市民と保全団体の楽しみ方の違いについて
図5.里山の認知と緑への要求
図6.里山に行ったことの有無と緑への要求
図5・図6は、市民と保全団体との楽しみの違いを表すものである。里山から享受する楽しみとして市民はリラクゼーション効果などを受ける受動的な楽しみ方だったのに対し、保全団体は自らの作業などを通して能動的な楽しみ方をする。その裏づけとしてこのグラフの赤い部分に注目する。このグラフは特化係数を用いて表しているため、同一選択肢内の傾向が読み取れる。
図5は、里山に知っている人と、知らない人とで分けた、身近な緑に要求するものをグラフ化したものである。ここから、昆虫採集、昆虫観察、米野菜作り、自然に学ぶなど能動的に里山に働きかけるものが高くなっているのがわかる。
さらに、図6に注目する。これは、里山に行ったことがある人と、ない人で分けた、身近な緑に要求するものグラフ化したものである。これは、先に述べた、知っている人よりもさらにかかわりが深い人たちであるといえる。これによると、図5よりも、更に能動的楽しみに当たる、赤いグラフの部分が高くなっていることがわかる。
これら2つのグラフにより、市民と保全団体の楽しみの違いを述べることができた。言い換えれば、受動的楽しみを享受することを好む市民達に、能動的な作業などの楽しみ方を知ってもらうことが重要なのである。なぜならば、楽しみ方の変化により、市民からの保全団体への協力の増大、ひいては保全団体への参加へとつなげることができると考えられるからである。