地区別構想
私たちは課題別に土浦市を5つの地区に分類した。
各地区の将来像は以下の通りである。
交流拠点の整備、交通の再編、保育の再編、農業の活性化につながるプロジェクトを地区の現状や課題に合わせて行うことで、
各地区に活気を生むことを目標とする。
アクティビティを活用した交流拠点の整備
【対象地区】
中央地区
【提案の背景】
土浦市は、花火大会や、サイクリングロードなど土浦市外の人が一度訪れてみたいと思うものがある。しかし、それらを目的にして一度訪れるだけで終わってしまうことが多い。そこで、土浦を選んでくれるようにするには、土浦の魅力を知ってもらい興味を持ってもらう必要がある。また、中心部においては市役所や図書館が集約しており、それを目的にしてだけ中心部を訪れる人が多い。そのため、市民に対してももう一度中心部に訪れたいと思うようにする必要がある。
【提案内容】
土浦中心地に土浦の魅力を知ってもらう交流拠点の設置を提案する。この拠点は、モール505の東端の棟に設置する。1階には、土浦の魅力的な名産品のお店や、有名なラーメン店、昔の街並みを見ることができるVR施設など、土浦の魅力を体感できるものを配置する。そして、そこを訪れるきっかけとして、アクティビティの集約を行う。2階には、モール505に現在多く残っている美容院やマッサージなど自分を磨く施設を集約する。3階にはヨガやジムなど、体を動かす施設を配置する。そして、モール505のその他の棟は取り壊し、そこに3on3のバスケコートや壁打ちのテニスコート、フットサルコートを設置する。
イメージ図
デマンドタクシーを利用した交通の再編
【対象地区】
新治地区、おおつ野地区
両地区は下図のように利用可能な公共交通機関が少ない現状にあり、交通の再編が必要である。
【提案の背景】
現在、土浦市内でバス停徒歩5分圏内の人口は47.3%であり、市民の過半数は満足な公共交通手段を持っていない。
市民の移動は6割以上が自動車によるもので、中でも買い物、通院などの日常生活にかかわる移動は7割が自動車によるものとなっている。
デマンドタクシーは事前に予約した上で近隣の利用者と乗り合いで移動する交通で、コミュニティバスの採算が合わない地域で多く導入されている。 現在、土浦市は65歳以上を対象に自宅から周辺地域まで1回600円で利用できるのりあいタクシー土浦を運営しており、市は年会費の大半を補助している。 登録者は年々増加する一方、登録が不便という声や高齢者以外からも利用を望む声がある。
【提案内容】
今回の提案はのりあいタクシーの対象を全世代に拡大した上で、システムを簡素化し、より使いやすい交通として展開するものである。 具体的にはこれまで利用者の自宅を一軒一軒回っていた形式から発着点を用いる形式に改め、各集落の拠点を周回する形式とする。これにより徒歩移動が新たに必要となるが、迂回距離が短縮されることで乗車時間の短縮が期待できる。 特に現在地区内バス路線のない新治地区は一定のまとまりがある集落が分散していることから、発着点方式によるメリットが大きいと考えられる。 発着点方式は登録時にも利点がある。現在は利用者登録時に職員が利用者宅を訪問しているが不要となり、FAXや郵便で書類を送付するだけで登録が完了できるようになる。
【提案の効果】
このプロジェクトにより、市内全域・全世代に公共交通手段が提供可能となり、年間延べ利用者数が現在の約2万人から約4.5万人に増加すると予測される。利便性の向上したデマンドタクシーを利用することで高齢者の外出増加、中心市街地の訪問回数・滞在時間の増加が期待できるほか、自動車送迎トリップ減少で渋滞抑制、事故減少にもつながると考えられる。
多様な雇用を利用した保育の再編
【対象地区】
神立地区、荒川沖地区
【提案の背景】
現在、土浦市では約1800人の子どもが保育園を利用している。20時までの延長保育が可能であり、働く親にとっては心強い味方となっている。一方で、子どもが小学生に上がると、学校は16時には終了してしまうために、放課後に子どもを預けられなくなる、いわゆる「小1の壁」という問題が起こっている。
子どもの預け先として、土浦市放課後児童クラブや、土浦市ファミリー・サポート・センターなどが考えられる。しかし、放課後児童クラブは基本的に平日のみ、時間も18時30分までと限られている。ファミリー・サポート・センター事業は有償ボランティアとしての活動が原則であり、必ずしも利用者のニーズに応えられるとは限られない。
このような状況では、親は働き方を見直す必要に迫られる。土浦市は、働きたい子育て世代への支援が十分ではない。
【提案内容】
夜間まで対応できる子育て支援サービスを提案する。対象は主に小学生とし、学童保育の延長を行う。実施場所として、土浦市内のスーパーマーケットの一画を利用する。ただし、スーパーマーケットではなく土浦市が主体となって運営する。21時程度まで、スーパーの営業時間に合わせて実施する。人員には、子育て経験の豊富な高齢者を起用する。また、HPなどで空き状況の確認や利用予約ができるようにシステムを作る。
【提案の効果】
子育て世代にとっては、保育園に預けていた時と変わらず、フルタイムで働くことも可能となり、働き方が多様になる。高齢者への就労ニーズへの対応や、親の収入が増加することによる土浦市の税収改善が期待できる。さらに、子育て支援が充実することで、子どもを産み、育てやすい土浦市を目指す。
野菜加工工場を中心とする農業活性化
【対象地区】
新治地区、おおつ野地区
【提案の背景】
土浦市は、れんこんをはじめとする農業が盛んな地域である。しかし、農業産出額は減少している。
日本国内では、東京一極集中と単身世帯の増加が続いている。一人暮らしにとって、野菜をどう摂取するかは難しい問題である。そこで、カット野菜が注目されている。土浦市は豊富な種類の野菜を育てており、また東京からの立地も良い。
そのため、このような需要に十分こたえることができる可能性がある。
【提案内容】
旧山ノ荘小学校(下図)を利用し、規格外の野菜を中心に土浦市で生産された野菜を加工し出荷を行う、加工工場の建設を行う。この場所は、広大な敷地があるうえ、他の工場、IC、農地からも近く、生産と流通の面から有利である。具体的には、体育館を改修、増築(約1500㎡)し、加工工場を整備する。そして校舎は植物工場に改修し、もやしなど土浦では生産していない野菜や旬ではない野菜を生産する。する。加工工場及び植物工場の建設は土浦市とJA水郷つくばが共同で行う。規格外の野菜を契約農家から仕入れ、植物工場で作られた野菜とともに加工する。そして、加工されたものはパッケージ化し、出荷される。
【提案の効果】
このプロジェクトによる効果として、
・雇用の創出
・農家の採算性の向上
・土浦を中心とするブランドイメージの向上
が考えられる。農業は、新治地域、おおつ野地域にとって基幹産業であるため、農業の経営安定化を図るこの事業は、それぞれの地区に活気を生むことができる、そして、農業を土浦が選ばれれるまちの要因の一つにさせることができるのではないかと考える。