第3章 問題点の整理

3-1 調査のまとめ

 以上に述べたように、私たちはこれまで 「設備・利用者の把握」、「管理主体・規則の把握」 と大きく分けて2つの調査を行った。 ここでは、それらの結果をまとめて考察し、 挙げられる問題点について考えていきたいと思う。

 1次アンケート調査よりバス停設備はバス利用者に良いイメージを持たれていないこと、 現地観察よりバス停設備の設置が均一ではないことがわかった。 また、文献調査、ヒアリング調査よりバス停の改善を行う為には 法律面・費用面の問題をクリアしなければならないこともわかった。 この問題をクリアする上で考慮する点は、「学内」「学外」の違いである。 この違いを簡単に表3-1にまとめる。

 

表3-1 大学内外での法律、費用面での違い

  大学内 大学外
法律面 厳しい制約はない 道路法32条、道交法77条
警察庁通達等の制約
費用面 現在、予算は組まれていない 補助金がないと困難

 

  このように、バス停を取り囲む環境は学内と学外ではかなり異なることがわかる。 そのため、環境実現可能生にも学内と学外のバス停では大きな差が出てくる。 本実習は当初、筑波大学循環バスの全26箇所のバス停を対象にして議論を進めた。 しかし、各調査を行っていく過程でバス停改善には様々な障壁が存在することがわかった。 法律面の問題や費用面の問題を考慮した結果、 今後は、より実現可能生が高いと考えられる 「大学内」のバス停について議論を進めていくことにする。 「大学内」を実現可能性が高いとしたのは、大学内の敷地が私有地であるため 道路法に基づく制約を回避でき、 また、大学ではキャンパス改造の為に独自の資金を持っていると考えたからである。 「大学内」に調査対象を絞ると、 筑波大学循環バスのバス停全26箇所の内18箇所が対象となる。 ここで学内バス停の設備を再確認してみる。

図3-2 学内バス停の設備設置率

 

 対象を「学内」のバス停に絞って考えると、バス停設備の設置率の高さが目を引く。 屋根、照明、案内図はほとんど全てのバス停に設置されている。 このため、設備の不足は少なく、新しく設備を設置する必要性が低いと考えられる。 今後、バス停の改善に向けて議論を進める上で、 高い設備設置率は大きなポイントとなると考えられる。

 

3-2 2次アンケート調査

■調査概要■

調査目的 各調査より、バス利用者は既存のバス停構造や 設備などに質的な不満を持っていると考えられる。 2次アンケートでは、その質的な不満を明らかにすることを目的とする。
調査方法 質問紙による調査
調査日時 6月6日〜6月9日
調査対象 筑波大学生316名(回収率100%)
調査内容 利用者の基本情報(学年・性別・バス利用の頻度)
      バス停設備に対する満足の有無
      バス停設備に対する不満(自由回答)
      バス停設備に求める質※注(快適性・安全性・明瞭性・独自性)

■調査結果■

□バス停に関する満足の有無

図3-3 バス停に対する満足の有無(n=316)

 

 バス停設備に対して満足している人は65%に上り、ほとんどの人が満足している。
 しかし35%の人は、何らかの不満を抱えていることがわかる。

 

□自由回答に書かれた不満の分類

図3-4 バス停設備に対する不満の分類(n=110)

 

 バス停に関して不満を抱えている人のうち、質に関して不満を感じている人が多く、 量に関しての不満は少ないことがわかった。 (運行システムに関する不満が多く挙げられたが、 これらはバス停設備に直接関わりはないため、その他に分類した)

 

□バス停に求める質

図3-5 バスに求める質(n=316)

 

※注

 バス停の質に関しては「人にやさしいバス停整備のあり方に関する調査報告書」 (財団法人交通アメニティ推進機構)で説明されている、 バス停に求められる3つの質を参考にし、 今回新たに〈独自性〉を加え、これをバス停に求められる質として使用した。 定義は以下の通りである。

「明瞭性」  バス利用者に求められる情報・表示の分かりやすさ
「快適性」  バス利用者に求められる身体的・精神的な心地よさ
「安全性」  バス利用時に求められる安全さ
「独自性」  筑波大学のバス停としての独特さ

 利用者は使用性をもっとも重視しており、その次に使用性・快適性と並んだ。 独自性は11人と少数ではあるが、バス停に筑波大らしさを求める声があった。

■2次アンケート調査まとめ■

1) ほとんどの人は、既存のバス停設備に満足を感じている。
2) バス停設備に不満だと答えた人は、バス停設備の質に不満を感じている。
3) バス停設備に求められる質は使用性、明瞭性、快適性、独自性の順である。

 
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