1.序論
1−1 身近にある自然
茨城県土浦市、筑波研究学園都市からもほど近い場所にある宍塚大池の森には、豊かな自然が今も残されている。これまでに、約145種の野鳥や、62種類の蝶(日本に生息するうちの4分の1)が観察されている。そのほか県に記録される3分の1の植物が確認されたりと豊かな自然が今も残されていることを証明している。
宍塚大池の森は、大池を囲んで100ヘクタールの面積がある。
「大」の形をした池を中心に、湿地、小川、広葉樹林、竹林、杉や桧の植林地、草原、谷津田、畑などが緩やかな起伏の上にモザイク状に組み合わさって複雑な自然環境を作っている。
私達は実習の見学会や、その他実習班でつくば市内の緑地につい調査しているうちに宍塚大池の存在を知った。これまで主に学園都市の中だけで生活してきた私達にとって、身近に自然が残っている場がある事に驚いた。しかし、私達がつくばで生活を始めて2年以上経ったが、その存在自体を班員がほとんど知らなかったということは、宍塚大池が世間にはあまり認知されていないという事ではないだろうかと考えられた。また、それと同時につくば市の地図で調べてみると宍塚大池以外でも森林を形成している地域が多く存在することを知った。
実習見学会で新守谷駅に向かう途中、つくば市島名の森にはオオタカが生息しており、開発事業においては大規模緑地の指定を受け人の手は入らないという事を知った。私達はその後島名集落に存在するオオタカのいない雑木林を視察したが、雑木林内は不法投棄されたゴミが散乱
し、地面近くにはアズマネザサが密生しており、また樹木の枝打ちをしていないため、広がった枝と葉により日光が遮られ雑木林内全体が薄暗く、人の手が入らない林は荒廃するという現状を目の当たりにした。そこで、私達は宍塚大池と島名の森の現在の形態の違いはなぜ起こったのかという疑問を持った。