1.序論



 「水の世紀」といわれる21世紀において、水を取り巻く環境は大きく変化している。
 昔はいくらでもあるものと思われていた水が環境資源と呼ばれるようになり、 貴重で価値のあるものとみなされはじめた一方で、美味しくて安全な水が求められるようになった。 その結果、水の品質に関する話題がニュースで度々取りあげられ、 ミネラルウォーター市場が急激に成長するなど、人々の水に対する意識が高まっている。 その中で、水道水への要求もまた高くなっている。今まで求められていた安全で常時供給できること に加えて、生活水として美味しく快適に使える水が求められている。

 かつて水道水がまずいと言われていた東京では、現在、上水道の安全性をPRするために、 東京都水道局が浄水を「東京水」として売り出している。また、日本一水がまずいと言われていた 大阪市も、現在は高度浄水処理を導入しており、飲み比べてもミネラルウォーターと区別が つかなかったという事例がある。かつて大阪では淀川上流の琵琶湖の富栄養化の影響や、 周辺河川の工場排水による汚染などにより水質が悪化した。大阪の水道水には苦情が殺到していたが、 高度浄水処理開始後からは苦情はほぼゼロになった。




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