はじめに

1−1.研究の背景

 現在の地球温暖化の主な原因は、二酸化炭素濃度の上昇であると言われている(環境省ホームページ)。家庭での二酸化炭素排出に占める自動車利用に由る割合が28.5%(温室効果ガスインベントリ調べ)と大きいことから、地球温暖化対策のために各家庭において自動車利用を減らすことは重要である。また、つくば市の位置する茨城県南地域の交通機関分担率では、自動車の利用率が87%であり、非常に高い割合となっている。このため、つくば市の人々が自動車の利用を減らすということは大きな意味のあることと言える。
 また一方で、自動車利用を取り巻く状況として、今年4月に暫定税率の期限切れによって、ガソリンの値下げがなされた。ここで、暫定税率とは1974年に一時的に自動車に関連した税について引き上げられ、それから30年以上続いている税率である。
 政府は実際に、暫定税率の廃止によって人々の自動車利用量が増加し、値下げ状態が続くと二酸化炭素排出量が年間で国内排出量の1.9%に相当する2400万トンも増加すると試算を明らかにした。
 一方で、ガソリンの値下がりは一時的なものであり、暫定税率の期限が切れてから1ヶ月後の5月には再び復活し、ガソリン価格は上昇した。そして、近年の原油価格も急激な高騰もあり5月のガソリン価格は過去最高の160.1円/リットル(5月12日現在)となっている。また、原油の高騰は続いていて6月には5月をさらに上回る171.9円/リットルとなった。この暫定税率問題と同時に、道路特定財源の一般財源化するというガソリン税を取り巻く環境でさまざまな変化が起きた。


図1.つくば市を含む地域の交通分担率

1−2.研究の目的

以上の背景から本研究は
・暫定税率が廃止されガソリン価格が安くなっていた4月と、暫定税率が復活しガソリン価格が高騰した5月における人々の自動車利用意図の把握。
・人々のガソリン税(暫定税率、一般財源化)に対する意識の把握
・自動車削減のための意識変容を意図したコミュニケーションの効果測定
を行い、最終的には車の利用を減らすためのガソリン税関連施策を含む政策を提案することを目的とする。

1−3.研究の構成

 本研究では下図に示す研究の流れで4月と5月それぞれでアンケート調査を実施し、分析結果を考察し、明らかになったことをもとに車の利用を減らすためのガソリン税に関連した新たな政策の提案を行う。


図2.研究の流れ

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