E 管理の結果生じたもの
先に延べたように、利用のために管理を行ってきたわけだが、結果として様々な植物や動物がその恩恵を受けることになった。例えば、下草刈りを行うことで常緑広葉樹の繁茂を防ぎ、枝打ちによって陽が射し込み、カタクリ、センブリ、オトギリソウ、ヤマユリといった様々な草が育つことができる。また、オオタカやフクロウなどの餌となるネズミなどの動きを見るのが容易になって、それらの鳥の生活の場になる。このように人の手が入った里山であるからこそ生息できるような動植物も存在し、里山こそ自然と人間との理想的な関係の一つであると言えるのではないだろうか。
F 里山の現状
こうして形成されてきた里山だが、エネルギー革命で石油等の化石燃料が用いられることによって薪炭の利用価値は下がり、化学肥料の登場によって落ち葉が集められることも減少した。このようなことがあり、里山全体の存在意義が無くなって、戦後から里山は荒廃し続けた。そうして人が滅多に入らないことから不法投棄の格好の場となったり、下草刈りが行われなくなって下草が繁茂して薮化するなどの悲惨な状態になっていった。
この悲惨な状態となった里山の現状を目にした我々は、このままではいけない、何とかしなければという気持ちになった。そこで我々は
「里山を残せる方法はないのだろうか」
ということを考えることにした。