4.研究調査のまとめ
今回の実習では,宿舎におけるゴミの分別排出状況の把握と牛乳パックの回収実験を行った.そこで,宿舎のゴミ分別状況把握するためにアンケート調査とゴミの組成分析をすることにした.その結果,宿舎のゴミ分別は完璧とは程遠いもので,なにかしらの対策が必要であるという結論に達した.その対策として,「燃やせないゴミ」「ビン」「缶」「古紙」「ペットボトル」と書かれたゴミ袋を配るなどして分別を促したり,留学生に対しては英語版のゴミ分別表を配ったり,講習会を開くなどしてゴミに関する情報を提供することが大切だと思われます.また,缶とビンが同じ袋に入っていることが多いということについては,「缶・ビン」のスペースを「缶」のスペース,「ビン」のスペースに分け,缶とビンが違うものだというイメージをつけるという対策が考えられる.さらに,宿舎のゴミの組成分析を行っているなかで,特にペットボトルの分別状況が悪いという結果が得られたことから,ペットボトルの分別を促すために何か対策を考えなければならなかった.アンケート調査では,ペットボトルは「燃やせるゴミ」として捨てると答えた人が多く,ペットボトルが分別されていることがあまり知られていなかった.そこで,ペットボトルが分別されている場所に「ペットボトル」と書かれた紙を表示し,どのくらいの効果があるのかを実験してみた.その結果,ペットボトルの分別状況は表示前に比べ,非常に良くなった.この結果から,ゴミの分別に関する情報を与えることで分別は良くなるであろうという推測が得られ,また,宿舎ではゴミに関する十分な情報を宿舎の住民に与えていないということが分かった.
しかし,この実習で特に力を入れたのは牛乳パックの回収実験であった.アンケート調査で回収に対する協力意識を調査したところ,約
90%の人が宿舎に回収ボックスを置けば回収に協力すると答えた.そこで,宿舎に4つの回収ボックスを置き回収実験を行った.その結果,宿舎に回収ボックスを置き牛乳パックを回収することは,ある程度の効果をもたらし,社会的にも意味のあるものだというものであった.したがって,この実験以後も宿舎で牛乳パックの回収を行うことを提言することができる.以上のことから,この実習における実験は,非常に社会的に役立つ実験だったといえる.最後に,この実習を通して特に感じたことは,ゴミを出すことに対し何の責任も感じていない企業のあり方である.この実習ではゴミの分別をどのようにしたら徹底できるか,また,ゴミのリサイクルの実現に向けての調査でしたが,やはり一番社会的に大切なことはゴミを出さないシステムをつくることだと考えられます.そのためには,企業で作られた商品に対するゴミは,基本的にその企業自らで処理するという方式を法律の中でつくるべきだと思われます.日本ではまだそのシステム化が他の先進国に比べ非常に遅れていると感じました.このままでは,他の先進国からの非難を受けることは避けられません.ですから,一刻も早くシステム化の実現に向けての対策が望まれます.