本論2

アンケート調査
現地調査
分析

アンケート調査

1. アンケートの概要
検定するために学生220人を対象にアンケートを行った。調査を行う目的として以下の目的が挙げられる。
@学生目線での危険な場所を把握する
A自転車と自動車はそれぞれどんな行動規範で走行するか把握する
B走行時の考えに食い違いが発生しているか確認する

2. 自転車と自動車の交通マナーの評価
学生の自転車マナーと自動車マナーについて客観的な評価を得るために、 良い、どちらかといえば良い、どちらともいえない、どちらかといえば悪い、悪い、の5段階評価で評価してもらったところ、以下のような結果となった。(図3、図4)
                         

     図3 自転車の交通マナー         図4 自動車の交通マナー



アンケート結果からは、自転車の交通マナーは悪いと答えた人は21%、どちらかといえば悪い答えた人は48%という結果となっている。これは全体の約7割はマナーが悪いという考えとなっている。
また、自動車の交通マナーに関しては悪いが14%、どちらかといえば悪いが29%となっている。全体の約4割が、マナーが悪いと答える結果となった。
自転車、自動車のマナーともに良い、どちらかといえば良いと回答した者は10%に満たないことからも学生の自転車、自動車のマナーは良いと言えないことが分かる。


3. 自転車のマナーの何が悪いかについて
私たちは、自転車マナーについて、学生は自転車マナーのどこが悪いか種類を2つまで回答してもった。このアンケートは、4.2で自転車のマナーが悪い・どちらかといえば悪いと答えた139名の意見をまとめたものである。結果は以下の通りである。(図5)

図5 自転車マナーの何が悪いか


アンケートの結果からは、無灯火運転、並走運転が悪いと考えているという人は70人、69人という結果になっていて、全体の約半数がこの項目を選択している。他にも傘差し運転、信号無視、一時不停止、右側通行、歩道走行、二人乗り、その他の順番で票が集まっている。


4. 学生が実際にした事のある違反行為
次に私たちは、学生の自転車のマナーが悪いと回答した学生が実際に行ったことのある違反行為についてすべて回答してもらったところ、以下のような結果となった。

図6 経験のある違反項目



アンケートの結果から、学生は傘差し運転をしがちであることがわかった。

5. マナーが悪いと思っている人の走行規範
次に私たちは、4.3と4.4の結果から客観的にマナーが悪いと考えている人は実際にどのような運転をしているかアンケートの結果から推測をした。

以下の表は、横軸が4.4の結果を表し、縦軸が4.3の結果を表している。

表2 マナーが悪いと思う点、実際の違反の関係


表2の結果から夜間の無灯火が悪いと考えている人は、4.4から70人いて、その70人の内夜間の無灯火を実際にしている人は30人に野没ことが分かった。他の結果についても同様で、客観的に他人のマナーが悪いと答えても実際には自分もマナー違反をしていることが分かった。




6. 学生がヒヤリとした場所、危険だと感じる場所
私たちは、アンケートで過去半年でヒヤリハット体験をした場所を地図に丸で記入してもらい、また学生自身危険だと感じる場所を三角で記入してもらった。
この結果、次のような結果が得られた。柴崎交差点、大学南交差点、平塚線中央交差点、春日4丁目カフェジャーナル前がヒヤリ体験をしたり、また学生自身が危険そうである場所として挙げられている。




図7 交通事故のハザードマップ(防災班作成)



現地調査

現地調査を行うにあたり、ヒアリング調査で筑波大学学生生活課からいただいた「筑波大学交通事故ハザードマップ」と筑波大生が関わった交通事故一覧を用いて、分析を行い、大学周辺の事故が多く発生している危険な場所をアルファベットで指示しているところとして、現地調査を行った。
1. 目的
@ アンケート調査で得られた筑波大学周辺の危険なポイントでの詳細把握
A 事故、ヒヤリハット体験があった場所で実際にどのような違反がどのくらい行われているのかを把握
B 危険な走行を行っているのは主に自転車、自動車どちらなのか。

2. 調査場所
@ 柴崎交差
A 大学公園南交差点
B 平塚線中央交差点
C 春日4丁目カフェ前
(図1)

3. 調査日時
2010年6月中、朝8時から9時・夜19時から20時



        (図8 現地調査対象の場所)




4. 調査結果




(表3現地調査結果)


@ 統計的結果は図2のように表れている
A 各調査地点により自転車のながら運転・無灯火・信号無視など違反行為の発生状況は図3、図4、図5、図6で表れている




           (図9 柴崎交差点結果)





            (図10 大学入り口前交差点)





(図11 ミニストップ前交差点)





(図12 春日4丁目カフェジャーナル前)




結果、現地調査の結果から自転車マナー違反のケースが多いことが分かった。
・ 総合的夜間の自転車の無灯火率は21.8%の結果から約5人に1人が無灯火で運転している。
a.春日4丁目カフェ前に無灯火率は約29%であり、約3人に1人が違反行為をする。
b.柴崎交差点に無灯火率は約26%であり、約4人に1人が違反行為をする。
・ 日中の音楽を聴きながらの走行の割合は15.8%であり、約6〜7人に1人が音楽を聴きながら運転している。
・ 自転車の信号無視が約8.9%で多いことがわかった。


分析
アンケート結果の分析を行った。分析方法として、以下の2つを使用した。

・t検定
・数量化U類

分析は大きく分けて2つ行った。テーマは以下の通り。

@ 事故る自己中
A 歩行者という名のチャリ


1. 事故る自己中
 事故・ヒヤリハット体験の起こるリスクを高めているのは、自己中心的な運転ではないかという仮説の検証のために行った。
1-1 走行時の考え方に違いはあるのか?
自転車と自動車の利用頻度によって、自転車走行時の意識に違いは現れるか。自転車の利用頻度の高いグループと、自動車の利用頻度の高いグループに分け、「自動車はいつでも注意を払ってくれていると思う」という質問で違いが現れるか、t検定を使い分析した。尚、数値が低いほど、あてはまらない傾向にある。


|t|=2.394であり有意となった結果、自転車利用頻度が高い人のほうが自動車はいつでも注意を払ってくれていると思ってないという傾向が表れた。

1-2 自動車の運転マナーをどう考えているか?
自転車の利用頻度が高く、「自動車はいつでも注意を払ってくれている」と思っていない人とそうでない人で車のマナーに対する違いは現れるか。自転車利用の高い人を、「自動車はいつでも注意を払ってくれていると思う」という質問で、そう思う、思わないの2つのグループに分け、自動車のマナーの感じ方に違いが現れるかt検定を使い分析した。尚、分析において0をマナーは良いと考える。1をマナーが悪いと考える。というように仮定した。


  |t|=2.523であり有意となった結果、自動車はいつでも注意を払っていないと思っている人のほうが、自動車のマナーが悪いと感じている傾向が表れた。

1-3 自転車走行時に違反行為をどの位しているのか?
自動車はいつでも注意を払ってくれていると思わない人たちは自転車走行時にどのくらい違反を行っているのだろうか。自転車走行時にやったことのある自転車違反種類数の平均を自動車はいつでも注意を払ってくれていると思わない人たちと全体のそれぞれ2つ計算し、比較した。



結果、自動車はいつでも注意を払ってくれていると思わない人は
『自動車がいつでも注意していると思わない』
『自動車のマナーは悪いと思う』
と考えているにも関わらず、自分の自転車違反種類数は全体の平均のよりも高くなった。


1-4 走行時の考え方に違いはあるのか?
自動車はいつでも注意を払ってくれていると思わない人たちとそれ以外の人たちとで走行時の考え方に差が現れるか。2つのグループに対し自転車走行時の考え方を質問した5つの項目の回答に違いが現れるか、t検定を使い分析した。



|t|≧2のとき、考え方に差があるといえる。各|t|の値より、自動車はいつでも注意を払ってくれていると思わない人とそれ以外の人で走行時の考え方に差があるとはいえない結果となった。



分析@まとめ

自転車走行時、自分の走行は棚に上げ、自分以外の走行ばかりを悪いと考えているのではないのだろうか。




2. チャリという名の歩行者

事故・ヒヤリハット体験の要因とはどのような違反行為、走行時の考え方なのだろうかという仮説の検証のために行った。

2-1 事故・ヒヤリハット体験の要因とは?
 事故・ヒヤリハット体験の要因となる違反行為とは何か。事故・ヒヤリハット体験の有無を目的変数として、各違反行為がどれぐらい影響しているか、数量化U類を使い、分析した。

図13:アイテム・レンジ







以上の結果、事故・ヒヤリハット体験の有無に対し、より強い影響を及ぼしている傾向にあるのは、以下の3項目であった。

・夜間の無灯火
・並進走行
・二人乗り
尚、これらはすべて自転車走行時の違反行為である。



2-2 違反行為に関係した走行時の考え方の違いは何か?
 3つの違反行為をそれぞれやったことのある人とない人で自転車走行時に考え方に違いは現れるのか。3つの違反行為をやったことのある人、ない人の2つのグループに分け、自転車走行時の考え方を質問した6つの項目の回答に違いが現れるか、t検定を使い分析した。尚、数値が低いほど、あてはまらない傾向にある。



|t|=2.258





|t|=2.029





|t|=2.838



3つそれぞれの|t|が2以上になり有意となった結果、3つの違反行為の該当者に共通して、「自転車も車両という意識で走行していない」という傾向が表れることが判明した。


分析Aまとめ

 事故・ヒヤリハット体験の要因として、夜間の無灯火・並進走行・二人乗りの自転車走行時における3つの違反行為が挙げられた。そしてその3つの違反に共通して、『自転車も車両という意識で走行していない』という傾向が表れた。


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