D 里山の利用と管理
その利用として、まず燃料としてクヌギやコナラ等を炭や薪に利用していたことが挙げられる。そのための管理としては普段から枝打ちを行い、順調に成長するようにした。余談だがクヌギやコナラなどは、芽生えから20年近くで炭や薪に適した太さになるが、その時期になった木から人々は伐採して利用した。切り株からは、また新しい芽が生えてきて、それをまた選別して育てることで再び雑木林は再生するが、これを「萌芽更新」といい、里山はこういった再生サイクルで支えられてきた。里山に生える木は、優れた萌芽性を持ち、成長が早く、火持ちがいいといった薪炭材に適した性質を持っていた。このような木を里山に植えたところに先人の知恵を感じることができる。もう一つの利用としては落葉樹の葉をかき集めて、農家の屋敷林の端などに積んで、自然分解後に腐葉土とし、肥料として利用していたことが挙げられる。そのための管理として下草刈りが行われていた。それは、肥料として利用していたのは主に落葉樹の葉だが、管理を怠るとアズマネザサ(笹)やミズナラやシラカシなどの常緑広葉樹が繁殖し、落葉樹が姿を消してしまうから管理を行っていたという裏付けがある。