B行政(都市基盤整備公団)へのヒアリング調査結果
実施対象
都市基盤整備公団 下村 圭 氏
実施日時
2001年
6月12日(火)
つくばエクスプレス沿線開発地域内には、絶滅危惧種に指定されているオオタカが生息する島名・葛城地区内の森を含め、多くの森が存在する。このような森はいかなる人的行為も入れることが禁止され、オオタカの生活を見守るという法律があるので、茨城県・つくば市共にこの森を大規模緑地と認定して保全する。その他の沿線開発地域内に存在する森が今後、どのような形態をとられる予定なのかをつくば市・茨城県また茨城県と共に開発事業を進めている都市基盤整備公団(以下、都市公団)にヒアリング調査を行った。今回のヒアリング調査では茨城県・都市公団という開発事業施工者側が開発地域内にオオタカが存在していないならば、どのような開発計画があったのかという事を主に調査した。
つくばエクスプレス沿線開発地域内でつくば市内で対象となる地域は島名・葛城地区である。沿線開発は県・つくば市・都市公団の3者が共同で行っている。ここで県と都市公団は開発を計画し建設するまでがその役割であるが、その後の管理は行政としてつくば市が永続的に行う。そのため3者は計画段階から、その後の管理に不都合が生じないように相互に連絡をとり、開発計画を行ってきた。
現在の計画案では島名・葛城地区内にオオタカが生息するため、その森を大規模緑地として一切手を加えないことになっている。開発計画は初めはつくば=秋葉原の線路図だけであり、何処に何を作るのかという計画図は、環境調査(5年程度かかった)を行ってから書くものである。したがってオオタカが発見された後に計画図を書いたのだが、もしオオタカが発見されていなかったら、大規模緑地の存在を含め、開発計画図は現在のものとは違ったものになっていた事は確実である。しかしオオタカが生息していることは事実であり、これはこの地区を開発していく上での一つの動かない条件である。
つくばの沿線開発において「緑あふれる都市」はやはりメリットとして考えられる。つくば市も民有緑地を活かすために5つの方針を考えている。
緑地保全
開発地区内の良好な樹林地を永続的に残すために、保全や樹林の保育
を図る。都市緑地保全法の「緑地保全地区」の適用を考えている。
集合農地
緑豊かなまちづくりの重要な資源である農地の永続的な保全を図ると
ともに、地域住民と土とのふれあいの場を確保する。
平地林
つくばらしさを特色づける重要な緑として、永続的な保全を図るとと
もに、一部の樹林地を自然とのふれあいの場として活用する。
市民緑地
地域住民の身近な自然とのふれあいの場としての活用を図るため、市
と土地所有者との間で契約を結び、地域の人々に緑地を公開する。
宅地一体型緑地
開発地区内に残る数少ない既存樹林を活かし、宅地と樹林地を一体的
に利用したつくば型モデル街区を作り、沿線開発の魅力作りを行う。
開発計画に伴う区画整理事業により、大規模緑地内に土地がある人でも開発道路沿線に土地を所有できる。そのため住民から大規模緑地に指定されることへの不満の声は上がっていない。また既存の都市公園とは違い、自分の土地を緑地として保存してもよいという人が自分のお金で管理する緑地を民有緑地と指定して、開発地域内に設定している。