現状調査
第二次大戦後、当時の日本の道路状態は欧米に比べて劣悪だった。1954年、自動車道路を整備する目的でガソリンに揮発油税が課せられた(13円/リットル)。1955年、さらに地方道路税が課せられた(4.4円/リットル)。この間幾度か税率の引き上げがあり、1964年、揮発油税引き上げ(24.3円/リットル)。合計28.7円/リットルが本来の税率である。
1974年、石油ショック対策と道路整備の財源確保のために暫定税率導入(29.2円/リットル)。1979年、地方道路税をひきあげる(8.2円/リットル)。その後、徐々に税率を引き上げる。1993年から2008年までは揮発油税が48.6円/リットル、地方道路税が5.2円/リットル、計53.8円/リットル。ちなみに、沖縄では揮発油税が42.7円/リットルで5.9円/リットル安かった。
2008年4月、暫定税率の期限切れと延長法案が成立しなかったため揮発油税と地方道路税が引き下げられた(揮発油税24.3円/リットル、地方道路税5.2円/リットル、計28.7円/リットル)。同5月、暫定税率の法案成立で再び引き上げられる。
暫定税率を延長するか廃止するかは議論が分かれている。マイカーが頼りの地方ではガソリン代が高くなると生活に打撃を与える。また、運輸産業も経営が苦しくなる。一方で、ガソリン税は道路特定財源として利用されており、暫定税率がなくなると道路整備がうまくいかなくなるという声もある。国会では、政府・与党は暫定税率を維持して道路整備を進めることを主張し、野党は暫定税率を廃止して消費者の負担を軽減することを主張している。
2008年3月末の暫定税率期限切れになる前に延長法案が衆議院で可決されたが、野党の多い参議院で法案の採決が行われなかったために、自動的に暫定税率の期限が切れた。その後、衆議院の法案が可決された後、参議院で60日以内に採決が行われないときに、衆議院で3分の2以上の賛成があれば法案が成立する(憲法第59条)ので、同4月、与党が圧倒的に多い衆議院の可決により、暫定税率延長法が成立した。
二酸化炭素の排出量の増加により、地球温暖化の問題が発生しているといわれている。このため、二酸化炭素の排出量を規制する必要があると思われる。今後は、ガソリン関連の税金を道路建設から環境対策にシフトしていくであろう。
ちなみに、ヨーロッパ諸国ではガソリン税(炭素税)をピグー税として、環境対策に使用している。
図3.原油価格の推移
原油価格が1年前の約1.7倍に値上がりした。これはなぜ起きたかというと、以下の3点が考えられる。
1.需給のタイト化
世界的な景気回復を受けて、原油需要が急拡大しています。特に経済成長率の高い中国が需要増加の先導役になっており、今年の需要増の約40%を占めています。一方、供給面については、過去数年に渡る生産調整が需給の構造的タイト化を招き、需要の飛躍的拡大に対応して超短期間で生産能力をあげることができなかったことは間違いありません。しかしながら、今年4月以降を見ると、需要を十分上回る供給が行われており、今回の原油価格高騰の原因と特定することは難しいと言わざるを得ません。
2.心理的供給不安
1に述べたような需給環境の中で、依然混乱が続くイラク情勢、サウジアラビアでのテロ、ナイジェリアやベネズエラの混乱あるいはロシアの石油会社ユーコスの経営危機など、供給不安を高める出来事が多かったことも今回の原油価格高騰の原因となっています。
3.投機筋の動き
WTI原油を上場している米NYMEXの参加者の内、約7割が実需を背景にした石油関係者、約3割が投資ファンド・個人投資家、金融機関等の投機筋と言われています。今回は、この投機筋が、需給超過による原油価格上昇に敏感に反応し、その資金が大量に市場に流れ込んで原油価格を需給バランスの実態以上に押し上げたと言われています。
出典:
http://www.fxprime.com/excite/bn_ykk/ykk_bn11.html
ガソリン税という名前は通称で、正式には「揮発油税及び地方道路税」のことをいう。現在1リットル当たり53.8円の税金が課され、そのうち25円が暫定税率分。いずれも、国税・間接税・目的税。国と地方の道路財源(道路特定財源)として使われている。
・揮発油税:揮発油税法(昭和32年4月6日法律第55号)に基づき、製造所から移出される又は保税地域から引き取られる揮発油に対して課される税金である。租税特別措置法に規定されている。
・地方道路税:国が地方自治体に対し道路建設の財源を譲与することを目的に、揮発油に課す日本の税金である。(地方道路税法1条)課税の根拠については、自動車の運転によって道路を毀損させる者に道路の整備、補修費用を負担させるもので、揮発油税と同様、その実質は受益者負担金的な意味があるとされる。
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