研究学園都市における消費者と小売店の環境配慮行動
第4章 小売店調査
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4-1 調査の概要
調査方法:直接店舗に伺って、店長または担当者にヒアリング調査
調査時点:1998年6月上旬
調査対象店:研究学園都市地区内小売店10店

企業調査のフレーム


4-2 調査結果の分析
○環境問題に関する認識
・大規模チェーン小売店: 認識や経済成長とのかかわり、自店が与える環境負荷の認識や対応などの点において、 環境への配慮は可能な限り取り組んでいる。また、環境ビジネスといった新しい分野への 期待も高く、積極的に取り組んでいる。
・小規模個人経営店: 環境問題に関する関心が低く、認識していても対応はあまりできていないという結果になっている。 エコショップ参加の意志とその現状とのギャップから、環境問題を自店の経営とは切り離して 捉えている店が多いと思われる。

○小売店の環境行動の現状
・環境問題への取り組み:本業に関わるもの、従業員の支援、社会貢献活動等
・大規模店のような費用面で余裕のある小売店のみが環境問題に取り組んでいる。

○企業と消費者の関わり
・小売店と消費者との関わりはあまり密接なものではない。
・環境意識の高い消費者への戦略的な対応はあまりされておらず、比較的消費者から ニーズのあるトレー回収やその他リサイクル品の回収をすることに留まる。

○小売店と環境情報
・周辺企業と環境に関する情報交換を行っている小売店は少なく、1店ごとの問題で捉えているところが多い

○企業・行政・消費者の役割分担のあり方
・小売店は環境問題に対する企業として社会的責任は十分感じているが、それが実際の現状となるとあまり果たされていない。
・個人経営型小売店はとにかく行政が何とかすべきだとしている。→リサイクル法施行によって対応がどう変化するか?


4-3 調査の総括
1 環境問題に対し十分な認識があったとしても、コストの壁が大きく行動に取り組めない。
・リサイクルルートが十分に整備されていない事が大きな要因であるが、小売店側にはコストなどの 経済的な側面からだけでなく、社会的責任という意識から、また店舗のイメージアップといった目的 から積極的に取り組む事が望まれる。

2 小売店は消費者を育て行こうという意識が薄い。
・環境問題の取り組み内容を積極的に公示する事は、消費者から売名行為として捕らえられる可能性があるという回答があった。 こうして内容のある取り組みをしていても、消費者が情報をほとんど把握しておらず、環境問題に対する意識を 向上させるといった意向があまりないと言える。


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