第5章 終わりに



5−1.結論


 古くから信仰の山として親しまれ,今では茨城県内の主たる観光資源である筑波山は,現在登山客へのホスピタリティの低さと,
自然環境の破壊が問題となっている.それらは一見,相反する問題とも捉えられる.
すなわち,登山客への配慮を優先すれば,より自然破壊を助長し,
逆に自然環境の保全を追及すれば,入山規制など観光客を排除する方向へと結論づけられる.
 しかし私たちは,都市インフラの改善という観点から,登山道というインフラを整備することにより,この相反する二つの課題を持続可能な方向で改善に向けることができると考える. 登山客への情報提示とともに自然の保全を訴える案内板や,
各登山ルートへの登山客の分配によるオーバーユースの解消,これらは観光客の満足と自然の保全を同時に達成することができるものである.
 都市計画の観点から,観光施設の充実は望むべき点ではあるが,自然環境の保全を無視することはできない.その双方のバランスをとることを目指し,今回のこの研究と提案に到った.今回我々は筑波山に焦点をあてたが,他の多くの自然観光スポットがこの事例と似たような問題を抱えていることは想像に難くない.筑波山だけでなく,日本や世界各地の自然観光スポットにおいても,このような提案が必要とされるのではないだろうか.


5−2.今後の課題


@筑波山までのアクセスの問題

・行楽シーズンの交通渋滞
・北側の登山口への不便なアクセス

A費用負担の問題

・費用に見合った効果を得ることができるのか

B管理団体の連携不足

・指定管理者制度を視野に入れた一体的整備団体の設立

C地域やNPOの関わり

・筑波山の自然を守り,よりよい登山環境を提供するには,地域住民やNPOの協力が不可欠


前へ<<<<<<<<<<=============l結論,課題l=============>>>>>>>>>>次へ