4.提案
はじめに私達が着目した輸送エネルギー消費に係る4つの改善案を提案する。 生活の改善を分かりやすくするために、我々はアンケート調査の平均値をもとに平均 的な葛城地区居住者の生活を送る阿部家(図4-1)という仮想世帯を設定した。現在の 阿部家は、葛城地区の平均と同じく地球1.74コ分の生活を行っている。この阿部家を舞 台に地球1コ分の生活となることを目指す。
図4-1:最強仮想世帯阿部家の構成
4−1.提案@地産地消
葛城地区居住者が普段購入している食品の産地を調査したところ、各々の食品に関して 、県外産と茨城産を半々くらいで購入していると回答した人が多かった(図3-2)。そ こで輸送エネルギー消費の削減を考え、県内産食品の購入を提案する。実際に、阿部家 が購入している野菜・米・たまご・牛乳・肉をすべて県内産に変えるとエコロジカル・ フットプリントは削減され、地球1.74コ分→1.70コ分の生活に減少させることが出来る。
4−2.提案A自家栽培
さらなる輸送エネルギー消費の削減を考え、自家栽培を提案する。ちなみに阿部家か ら徒歩5分の場所には「つくばファミリー農園(図4-2)」という市民農園がある。こ こで10坪の土地を借り、自家栽培をすることで阿部家3人家族が消費する野菜の約34% が自給可能となる。そして、地球1.74コ分→1.73コ分の生活に減少させることが出来る。
図4-2:10坪の土地で自由に自家栽培が可能
4−3.提案B自転車利用
アンケート調査から、葛城地区居住者の多くはつくば市内に勤務しており、その半数 以上が自動車で10分〜20分のところに通勤していることがわかった(図3-5)。そこで 、通勤手段を自動車から自転車に転換することを提案する。実際に、阿部家では、妻が 勤務先である桜庁舎まで自動車で13分かけて行っていたのを自転車に変えると、地球1.7 4コ分→1.63コ分の生活に減少させることが出来る。 ちなみに、自動車で13分の道のりを自転車で同様に走行実験したところ、所要時間は1 5分であった。この結果を踏まえ、比較的近距離に自動車で通勤している人に対して自 転車で通勤させることは可能であると考えた。
4−4.電車利用
飛行機でのエネルギー消費は交通のエコロジカル・フットプリントに大きく影響する 。そこで、飛行機移動を新幹線・電車移動に転換することを提案する。阿部家では年に 1度、家族で妻の実家のある神戸(兵庫県)に帰省する際に飛行機を利用していたが、 これを電車に変えると、地球1.74コ分→1.72コ分の生活に減少させることが出来る。 ちなみに飛行機で帰省した場合は神戸までの所要時間は1.5時間、新幹線・電車の場 合は5時間である。
4−5.地球1コ分の生活をするには
4-1〜4-4の提案全てを実施した場合、阿部家の暮らしは地球1.57個分になる。ここか ら見ても我々が着目した輸送エネルギー消費を減少させるだけでは地球1コ分の暮らし を実現させることは難しいことが分かる。しかし、地球1コ分の生活を目指すことを決 意した阿部家の熱意に応えるためにも、我々は新たに以下の3つの生活メニューを提案 することにした。
4−5−1リサイクル徹底
環境に配慮した商品購入をしたり、耐久財を長く利用するように努めたり、使用後は リサイクルすることで、製造・廃棄に関する資源・エネルギーが減少する。 これにより、地球1.57コ分→1.49コ分に減少させることが可能になる。
4−5−2.低燃費車
普通自動車から低燃費車に買い換えることで、EFを地球1.49コ分→1.30コ分に減少さ せることが出来る。今回低燃費車には、トヨタのプリウスを挙げた。
4−5−3.太陽光発電
オール電化によって、都市ガス・灯油・LPGの利用をなくす。もちろんこの際、電気 の利用は多くなる。そして、太陽光発電を導入することにより、自家発電で4151kWh分 の電力を補うことができる。これは、消費電力の約88%を自家発電で補えることとなる 。これにより、地球1.30コ分→1.10コ分の生活に減少させることが可能になる。
4−5−4.さらに
4-5-3までで、阿部家は地球1.10コ分の生活まで減らすことが出来た。 そこで、さらに阿部家の夫・阿部例児はまず禁煙を徹底することで地球0.01コ分のエ コロジカル・フットプリントを減らした。次に新聞を取るのを辞めることで、さらに地 球0.03コ分を。最後に、阿部家で購入する服の量を半分にする。つまり、期間的に2倍 長く同じ服を着続けることにより地球0.06コ分のEFを減らし、これで地球1個分の生活 が実現された。