南部地区South District
背景Background
土浦市南部は、市内において最も都心に近い地域であり、交通の利便性に優れた立地条件を持つエリアです。この地域には、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)へのアクセスを可能にする桜・土浦ICや、JR常磐線の主要駅である荒川沖駅が位置しています。しかし立地の良さに恵まれているにもかかわらず、南部地域は市内における製造業従事者数が極めて少ない地域となってしまっています。このことから、立地条件を十分に活用できていないという課題も浮き彫りになってきています。
このような現状を踏まえると地域経済の活性化を図り、立地の優位性を十分に引き出すための新たな取り組みが必要になってきていると考えられると言えます。以上から南部地域では立地の良さを生かして地域の経済を活性化を行うことや将来の人口減少を見越して駅周辺での賑わいを創出することで低密化を防いでいく事が求められると考えられます。
また、南部地域は新治地区に次いで市内で2番目に高齢者の割合が高く、この地域の人口の3割以上を高齢者が占めています。この高齢化などの進展により、地域の持続性や都市機能の維持をどのように行っていくのかという事が今後の重要な課題となってきます。さらに将来は南部地域では荒川沖駅を中心に人口減少が進み、それに伴う都市の低密化が予想されています。このような状況は、地域経済や社会インフラに影響を与える可能性があります。
構想Concept
以上の背景より、南部地区を「産業から新しい価値を創造する都市」とします。
提案:土浦オープンギアTsuchiura Open Gear
この施策では桜・土浦IC付近で観光地としての活用も可能な形としてオープンファクトリー型での工場の誘致を行い、観光客も巻き込んで経済の活性化を目指します。
目的Purpose
・地域における産業振興から地域経済の活性化
・大規模な雇用の創出
・南部地域を新たな観光地としての活用
土浦市では工場用地が不足している一方で、南部などの立地の良い場所では製造業者数は多くありません。そこで桜・土浦IC周辺を工場用地として活用し、企業誘致と産業振興を進めていきます。これにより、工場での雇用を増やし、経済の活性化だけでなく地域の活気も維持していく考えです。さらに、オープンファクトリー型の工場を推奨し、製造拠点であると同時に観光拠点としての役割も持たせます。以上から、工場そのものの収益に加え、観光による経済効果を生み出し、周辺地域のさらなる活性化を図ります。
施策内容Content

この施策の工場用地は桜土浦IC周辺地区土地区画整理事業が現在進んでいる近辺であり、桜・土浦ICからすぐとなる所を検討しています。敷地面積としては20haを予定しており、その内訳としては工場で働く人々の駐車場、観光客用の駐車場の合計敷地面積を約3ha、生産施設(建物)が約17haほどとなる予定です。

中身としてはこの用地にはオープンファクトリー型での工場を誘致します。具体的にはこの工場予定地には1企業による大規模工場の設置を予定しており、必要に応じて複数企業の誘致も検討します。また、資力要件としては50億円以上の規模を持つ事業所を想定し、食品加工や精密機械などの分野の企業を優先したいと考えています。
オープンファクトリー型の工場としては工場見学ツアーと製品作り体験を実施し、地域の活性化に貢献してもらいます。工場見学ツアーでは、事前予約制で1日4回、1回あたり80~150名程度を受け入れ、製品の原料搬入から出荷までの工程をガイドの説明やAR等を活用して紹介していきます。また、稼働中の機械や職人の技術を間近で見学できるようにし、企業への理解と信頼を深めます。さらに、月に1~2回の頻度で来場者が製造工程の一部に参加する体験イベントを開催し、地域住民との交流を促進するとともに、製品やブランドへの愛着を高めます。
本施策の効果としては南部地域において土浦市の製造業従事者の約10%にあたる1200人という雇用の創出をします。概算ではありますが、この様な規模の工場の誘致が出来れば、税収として12億5千万円ほど得られるようになり、観光地としても機能すると地域経済にさらに大きな影響を与えるようになると思われます。
提案:シニアチャレンジショップSenior Challenge Shop
この施策では荒川沖駅周辺に存在している空き店舗を利用して高齢者が主体のチャレンジショップを展開することで高齢者の新たな働く場の提供と駅周辺での賑わいを創出することを目指します。
目的Purpose
・「高齢化」を「地域の弱点」ではなく「地域の強み」へと転換する場づくり
・高齢者が持つスキルやノウハウを若者が学ぶことで、地域内の世代間交流を活性化させる
近年、高齢化の進行が全国的な課題として認識されており、土浦市もその例外ではありません。特に市南部においては、高齢者の割合が既に3割を超えています。この現状を踏まえ、高齢者を「地域資源」として活用することで、街全体の魅力や活力を高める取り組みを展開していきます。さらに、このチャレンジショップの中で将来的にお店を自分で開きたいと考えている若者と一緒に働くことでお互いの理解を深め、世代を超えた交流をより活発にしていきます。また、この施策では、チャレンジショップを通じて、将来的に自ら店舗を持ちたいと考える若者が、高齢者と共に働く機会を提供します。これにより、若者は高齢者の経験から多くを学ぶだけでなく、お互いの理解を深めることができます。こうした取り組みを通じて、世代を超えた交流を促進し、地域全体のつながりを強化することを目指しています。
施策内容Content
シニアチャレンジショップは地域の高齢者と若者が協力し、空き店舗を活用して新たな商業活動を展開する施策です。本施策では荒川沖駅周辺の空き店舗を活用し、3~5店舗を活用します。各店舗の面積は20~30㎡で、家賃は月額4万~5万円で徴収することを想定しています。運営主体は高齢者と若者が共同で行い、高齢者は店舗の「マスター」としてノウハウ提供や運営を担い、若者は運営補助を行いながら実践的な経験を積みます。さらに行政は、空き店舗のマッチング支援や家賃補助、広報活動を担い、持続可能な運営を後押しします。営業は平日10時~16時、土日祝10時~18時とし、地域住民や観光客にも対応できる形とします。また手作り体験教室や、若者主導の商品開発会議を実施し、地域の活性化につなげていきます。最終的には若者が得たノウハウを生かし、地域での起業促進へとつなげることも検討します。
⚫︎高齢者
人数: 1店舗あたり1~2名
役割: ノウハウ提供、店舗運営
属性: 65歳以上の地域住民各店舗で「マスター」として活動。
活動時間: 1日4~5時間、週2~3日程度(負担を軽減)
技術を教える講師役や、店舗の顔として若者と協力。特に農業経験者、伝統工芸職人、料理の得意な方、元経営者などが対象。
⚫︎若者
人数: 1店舗あたり2~5名の交代制
役割: 学びながら店舗運営を補助
属性:地域の高校生、大学生、若手社会人が中心。
活動時間: 1日4~6時間、週1~2日程度。
店舗運営の補助(接客、販売、商品の補充、レジ対応)。高齢者からのノウハウ吸収や新商品企画へのアイデア提供。
⚫︎運営方法
営業時間
平日:10:00~16:00
土日祝:10:00~18:00
地域住民や観光客に対応できるように運営。
定期的に手作り体験教室や陶器や木工品作りの体験教室ワークショップやイベントを実施します。若者が中心となり、高齢者とともに商品のアイデアを形にする商品開発会議を行います。この様な企画によって地域住民もより多く巻き込めるようにしていきます。