどきれい指数は高く、逆に面積が狭い公園のトイレほど汚いということが統計的に証明されたということである。
そこで研究の対象を面積の狭い街区公園に絞り、さらに私達の研究のモデルケースとして竹園2丁目のすずかけ公園を選定した。すずかけ公園を選定した理由としては、きれい指数が0点で最も低かったこと、現地調査した公園の中で最も面積が狭かったことが挙げられる。
2−2−2. 利用者数調査
以下の日程ですずかけ公園の利用者数について調査を行った。
表2-6 すずかけ公園の利用者数及びトイレの利用者数
2−2−3. インタビュー調査
すずかけ公園のトイレに関して、竹園2丁目街区住民にインタビュー調査を行った。概要については表2-7の通りである。
表2-7 インタビュー概要
調査中にトラブルが発生したため、サンプル数は13と非常に少ない結果であった。しかし、私たちの調査では、すずかけ公園のトイレが必要ないと考えている住民は0人であった。「無かったら困る」という意見が多数を占め、「子供の緊急事態に必要」と答えた人もいた。
2−3.聞き取り調査
すずかけ公園のトイレについて、つくば市都市建設部都市施設課へ聞き取り調査を行った。まず、必要性に関しては、必要との回答が得られた。理由の一つとしてあげられるものに、造るのは簡単だが、壊すのはコストもかかり、難しいということがある。さらに、つくば市内の公園で過去に住民の意見でトイレの取り壊しを行おうとした際に、他の住民から猛反発を受けて取り壊しにいたらなかった経緯があるという。壊せば壊したで造れという意見があるのが現状であるそうだ。さらに、街区公園のトイレは街区住民はもちろん、宅配業者や営業マンなど、街区に仕事に来ている人達も対象としているとのことであった。
すずかけ公園のトイレの清掃・管理に関しては筑波都市整備株式会社に委託しているとのことであった。契約に関しては以下の通り。
契約 52回/年 (1回/週の計算である)
人件費 ¥9,400/1日(8時間)
1uあたりの時間 1日×0.00850 時間 =4分
¥9,400×0.00850=¥80
すずかけ公園のトイレ面積 4uであるため
4u×¥80=¥320(16分)
年間 52回×¥320=¥16,640/年
ここからわかるように、予算に関して非常に少ないという印象を受ける。ここまできれい指数が上がらないのはこの人件費のためではないかと考え、これについて筑波都市整備株式会社に問い合わせた。「すずかけ公園のトイレ掃除1回にかけている時間はどれくらいか。」との質問に関して、「時間という感覚はなく、きれいになったら終わり。30分くらいかかっている。」という回答が得られた。市の回答とは大きく食い違っていることがわかる。ここで、実際に30分掃除していると考えた場合、大赤字である。
また、つくば市への聞き取りにより、コストが非常に低く、ここからさらにコストを削減することは困難であるとの回答を得た。さらに、公園のトイレに重点を置いていないために予算を増やすことは出来ないということがわかった。ここから、予算を増やすことも減らすこともなく、きれい指数を上げていく方法を考える必要がある。
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