TOP >調査内容・結果 > 学生に対するアンケート調査 | |||||||||
学生に対するアンケート調査 |
人々はどのような街路景観を評価するのか、学生によるアンケートにより明らかにしていきます。以下に分析のフローを示します。
今回の分析ではSD法を用いました。SD法は、景観のような様々な評価要因が複雑に関係しあって意識やイメージを生み出している場合に、そのイメージをかたちづくっている主要な要因を明らかにしたり、またその影響度合いを定量的に把握しようというときに利用されます。「明るい」−「暗い」といった何組かの形容詞対を用意して、「かなり明るい」、「やや明るい」、「どちらともいえない」など5段階もしくは7段階の評定尺度に対して回答を求める方法です。 アンケートは、街路景観を印象づけると考えられる形容詞を、既往研究を参考に選定しました。今回のアンケートでは、9つの形容詞対を用意しました。(図-6) ![]() アンケートの概要は以下のとおりです。 【実施日】 2004年6月8日 【実施場所】 環境科学棟の教室 【対象】 筑波大学大学院の学生 【回答数】 41人 【方法】 アンケートの条件を統一するため、写真をスライドに投影していっせいに回収しました。一枚ずつ、計5枚の写真を映し出し評価してもらった。形容詞対の中から、その写真を最もよく表している形容詞のところにまるをつけてもらうかたちをとりました。 アンケートで得られたデータをもとに、SPSSで因子分析を行いました。 ![]() 固有値に注目すると、固有値が1をこえた因子は因子1と因子2の2つでした。一般的に、固有値が1を超えない因子については説明に用いることができないとされており、因子3は用いないことにしました。(表-1) ![]() 各形容詞がどちらの因子に属するか、例えば「あたたかい」形容詞を見てみると、第1因子負荷量は0.83、第2因子負荷量は0.18であり、比較して大きい方、この場合は第1因子に属すると解釈でます。(表-2) 第1因子が表す形容詞を見てみると、「あたたかい」や「楽しい」などの因子負荷量が高いことから、「親しみ因子」と解釈しました。次に、第2因子は、「すっきりした」や「きれいな」などの因子負荷量が高いことから、「オープン因子」と解釈しました。 「親しみ」因子、「オープン」因子を用いて人々が高く評価する街路景観を解釈します。5枚の写真ごとに2つの因子の因子負荷量(の平均値)を求めました。そして、「親しみ」因子軸、「オープン」因子軸の2次元平面に5枚の写真を布置しました。(図-7) ![]() ブロック塀の写真は、どちらの因子についても評価が低いことがわかります。生垣の写真は、「親しみ」因子において、ブロック塀の写真よりも評価が高くなっています。駐車スペースのみの写真については、「オープン」因子の評価が高く、表出の緑のみの写真は、「親しみ」因子の評価が高い。表出の緑があり、駐車スペースがある写真は、「オープン」因子、「親しみ」因子のどちらにおいても高い評価を得ていることが分かります。 この結果を通して、ブロック塀や生け垣がある街路、つまりセミパブリック空間が閉鎖的である街路景観よりは、セミパブリック空間はオープンな方がよいことがわかりました。さらに、「親しみ」因子が高く評価される「表出の緑」と、「オープン」因子が高く評価される「駐車スペース」を兼ね備えた、街路景観がよいと言えます。 ・住民に対するヒアリング調査>> |
TOP > 調査内容・結果 > 学生に対するアンケート調査 |