社会的ジレンマについて
社会的ジレンマとは、個人的・短期的メリットのある行動を行うと、社会的・長期的メリットを損なう社会状況をいう。この社会的ジレンマを解決する方策として「構造的方略」と「心理的方略」の二つがあることが既存研究によって明らかにされている。「構造的方略」とは社会構造そのものを変革することで非協力行動から協力行動へと導くことである。「心理的方略」とは社会構造をかえず、行動変容を導く方略である。これらは同時に行われることが望ましいと考えられている。
過度な自動車利用は交通渋滞や地球環境問題などのさまざまな社会問題を引き起こすことから、社会的ジレンマであるといえる。地球温暖化対策のために自動車利用を減らすべきであるにも関わらず、ガソリンの値下げにより、自動車の利用量が増加し温暖化防止に逆行する影響を与えるという社会的ジレンマが起きたと言える。
また、暫定税率の復活、原油価格の高騰は自動車に起因する社会的ジレンマを緩和する方向に作用する「構造的方略」と言うことができよう。
図4.社会的ジレンマの例
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