3.問題点整理
3.1 予備調査
まず私たちは、ペデストリアンで実際に起きている問題を自分たちの目で確かめるために現地調査を行った。
調査は第三学群からペデストリアンを南に下り、体芸図書館前まで歩き、問題だと思われた点で写真撮影を行いエリア別に問題点を挙げてみた。
第3学群
◆第3学群B棟前の駐輪場は近くに建物の入り口が少ないから利用されず、自転車をA・B棟間のスペースに駐輪スペースをはみだして駐輪させている人が多い
◆ペデからA棟裏側(C・F棟など)に抜けることが難しいので、A棟前の駐輪場に駐輪する人が多い
◆第3学群A棟前の駐輪場は、駐輪容量をはるかに越える自転車がありました。
◆駐輪スペースに入らない自転車が通路にはみ出して駐輪されており交通の妨げになっていた
◆南北の交通に加えて、3学・2学方向の交通が第3学群A棟前の狭い通路で交わっているので、混雑が発生しやすいと考えられます
※利用者相互のコミュニケーションのために並走あるいは群をなして走行する傾向が大きい(参考:自転車道等の設計基準解説P.33)
※進行方向の区別がない多くの人が交差している状態において制御はとても重要である。人がある程度いる状態では、
前の人に続いて歩いていこうとする。こうすれば前の人がよけてくれた方向に自分もついていけば良いので相手との正面衝突を避けることができる。
反対側のレーンも通る人も同様の行動をとるので、しばらくすると綺麗なお互いに行き来するレーンが何本か形成される。
しかし人数が多いとお見合いが起こり流れが止まってしまう。(渋滞学P110)
◆第3学群A棟前の通路とA・B棟間の通路がぶつかる場所は柱で死角となっている
※死角の手前ではある程度減速する。このときもしも後続の車が車間を詰めて走っているならその減速の影響は
同様に後続に伝播してゆき渋滞が発生しやすくなる(渋滞学P.57)
◆ 名店街の前の道の形が悪い
第2学群
◆池と点字ブロックに囲まれたスペースに駐輪している
◆南北の交通に加えて、3学・2学方向の交通が池の橋が架かっている辺りで交わっているので、混雑が発生しやすいと考えられます
第1学群広場
◆1限前の通学時・お昼の移動時が最も交通量が増える(過去の実習レポートより
※自転車交通と歩行者交通の合計が3000台人/日を越える場合、自転車と歩行者を分離させたほうがよい(参考:自転車道等の設計基準解説P.12)
◆近くに建物の入り口が複数存在するような場所であるため駐輪場の利用頻度が高い
◆自転車が通過するルート上に駐輪場が存在するため、駐輪スペースにはみだして駐輪された自転車が増えると通路がとても狭くなる
◆1学の校舎の間のペデを横切って移動する人が多いため自転車との交錯が多い
◆広場の真ん中に明かりとりのスペースが通路を狭くして、南北方向の直線的通行を妨げている
※自転車歩行者道の幅員が充分でないと、歩行者と自転車との軋轢により交通の安全と円滑が保持できなくなる(参考:自転車道等の設計基準解説P.18)
◆ループとのつながりが良くない
大学会館前
◆キャッシュディスペンサー前の駐輪場が一応、ラインとコーンを使って確保されているが、あまり役に立っておらず、乱雑に自転車が駐輪されている
◆両方向の通行が多く、狭い柱と柱の間で、両方向の通行が行われているために、通路スペースが足りず混雑になることが多いと考えられる
◆大学会館前には下ってすぐ上る坂があり、一番下の所には横断歩道がある
◆スピードをつけて下ってくる自転車と横断歩道を渡る歩行者がぶつかる可能性がある。
また、坂を上ることができないため自転車を降りて歩いてしまう人が多いため混雑になることが多い
※自転車等は、一般の道路とは異なり用地面積は、平面線形については制約が少ないが勾配については、大きな影響を受ける(参考:自転車道等の設計基準解説P.14)
外国語センター前
◆駐輪スペースをはみ出して、ペデ上に駐輪している場合があります。その反面、テープライブラリーの奥の駐輪場は、あまり利用されていない
◆両方向の通行が多く狭い柱と柱の間で、両方向の通行が行われているため、通行スペースが足りず混雑が発生しやすいと考えられます
3.2 問題点のまとめ
3.1でおこなった予備調査から、混雑は主に大学会館、第一学群、第二学群、第三学群で発生していることがわかった。
そしてその混雑の原因を整理すると、駐輪問題、動線問題、施設問題の3つに分けることができる。
3.3 対象地区の選定
混雑が起きている地区の中から、特に問題が深刻な場所を絞り込むために5月10日(木)から5月16日(水)までの1週間
で朝の8:25〜8:40と11:45〜12:00に大学会館、第一学群、第二学群、第三学群において交通量調査を行った。その調査の結果を示したものが図である。
調査の結果、一学の混雑問題を取り上げることにした。
理由として
@交通量が多い。(図1と「交通長期構想策定調査」より)
A大学の中心に位置している。
B予備調査や文献、過去の経験から、一学の混雑が一番問題であると感じた。
3.4 第一学群における混雑の原因
一学に混雑をもたらす原因を、駐輪問題、動線問題、施設問題の観点でまとめると、以下のようになる。
駐輪問題
・ペデストリアン上に迷惑駐輪があり、道の幅員の減少や交通の妨げの原因となっている。
・駐輪場の利用状況に偏りがある。
動線問題
・C棟とD棟の間においてペデストリアンを横切る交通と通過する交通が交錯している。
・路面に方向別の矢印が書いてあるが、それを守らない人がいる。
施設問題
・大学会館方面から一学広場に入る場所の勾配が急である。
・明り取りの空間など、通路を狭くするものが多い。
3.5 対象問題の選定
何度もの現地調査の結果、3つの要因の中でも、駐輪問題が混雑に大きく影響を与えているとわかった。迷惑駐輪は、幅員の減少と、通路の直角化、交通の集中を招いていた。(写真3、写真4、写真5、写真6)
迷惑駐輪がないときの様子
写真3 写真4
迷惑駐輪があるときの様子
写真5 写真6
また、迷惑駐輪は動線を変化させるので駐輪問題は動線問題に絡む。そして、施設問題はコストが大きく、実験・提案が難しい。
以上を踏まえて、駐輪問題に絞ることにした。
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