班員紹介
徳田伊織(班長) 杢屋渓造(副班長) 桑原里奈(渉外) 太田和志(DB)
中野奈美(印刷) 西美佳(書記) 鈴木賢人 信賀春輝 長山寛之
指導教員:甲斐田直子
TA:増田裕太郎
筑波大学学生宿舎には、大学一年目の新入生が学生間の交流を深めることを重要視して運営されている。
(学生生活課より)しかし、宿舎内において満足にコミュニケーションをとられているのか。
我々はその疑問を出発点とし本実習を開始した。
本実習は、宿舎居住者がどの程度近隣居住者とのコミュニケーションを望んでいるのか調査する所からはじめ、
望まれる適切な程度へとコミュニケーションを改善するための提案を考えた。
7つの提案をまず学生生活課へとヒアリングし、
そのうち「宿舎で!パブリックビューイング」、「連絡掲示板」の2つを実習期間中に試行した。
アンケートや実際の様子をもとに試行の結果を検証し、
今後、「コミュニケーション」という観点において、宿舎がどうあるべきかを考える。
筑波大学には、一の矢・平砂・追越・春日の4つのエリアに分けて、全部で69棟もの学生宿舎がある。
入学する新1年生を主な入居受け入れ対象とし、毎年多数の応募がある。
宿舎では学類やサークル、バイト等の所属にとらわれず様々な人と暮らし、
共同キッチンや洗濯スペース等を使うことを通して交流の機会が多くあるだろう。
しかし、実際に蓋を開けてみると、宿舎で隣室で同じ棟に住んでいるにも関わらず顔と名前が一致しない、
同じ棟でも話したことがない人が何人もいるなどコミュニケーションが満足にとられていない状況が生まれている。
また、入居者には1年間住む権利があるが、途中で退去してしまう人も少なくない。現在のこの状態は、
入居者同士の「気まずさ」など、快適な宿舎生活を送る上での弊害となっている。
或いは、この状態を放置することは、防犯・防災面における脆弱性を増長させることにもなるため、
好ましい状態ではないと考えられる。
現在、最も古い宿舎は昭和49年築であり、未改修棟の経年劣化による悪い生活環境に対する不満は避けられない。
しかし、宿舎での生活に魅力がない・つまらない等、ソフト面が原因ならば、我々で工夫して改善することができるだろう。
こうして我々は、コミュニケーションの適切化による宿舎生活の充実度向上の可能性に着目し、本実習のテーマとした。
これが達成されることによって、長期的には、宿舎の防犯、防災性の向上、宿舎自体の印象の向上ないしは思い出・友達・社交性といった人生の財産の創生にも繋がると考えられる。
筑波大学には、我々は、「望んでいるにも関わらず、宿舎で十分なコミュニケーションがとれていない」
と感じている居住者に焦点を当てた。その原因は、
ただ宿舎に住んでいるだけではコミュニケーションが生じるきっかけがないからであると考えた。
そのため、上記のような者に対して、きっかけを与える方策を投じる。
宿舎は、「学類やサークルなど所属が異なる人々が共同生活を送る」という点がアパート暮らしとの違いであり、
「新たなコミュニケーションが生まれる場」という長所がある一方で、「隣人と疎遠な関係だと気まずい」
という短所を併せ持つ。そこで我々は、コミュニケーションを満足に値する適切な状態にすることで、
「近隣住民を知らない」という不安感を解消し、
また、居住者間で気を遣わない快適性を創生することを主たる目的とする。
私たちは調査や試行を行う前に、大学生の求めているコミュニケーション、
私たちの提供したいコミュニケーションとは何かを考えることとし、「コミュニケーション」を定義することにした。
実習中に話し合った結果、
「コミュニケーション」を"情報のみならず、感情を同じ時かつ同じ空間で共有すること"と定義した。
また、私たちが提供したいコミュニケーションは、対面で感情を共有できるが濃すぎない関係を作るコミュニケーションであり、きっかけを与えるにすぎないものとする。これよりも濃いコミュニケーションは各自で選択する。
Googleフォームを利用、宿舎生101人を対象として、LINEを主な拡散の媒体として調査を行った。
1. 対面度合いを基準にして人間関係を8つに分類。
乖離度=(棟内の人とのコミュニケーションの願望ー現在のコミュニケーションの度合い)とし、我々のコミュニケーションの定義の妥当性について調べた。
分析の結果、コミュニケーション満足度を上げる人間関係とは、以下の図の①と④であることがわかった。
1.パブリックビューイング
実施日時 | 2017年6月7日 19時〜 |
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実施場所 | 一の矢共用棟・グローバルヴィレッジのコミュニティステーション |
2.連絡掲示板
実施日時 | 2017年6月6日〜6月22日 |
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実施場所 | 一の矢1A棟、3A棟 |
2つの提案を試行した結果、共通して言えることは宿舎棟の内・外に関わらず居住者の「興味」に対応できる提案が、
コミュニケーションのきっかけに繋がるということである。
コミュニケーションを望む度合いによって個人に合わせて交流スペースを利用すればいい、
というのが我々の方針であったが、居住者間のコミュニケーションへの積極度の差をよく思わない人がいた場合、
居住者間のコュニケーションはどうあるべきか、というのは難しい課題である。
本実習でお世話になった方々に厚く御礼申し上げます。
筑波大学学生生活課厚生・宿舎チーム 大手昇一様 細沼祐介様
筑波大学施設部施設サービス課 山田慶一様
施設企画課 鷺森航太様
コミュニティステーションの管理人の方々
連絡掲示板の試行と調査に協力してくださった一の矢学生宿舎1A棟3A棟の皆様
アンケートに協力してくださった学生の皆様
発言に助言してくださった甲斐田研の学生の皆様
指導教員 甲斐田直子先生
TA 増田祐太郎さん
都市計画2015スマートキャンパス班Why Japanese people!〜どうして宿舎で交流しないの!〜
http://toshisv.sk.tsukuba.ac.jp/jisshu/jisshu1/report/2015/g2_sc/