4.分析
得られたアンケートを基に、回答を点数化(すべて非常にあてはまる=6点、かなりあてはまる=5点、…全くあてはまらない=1点)し、分析を行った。 |
4-1.定量・定性の比較
4-1-1.エリア別の事前比較分析
第二エリアの学生、第三エリアの学生で比較した結果が図4.1である。これによると第二エリアの学生のほうが地場野菜の購入、エコバックの利用の項目において有意差が見られた。第二エリアの学生には生物資源学類の学生が多く含まれるため、元々環境意識が高いことが、第二エリアの学生のほうが環境負荷軽減行動をしているということにつながったのではないだろうか。 |
4-1-2.チラシとポスターの説明文印象度
第二エリアにおいて定量ポスターを掲示できなかったため、第二エリアにおいては定量チラシでの環境負荷軽減行動啓発に切り替えた。この場合、「定量と定性の内容による違い」と「チラシとポスターの手段による違い」の2種類の違いが生まれてしまう。しかし、図4.2から定量チラシ・定性ポスターによる印象の差はほどんど見られないと言える。それぞれの平均値を比較しても定量的な説明文のチラシが3.44、定性的な説明文のポスターが3.36と差がないということができるだろう。このことから、私たちは、この結果を「ポスター・チラシの手段の差がほとんどない」と解釈し、以後の分析を進めた。 |
4-1-3.事前事後での定量・定性の比較
次に,本研究の主となる課題である,定量的と定性的の2つの方向から環境負荷軽減行動を促した結果を見るため、定量と定性でわけて比較をした。事前と事後で行動変化の比較をしたものが図4.3になる。行動変化具合から見て、地場野菜、集団自炊については定量のほうが、エコバックについては定性のほうが行動が促進されているような傾向が見られた。また、図は各行動の具合の平均値を表したものであるが、これにはほとんど差がみられない。しかし、マイナスに促進されと項目もあることから、定量と定性のどちらがより人の行動に影響を与えるのか、明確な結果は得られなかった。 |
4-2.その他の比較
定量的または定性的に環境負荷軽減行動の推進を訴えたが、それによる比較で有意な結果は得られなかった。そのため、アンケート結果からいくつかの分析を行い、環境負荷軽減行動が行われるようになったかどうかを調べた。 |
4-2-1.情報量による行動変化の差異
まず、ポスターやビラをより多く見た人の方が行動を起こすのではないか?と考え、与えた情報量による比較を試みた。すなわち、定量チラシと定性ポスターの両方を見た人、片方のみを見た人の比較である。情報量で行動変化を比較したのが図4.4である。この図から定量と定性の両方を見た人のほうが、地場野菜、エコバック、集団自炊のどの項目においても行動変化が促進されていた。また、図4.5からも、どちらか片方しか見ていない人よりも両方見た人のほうが行動の度合いが高くなっている。このことから、情報量の多さにより環境負荷軽減行動変化に違いが出るのではないかと考えられる。 |
4-2-2.性別による行動変化の差異
性別による比較も行った。図4.6より、事前アンケートでは性別の違いにより環境負荷軽減行動を行っているかどうかに差があることがわかった。その結果を受けて、情報を与えた後の行動変化を比較してみた。それを示したものが図4.7になる。また,図4.8は、性別にわけて事前事後の行動を比較した結果である。これらの結果から男性のほうが、女性よりも変化の度合いが上がっていることがわかった。ただし、女性のほうが事前アンケートの時点で元々環境負荷軽減行動をしている割合が高かったので行動量では女性のほうが高いといえる。 |
4-3.トリガー行動
ポスターやビラを見た人が地場野菜を買う・エコバッグを使う・集団自炊をするといった行動そのものを起こさずとも、そのきっかけとなるような行動を起こしていればポスターやビラの効果があったと言えるのではないかと考えた。そこで、その「きっかけとなる」行動をトリガー行動と名付け、地場野菜・エコバッグ・集団自炊に対しそれぞれ2つずつトリガー行動を設定し、事後アンケートにおいてどの程度行っているかを質問した。このトリガー行動については男女および情報量について比較を行った。この結果、男性よりも女性の方が、またより情報量が多い方がトリガー行動を行っており、性別および情報量の差はトリガー行動にも影響を与えていることがわかる。また、表4.9の通り、「電気やガスの使用量を気にするようになった」以外のトリガー行動はそれぞれ対応する環境負荷軽減行動に相関があることがわかる。 |