6.第2次実験

第1次実験により一学広場においては、迷惑駐輪をなくすことで混雑を解消できることが分かった。 しかし第1次実験は多くの時間と労力を必要とするため、この方法で常に迷惑駐輪対策を行うことは、 人手とコストを考えるとあまり現実的ではない。そこで、それほど時間や労力を必要とせず、第1次実験と できる限り同様の効果があると考えられる解決策を提案することにする。私たちが考えた解決策は、次のものである。

       @ ポスター・看板の設置、ビラの配布
       A 迷惑駐輪に張り紙をする
       B 駐輪場を増設する
       C 時間帯別駐輪場の導入
       D 通路と駐輪場の境界の明確化

これらの中で@〜Cは、今回の実験が短期的であること、学生間のトラブル、 宣伝の必要性があることなどの理由で大学から実施許可が下りなかった。そこで、唯一実施許可が下りた、 D通路と駐輪場の境界の明確化についての実験を第2次実験と称し、その効果として第1次実験と同様に駐輪状況とその時々の混雑レベルを評価した。




6.1 実験目的

迷惑駐輪は一台発生するかどうかが大きな分岐点である。一台発生すると続けざまに、 迷惑駐輪が発生する可能性が高い。現在の一学のペデストリアンを考えてみると、通路と、 駐輪場の境界がわかりづらく、迷惑駐輪を発生させやすい環境になっている。駐輪禁止区域は 黄色いラインが引かれているが、あまり目立っていない。ラインを引く場所が多すぎて、ラインの 重要性が際立たない。場所によっては、ラインが剥げている。など、問題がある。なので、新たに通路と、 駐輪場を明確に表示したラインを引くことで、迷惑駐輪の発生しにくい環境を作り出そうと考えた。




6.2 実験方法

まず、実験を行うに当たって、通路を示す赤いガムテープと、駐輪場を示す黄色いガムテープを引き、 通路と駐輪場の境界の明確化を図る。ガムテープは、6/6(水)の放課後に貼り付けることにする。 ガムテープを貼る場所は図のとおりである。今回は実験の効果が日が経つにつれて薄れていかないかどうか (経時的変化)についても調べるために、6/7(木)〜6/13(水)までの1週間のデータを取り、そのうち、6/7(木)、 6/11(月)、6/13(水)に効果の計測した。6/7は装置設置直後の効果、6/11は混雑の大きい月曜日での効果、6/13は、 短期ではあるが、効果の継続性を計る目的で行われた。計測時間は昼休みの11:25〜11:45と4間後の休み時間である。





6.3 実験の評価に用いる指標

  3つの評価指標を用い実験の評価を行うことにする。
    @平均速度…第1次実験と同じ
    A足を着いた人の割合…第1次実験と同じ
B駐輪状況…各調査日の14:00に駐輪台数を調査し、全駐輪台数(正規駐輪+迷惑駐輪)における迷惑駐輪の割合を計算して評価する。
  C迷惑駐輪の割合 = 迷惑駐輪の台数/(正規駐輪の台数 + 迷惑駐輪の台数)×100



6.4 実験の結果・考察

  第1次実験のときと同様に、1つ1つの指標によって評価していく。



A足を着いた人の割合

上の各グラフからすると、月曜日に関してはピークの時間が短くなり、それ以外の曜日では、ラインを引いた効果によって、 足をついた人の割合が低く抑えられて、さらにその効果が継続的に出ていることが分かる。



B駐輪状況   

駐輪状況では、ペデストリアンの交通の流れに直接影響を及ぼすC-D棟間の駐輪場に着いて注目する。 C-D棟間の駐輪場とは、左図でいうとJ,K,U,V,W,X,Y,Z,dである。

 以下に実験前と後で、駐輪状況がどのように変化したのかをあらわす表を示す。

この表から、実験実施時には、C-D棟間の駐輪台数が実験未実施時に比べて77台減少していることが分かる。 さらにその減少分のうち65台が迷惑駐輪であり、迷惑駐輪の割合も20%以上減少させることができた。 第一学群地区の総駐輪台数にはあまり変化がないのにも関わらず、C-D棟間の駐輪台数が減少したということは、 その自転車は別の駐輪場に分散したと考えられる。では、どこの駐輪場に何台くらい分散したのだろうか。以下の図に示す。


以上の三つの指標から、通路と駐輪場の境界の明確化を行ったことによって、第一次実験のようにとはいかないが、 迷惑駐輪が減り混雑は緩和したと考えてよい。また、短期的にではあるが、効果の継続性も見られた。しかし、 月曜日に関しは混雑が緩和されたとは言えない。月曜日の場合、ピーク時の駐輪台数が1学の駐輪容量を超えてしまっているため、 迷惑駐輪が発生しても仕方ない状態である。そのため、月曜日にも対応できる解決策が望まれる。他の曜日に関しては、今回の実験 で迷惑駐輪が減ったが、それは赤ラインにより迷惑駐輪をすることに抵抗を感じたためだと思う。今までの駐輪禁止エリア というのは範囲が広すぎて、少しくらいなら大丈夫だろうという思いを抱かせていたのだろう。

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