「池ません!?」〜つくば市内の公園の池の現状と改善策〜
第3章 行政へのヒアリング
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3-1 管理行政へのヒアリング調査
つくば市役所都市計画課に対して以下のような問題意識を持って,ヒヤリング調査を行った.

意識1水質に対しての一応の基準
意識2利用者層を想定した公園運営
意識3現状に対しての問題意識の存在
1と2については市役所は考えてなく,3については予算的兼ね合いで根本的解決策をとれない.
・現状では不定期の清掃にとどまり,苦情などがあってもそれに即応できる状況ではない.
・浄化装置設置のコストと,それによる清掃コスト軽減効果を比較しても,設置はできない.
・池の底がコンクリートであることで水質汚染の原因に挙げられるが,その改造には予算制約が大きくすぐには実行できない.
・現状の水質で中央公園の池を推移させるよりは,埋めた方がよいという考えもある.

以上のような行政の考え方・運営方針を聞いて,考えた問題点.

問題1現管理者は設計段階で関わらなかったゆえ,管理能力(費用)を超えた施設を保有するに至ったのではないか?
問題2都市計画上必要であるとか,既にあるからといって,現状のまま運営して行くことは果たして良いのか?


3-2 設計者へのヒアリング調査
公団に予めFAXで質問項目を送り,それにそってお答えを頂いた.質問項目は以下の通り.
公園内に池を設置するに当たっての方針・公園内における池の位置づけ
・池を造るにあたっての利用者層の想定
・池の水質水準
・池の管理費用の考慮と建設費用
現在の公園の池について・設計時の各公園での池に対する考え方と高水準な水質について考えていたこと
・管理業務及び費用の市への負担について
・水質の抜本的改革などの改善策

住都公団からの回答
・池のメンテナンスの手間・費用などの造成後の管理はあまり考えていなかった.水質維持では井戸から地下水を利用しようとしたが,動物のためにそれが困難になっている.
・都市軸上の公園をペデストリアンデッキ沿いに配置し,修景的な公園という位置づけがあるので水面が必要であるとの認識から 池を設置した.池を造るにあたり,柵の有無や溺れない浅さなど安全性を最重要とし,管理費用は運動施設については 考慮した.
・水質は,旧来の沼を利用した洞峰公園のみ調査・検討し,当時は問題なしだった.また,建設時には管理行政と協議した.


3-3 ヒアリング調査を踏まえての考察
これから,行政・公団ともに公園内の池(水質)はあまり重要視されていなかったことが分かった.建設当時は 数十年後の管理まで考えて造るのは不可能だと言える.
よって,問題なのは,現在の管理行政の考え方と設計者の意図が必ずしも一致していないことであると考える.


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