強い土浦  〜ゆるがないを持つ魅力あるまち〜
2016年度都市計画マスタープラン策定実習8班

地区別構想

目標都市像

神立地区「文化交流の拠点」

現状

 神立地区には神立工業団地があり、中国、韓国、ブラジルなどの国籍を持つ外国人労働者が多く住んでいます。実際に土浦市の町丁目別外国人市民数を見てみると、上位を神立地区が独占しています。しかし、同じ地域に住んでいても外国人市民と日本人市民が交流する場所や機会は少なく、外国人市民が増えることに対しマイナスイメージを抱く日本人市民も少なくありません。そこで、両者が交流することで互いのイメージも変わり、理解するきっかけになると考えました。


地区の構想

 神立地区を「文化交流の拠点」とし、国籍にかかわらずみんなが暮らしやすいまちを目指します。地区の特徴である永住外国人市民の多さと、未だ整備されていない駅周辺道路に対し、多文化の人が交流する機会作りと歩道整備を行うことで、周辺住民が日常的に交流できる場を設けるとともに、安全性の向上を目指します。


重点計画 歩行者専用道路と交流の場の整備

 重点計画として、駅前の神立中央通りの歩行者専用道路化を提案します。対象地は神立駅西口を出てすぐの通りで、幼稚園や商業施設が立ち並んでいます。現在は歩道が整備されておらず道も狭いため危険ですが、歩行者専用道路にすることで歩車分離となり安全性が高まります。また、歩行者専用道路沿いの空き地や駐車場を交流の場所として整備し、そこで日常的に住民が一緒になってコミュニティガーデンを造ったり、イベントとしてみんなで料理をしたり、絵を描いたりできるようにします。このように、言葉が分からなくても何かを一緒にすることで交流ができ、互いに理解するきっかけになります。

歩行者専用道路
図8 交流の場 整備前(左)と整備後(右)のイメージ

おおつ野地区「健康発信の拠点」

現状

 おおつ野地区には土浦協同病院を中心として商業施設や良好な住宅街、豊かな緑があります。ファミリー世帯の割合は他の地区よりも高く、医療関係者も多くいる一方で、医療関係者と地域住民との接点は少ない状況です。また、土浦市内で運動不足を感じる人が8割以上いることも課題として挙げられます。


地区の構想

 おおつ野地区を「健康発信の拠点」とします。おおつ野にある充実した医療施設や豊かな住環境などの特徴を活かし、そこに食事の提供・医療知識に基づいた質の高い運動促進・健康相談の実施などの施策を組み込みます。これにより健康活動の促進・地域住民と医療機関のつながりの創出を目指します。


重点計画@ 「つちまるケア」アプリの導入

 おおつ野地区を起点として、健康づくり事業への住民参加を後押しするためのヘルスケアアプリを導入します。このアプリでは以下のことを行えるようにします。
 ・日々の健康状態のデータの記録
 ・データに基づいた病院からの最適なアドバイスの受信
 ・土浦市の「広報つちうら」が行っている情報提供
そしてこのような健康促進活動に参加した人に「健幸ポイント」を与え、このポイントを貯めることで商品券への引き換えやおおつ野地区の商業施設での利用ができるようにもします。それにより、健康活動を行うきっかけをつくります。


つちまるケア
図9 「つちまるケア」アプリ

重点計画A 「Wellnessおおつ野」の設置

 土浦協同病院が監修する「Wellnessおおつ野」を地区の空き地に整備し、メイン事業としてつくば国際大学高等学校の家政科の学生による高校生レストランを開催します。ここでは新治で収穫された野菜を使った健康食を誰でも気軽に食べられるようにし、さらに気軽に医師・看護師に生活習慣病や肥満などの健康に関する悩みを相談できる「いきいきサロン」、ウォーキングやランニングなどの運動後の人が利用できるシャワー室を設けます。このような事業を行うことでWellnessおおつ野を健康活動の発信地とします。

Welnessおおつ野
図10 Welnessおおつ野

新治地区「スマート農業の拠点」

現状

 農家の高齢化が急速に進行するとともに後継者のいない農家も急増しており、農家の負担は大きくなっています。これに対し国や市も補助金など新規就農者を増やす取り組みをしていますが、新規就農する人が土浦市全体で毎年10人前後と少なく、このままの状態で農業を担っていくのは難しい状況です。


地区の構想

 新治地区の特徴である豊かな農業環境と周辺に立地している数多くの農業関係の研究機関を活かし、産官学の連携による最新技術の導入を行い、また、食として市民へ還元することで、新しい農業を求めて人が集い、農業と食が持続していくスマート農業の拠点を目指します。


重点計画@ 産官学連携によるスマート農業導入

 産官学連携によるスマート農業の導入と、スマート農業と市民を結ぶイベントを提案します。
 スマート農業とは、農業用ロボットのようなIT技術を取り入れた新しい農業であり、自動化によって少人数で効率的に農業をすることができます。また、気象状況などのデータを多用することで農業経験の浅い新規就農者でも質の高い農業がしやすくなるというメリットもあります。
 スマート農業の導入にあたって、農業法人「フレッシュ新治」を立ち上げます。フレッシュ新治は後継者のいない農家から農地を引き継ぎ、スマート農業に必要な施設の整備も行います。整備にあたっては、作業基地として廃校になる小学校を市から提供してもらうなどのサポートをしてもらいます。そして、周辺にあるスマート農業を研究開発している機関の協力を受けて最新技術を導入していきます。その代わりにスマート農業で得られたデータや意見を研究機関にフィードバックし、大規模実証実験のような形でコストを抑えてスマート農業を広めていきます。

フレッシュ新治によるスマート農業導入
図11 フレッシュ新治によるスマート農業導入

重点計画A スマート農業フェスティバル

 できた作物をJAの直売所やスーパーマーケットなどで販売するほか、スマート農業を見る、知る、食べるイベント「スマート農業フェスティバル」を定期的に開催します。ここではスマート農業の技術を展示し、消費者にスマート農業について知って興味を持ってもらったり、実際に食べてもらったりすることでスマート農業と市民を繋ぐ架け橋とします。


荒川沖地区「サード・プレイスの拠点」

現状

 荒川沖駅周辺には多くの人が住み、駅を利用する人も多いためベッドタウンとしての特徴があると言えます。また、荒川沖駅は市内3駅のうち最も東京方面に近いため、土浦市内と東京方面の中継地点とも言えます。ところが駅前にあったさんぱるは2015年1月に閉店し、現在は取り壊しの準備が始まっています。


地区の構想

 そこで、荒川沖地区の特徴を活かし、サード・プレイスの拠点とすることで、通勤通学の途中にサード・プレイスに立ち寄る新しい生活スタイルを提案します。


重点計画 「ikou荒川沖」の整備

 さんぱる跡地に「ikou荒川沖」というサード・プレイスの複合施設を作り、多様な「第三の場」を提供します。
 サード・プレイスというのはファースト・プレイス(自宅)、セカンド・プレイス(職場・学校)に次ぐ第三の場所「憩いと交流の場」と言われ、西欧では広く普及していますが、日本にはまだ浸透していません。一方でスターバックスコーヒーは日本にいち早くサード・プレイスという考え方を導入しています。スターバックスのようなカフェ以外にも公園やスポーツジム、映画館なども人々のサード・プレイスになり得ます。
 また、厚生労働省による調べでは従業員数1,000人以上の企業の27.7%がフレックスタイム制を導入しており、この時代の流れに乗り朝夕に時間を作ることで、サード・プレイスを利用する生活も可能であると考えます。
 ikouにはFree Wi-Fiを完備し充電スペースを設けることで通勤通学前後に仕事や勉強もできるようにします。館内にはカフェのスペース、和のスペース、映画のスペースを作ります。このような様々なコンセプトの中から自分だけの場所を見つけ作ってもらうことで、朝夕の通勤通学の間に余裕を持ち、より充実した生活を送れるようにします。このように荒川沖地区の特徴を活かしサード・プレイスの拠点とすることで、心のゆとりや憩いを得られるまちを目指します。

ikou荒川沖
図12 ikou荒川沖外装イメージ

中心地区「キャリア教育の拠点」

現状

 中心地区は高校生が多く集まるという特徴を持っています。中心地区だけで5,854人の高校生が在籍しており、これは周辺市町全体よりも多いです。また地区の大きな動きとして、2015年9月に市役所が移転し、新図書館も今年11月に開業予定となっています。


地区の構想

 中心地区を「キャリア教育の拠点」とし、中心地区、さらには周辺市町村からも学生来訪者を獲得できるような若者の集まるまちを目指します。中心地区の特徴に、充実した相談環境や自分発見、新しい関係を構築する機会などを整備することで、より多くの学生に自分の将来について考える機会を与えます。さらに、中心地区を訪れた学生にまちを歩いてもらうきっかけを作ることで中心市街地を活性化していきます。


重点計画 「Clear Life Tsuchiura」の整備

 新図書館の保留床にキャリア形成のための情報集約施設「Clear Life Tsuchiura」を整備します。この施設の大きな特徴は「斜めの関係」形成と「適性発見」ができる点です。斜めの関係とは先生のような指導者的存在と友達のような気軽に話せる存在の中間にあたる存在との関係であり、例えば自習の休憩がてらに気軽に進路相談や雑談することができます。また、「適性発見」については国立教育政策研究所のアンケートにおいて、高校生が最も指導して欲しいと回答した項目です。心理カウンセラーやキャリアコンサルタントとの相談機会を作ることで、適性発見できる環境を作ります。これら二つの特徴は、県南生涯学習センターや新図書館、各学校にはない強みです。
 施設には大学生に常駐してもらい、中・高校生と斜めの関係を築いてもらいます。この施設では主に以下のことができます。
  ・進路相談、適性発見
  ・企業パンフレット、進学先情報などの閲覧
  ・過去問や問題集、資格やの購入。過去の学生が利用した問題集の無料提供

Clear Life Tsuchiura
図13 Clear Life Tsuchiura内装イメージ

 各学校からClear Life Tsuchiuraに最短ルートで訪れる際、途中まちかど蔵や商店街、うらら広場を通ります。これらの施設やその周辺の地域と連携し、Clear Life Tsuchiura利用者に割引券を配布することで、まちの活性化を目指します。

最短ルート
図14 各学校から土浦駅前までの徒歩・バスでの最短ルート