重点計画

           

交通の「環」

・キララちゃんバス拡充
   交通の提案の一点目はコミュニティバスの新規路線の導入,ここではキララちゃんバスの増強として取り上げたいと思う.


図24.高齢化率と公共交通のカバー範囲

   現在,日中定期的に路線バスが走っている道路の半径300mのバッファを取ったもので,この範囲のほとんどの住民は最寄りのバス停まで徒歩5分圏内であると考えられる.この図から,新治地区,都和地区,神立地区,荒川沖地区で,公共交通が十分でない地域が存在していることがわかる.2010年11月に土浦市地域公共交通活性化協議会が開かれ,コミュニティ交通の導入について話し合われた.市で試験運行地区の公募を行い,新治・右籾・中村の各地区から応募があった.コミュニティバスの運行が実現するためには,地域公共活性化審議会の方針や,キララちゃんバスの運行基準として示されている,収入が運行経費の3割以上得ることができることがポイントとなる.コミュニティバスを運行すると,どうしても赤字になってしまいますが,独自である程度の収入源が確保されれば,市が補助金を出して運行をサポートするシステムとなっている.キララちゃんバスを参考にすると,1路線を運行するのに最低でも年間1000万円の経費が必要となってくる.

表6.コミュニティバス運行に際する年間経費

   ここで,応募されたそれぞれの計画案の沿線人口と日中の運行間隔を考慮したバス利用率から利用人数を算出し,どれほどの収入を得ることができるか推定した.運賃は200円均一料金を仮定する.


図25.土浦市におけるバスの運行間隔と利用率の関係

表7.コミュニティバス運行に際する年間経費

   その結果,新治地区では年間211万円,右籾地区では602万円,中村地区では708万円の収入が見込める計算になった.新治地区での運行は難しいことがわかり,右籾・中村の荒川沖地区では運行可能性を議論することができる数値が出てきた.

   そこで我々が提案するのは,土浦駅西口から「キララセンター」や新協同病院を回り土浦駅東口に戻り,その後公募エリアである右籾と中村の各地区を巡り,荒川沖駅西口に至る,所要時間65分のルートである.右籾・中村の公共交通空白地域を経由するほかに,我々が提案する新しい公共施設を通ったり,既存のキララちゃんバスと乗換えをすることができたり,路線バスとの競合を避けるためにバス停を減らして急行運転をすることで,沿線住民の中心部へ向かう足として機能し,中心市街地活性化の役割も担う.

表8.バスの運行間隔と利用率の関係(土浦市の実態・アンケート)


図26.新規提案路線と各町丁目人口(囲み部:沿線人口対象区域)

   それではこの路線はどれだけの費用対効果が見込めるか,試算を行った.先ほどの議論から,R/Cが0.3を超えれば事業の実施が見込めるとする.支出は小型ノンステップバス2台分の車両使用料や人件費,燃料費と,新規に路線を開業するためのバス停の整備費用を計上する.一方で需要は,沿線人口から1日の利用者数が216人と想定され,運賃を200円とすると年間で1570万円の収入が見込まれる.

表9.提案ルートの年間事業収支

   すると,年間経費対年間収入は0.526となり,経費の3割を運賃収入で賄うことができ,この路線は実現可能であると考えられる.

表10.新規提案路線の収入計算



・土浦駅西口ロータリー
<現状>
   土浦駅西口ロータリーの現状として,土浦駅前地区第一種市街地再開発事業で開発されたウララと土浦駅ビルを結ぶペデストリアンデッキがあり,動線が危険に交差しない駅前広場となっているが,既存の横断歩道や歩道を利用せず,車道を斜めに横断する利用客が多く,通勤時間帯となるとバスの往来も激しく,これにより歩行者とこれにより歩行者と路線バスの導線が交差しており危険な状態である.2007年9月29日にはバスと歩行者の接触による死亡事故も発生している.また,車椅子用の自家用車乗降場はあるがその他機能に関してバリアフリーの観点からも整備が必要である.

 
図27.現在の土浦駅西口の計画動線     図28.バス動線と歩行者動線が交差している様子

<分析>
   そこで,土浦駅西口のロータリーが適切な設備を有しているかどうかを駅前広場計画指針(98年式)により,利用者データから土浦駅西口ロータリーの最低必要規模を求め,現状と比較した.算定手法の流れとしては,現在の土浦駅利用状況のデータを算定式に挿入し,最小必要規模を求めた.(駅前広場利用者,交通空間基準面積,環境空間確保すべき面積,駅前基準面積)
   その結果,広場面積は現状9800uに対して必要規模は10840u,バス乗車バースは現状6箇所に対し必要規模3箇所,タクシー乗車バースは現状1箇所に対し必要規模1箇所,自家用車乗降バースは現状約12台に対し必要規模26台とされた.バス乗車バースの現状が過大のように見受けられるが,ターミナルである土浦駅のバス待機場はJRバス関東の車庫約2台分しかなく,現状,乗降バースが待機場となっているため,現段階では過大な状況とはいえない.また,実際の現地調査として,夕方〜夜にかけて送迎用の自家用車の利用状況を観察した.結果としては夕方の送車台数がかなり多く,現在の土浦駅西口の用意された送迎車用バースのキャパシティをはるかに越えていることが分かった.


図29.夕方の送迎車の様子


図30.駅前広場計画指針(98年式)による必要規模の算定

   詳細な面積算定式は以下に表示する.

交通空間基準面積=
@バス乗降場関連面積:(乗車バース数+降車バース数)×バス乗降場施設原単位+滞留客の計画交通量×バス乗車客1人当たりの滞留空間
+Aタクシー乗降場関連面積:(乗車バース数+降車バース数)×タクシー乗降場施設原単位+滞留客の計画交通量×タクシー1人あたりの滞留空間
+B自家用車乗降場関連面積:乗車バース数×自家用車施設原単位
+C駐車場関連面積:タクシー駐車台数の計画交通量×タクシー駐車施設原単位
+D歩道面積:(歩道にかかわる計画交通量÷歩行者密度)×平均歩行延長
+E交通処理のための車道面積:計画車道延長×計画車線幅員
+F付加的施設の面積



[施設別計画交通量の設定]
・バス乗降場に関わる計画交通量と施設数
 バス乗車バース数={((ピーク時バス乗車客数))/((バス1台当たり平均乗車客数))┤×├ (バスサービス時間)}1/60
バス降車バース数=(ピーク時バス降車客数)×(一人当たり後者所要時間)/60
 バス街滞留客の計画交通量=(ピーク時バス乗車客数)×(バスサービス時間)/60
・タクシー乗降場に関わる計画交通量と施設数
 タクシー乗車バース数=(ピーク時タクシー乗客数)×(1人当たりタクシー乗車所要時間)/60
 タクシー降車バース数=(ピーク時タクシー降車数)×(1人当たりタクシー降車所要時間)/60
・自家用車乗降場に関わる計画交通量と施設数
 自家用車乗降バース数={((ピーク時自家用車利用者数))/((自家用車平均乗車客数))┤×├ (自家用車平均停車時間)}1/60
・駐車場に関わる計画交通量
 タクシー駐車台数の計画交通量=((タクシー待ち滞留客の計画交通量))/((タクシー1台当たり平均乗車人員))

<提案>
   以上のことから,ロータリーの再整備を行い,公共交通と一般車のゾーニングを行うことにより,安全性の確保,更なる利便性の向上を図る.これにより安全安心な交通結節点を持った土浦の中心市街地の魅力は増加し,土浦の継続的な発展に寄与することができる.


図31.再開発後のロータリー分担予定図

   また,既存建築物であるペデストリアンデッキは再開発後も利用するものとし,現在のストックを最大限に活用する.再開発後のロータリーの仕様としては,全体の面積11000u,バス乗車バース6台,降車バース2台,タクシー待機バース約40台,自家用車乗降バース32台のキャパシティがある.自家用車用の乗降場に関しては駐車場形式で入り口にはゲートを設け,20分無料の以降10分毎100円の料金徴収体系をとる.ただし,朝のラッシュ時間帯に関しては無料開放とし,混雑緩和と利用促進を図る.自家用車用の駐車場のキャパシティに関しては近隣市町村のつくば市の様子や現在の土浦駅の利用状況から推測するに妥当であると考えられる.

 
図32.現在のロータリー北側の様子         図33.再開発後のロータリー北側のイメージ

 
図34.現在のロータリー南側のイメージ         図35.再開発後のロータリー南側のイメージ