第3章 プロジェクト


[1 中心市街地整備計画] [2 宍塚ふくしむら計画]
1.中心市街地整備計画

 第1節 現況と課題


 本市は、茨城県南地域の中心都市として発展してきた。しかし、近隣地域のきのう充実などによる状況の変化や、中心市街地に道路や駐車場の問題を抱え、従来から果たしてきた中心性が薄らいできている。
 本市がこれからも県南の中心都市として発展していくためには、空洞化しつつある中心市街地の再生、活性化をはかることが重要である。
 今後も、中心市街地活性化計画を基本として、土浦駅前地区市街地再開発事業に引き続き、中心商店街の機能更新、霞ヶ浦湖岸地区の整備などを推進し、都心機能を一層充実することが課題となっている。

中心市街地整備構想図

 第2節 整備計画

 @市役所移転
  現在の土浦市役所は、場所が分かりづらく、交通に不便な場所に位置し、また老朽化藻進んでいる。また、川口運動公園も、老朽化がすすんでおり、利用者も少ないため、現存する運動施設は、霞ヶ浦総合公園に移設し整備する。
  そして、市の中心である市役所をもっと分かりやすく、交通に便利な土浦駅東側の川口運動公園跡地に移転し、市役所には、図書館を併設し最上階には展望フロアを設け、霞ヶ浦が一望でき、公園跡地には、市役所の他に業務施設の誘致し、その中心に都市公園・緑地を配し、多くの市民が訪れる市民が利用しやすい環境をつくり出すとともに、霞ヶ浦湖岸開発と一体となった、水と緑をいかした魅力と潤いある環境形成を行う。こうして、霞ヶ浦湖岸地域を市民の憩う場とすることにより、霞ヶ浦への意識を高める。

中心市街地イメージ図

 A川口運動公園および霞ヶ浦湖岸再開発事業
  川口運動公園移転に伴う跡地利用として、市役所の移転、業務施設の誘致、親水公園の整備等を計画する。また、土浦港は水上交通としての拠点となるような整備を行う。また、夏には屋形船や花火大会などのイベントも行う。

霞ヶ浦湖岸イメージ図

 B土浦駅北口整備
  現在、土浦駅には東西に2つの出口しかない。中心市街地活性化計画に伴う市役所移転等により、駅北側へのアクセスを考慮し、土浦駅北口を整備する。これにより、モール505と市役所・業務地区を結ぶ歩行者道路を駅北口とつながるように設置する。これにより、霞ヶ浦・土浦駅・ショッピングモールが一体となり中心地域の活性化を促進する。

土浦駅北口イメージ図

 C亀城公園周辺地域景観整備
  亀城公園周辺の歴史的な景観保護を目的とした規制の強化や、歴史的な建造物の補修、幅の広い歩道の整備、電線の地中化など、土浦の歴史の保全と人々が歴史とふれあい、親しみのもてる空間の整備を行う。

 第3節 道路体系の整備

  中心市街地再開発による市役所移転、業務施設の集積に伴い駅東側を通る都市計画道路荒川沖・木田余線の完全二車線化、モール505周辺の道路整備を推進する。

 第4節 駐車場の整備

  霞ヶ浦湖岸地区への市役所移転、業務施設の集積、親水公園の整備により増加する駐車台数に対応できるよう駐車能力に強化をはかる。また、自転車駐輪場の整備も行う。

 第5節 施設跡地の利用

  市役所移転による跡地は、公園として整備する。災害時には、附近の住民避難場所として利用する。

 第6節 ひとにやさしいまちづくりの推進

  幅の広い歩道の整備や移動施設、スロープの設置等、障害者や高齢者に配慮したまちづくりを行う。

 第7節 景観の形成

  中心市街地における景観整備のため、オープンスペースの確保、歩道の拡幅、緑化、電線の地中化をはかり、優れた景観の整備を行う。

土浦駅東口構想図

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2.宍塚ふくしむら計画

 第1節 事業目的

  近年わが国では,高齢者(65歳以上の男女)人口の割合が急速に増加してきている.この社会の高齢化については土浦市も例外ではなく,先に上げたコーホート要因法による人口推計モデルで示されたように,1995年に約12%だった高齢者人口割合は2010年には20%まで上昇している.割合だけでなく実際の人口を見てみても,1995年に約16000人だった高齢者が2010年には約30000人にまで増加すると見られている.また,このことは土浦市周辺都市であるつくば市・牛久市についても同様で,つくば市では11%から16%まで,牛久市では10%から17%まで高齢者人口割合が増加している.土浦市・つくば市・牛久市3市の高齢者人口は1995年から2010年までの15年間で,約40000人から2倍近い73000人にまで増加すると見られている.また,このような増加傾向は少なくとも2010年までは続くことがコーホート要因法で証明されている.
  以上のような高齢者人口の増加に加え,核家族化の進行・高齢者のみの世帯増加による家族の介護能力の低下によって,援助を必要とする高齢者の急増が見込まれる.そこで,土浦市では援助を必要とする高齢者を社会的に支えるため,生涯にわたる健康づくりのための福祉サービス提供体制をより一層充実させる必要があると考え,市の福祉業務の中心として,総合的な福祉施設「宍塚ふくしむら」を建設する.

 第2節 造成区域

  造成予定区域は県道123号線沿いの土浦市西部,宍塚・上高津周辺である.(地図1)予定地は比較的つくば市に近く,土浦学園線や国道6号線からのアクセスも可能なので,土浦市外からの広域な利用にも有利な場所である.また,造成予定区域には現在すでに,社会福祉施設である精神薄弱者通所授産施設と心身障害者自立支援センターが,予定地周辺には県立土浦養護学校や国立病院があり,既存施設の有効利用という面でも,この地域に総合的福祉施設を建設するメリットは大きいと考えられる.
  さらに,予定地である上高津には縄文時代の貝塚という歴史的な遺跡もあり,宍塚にも宍塚大池を中心とした自然豊かな場所であるので,周辺の環境保全も会わせて計画し,予定地周辺を福祉業務と共に市民の安らげる豊かな自然と文化に囲まれた市の社会福祉の拠点とする.

ふくしむら全体図

 第3節 事業計画

   計画面積   約13 ha 
  建設予定施設は養護老人ホーム,人材派遣センター,コミュニティ体育館,社会福祉センター,老人福祉センター,診療所,福祉専門学校,コミュニティホールの8つ.また,既存施設である私立考古資料館,精神薄弱者通所授産施設,心身障害者自立支援センターの整備,駐車場や公園・村内道路の整備も計画している.

各施設名称面積備考
養護老人ホーム約33000u収容人数250人
老人福祉センター約4500u生きがい大学
考古資料館約2500u既存施設 歴史教育施設
人材派遣センター約2000uヘルパー派遣
コミュニティ体育館約4000uスポーツイベント
社会福祉センター約1000u地域との交流促進
精神薄弱者通所授産施設約1000u既存施設 就労援助
診療所約1500u老人ホーム診察
障害者自立支援センター約1500u
福祉専門学校約4000u既存施設 就労援助
コミュニティホール約4300u福祉技術者養成
駐車場約15000u南3 北1
上高津貝塚約40000u資料館とあわせた歴史教育

各福祉施設の概要

 第4節 事業内容

 1) 養護老人ホーム
  養護老人ホームは大通り(123号線)から離れた静かで自然豊かなふくしむら北東部に位置している.予定収容人数は250人で,計6棟を計画.

養護老人ホーム「つくし園」

 2) 老人福祉センター(生きがい大学)
  老人福祉センターは従来の老人福祉施設機能のほかに,別名「生きがい大学」として,社会知識を習得し健康で豊かな生活を営むことができるよう,高齢者対象に様々な講座を開講する.また,講座のほかにサークル活動の機会を提供する.

ゲートボール大会

 3) 考古資料館・上高津貝塚
  考古資料館は,上高津貝塚から出土品などを展示・公開している既存の施設であり,上高津貝塚と合わせて歴史教育の場として活用する.
 4) 人材派遣センター
  人材派遣センターは,在宅介護を希望する高齢者へのホームヘルパーの派遣や介護ボランティアの募集及び仕事を求める高齢者への仕事の斡旋を行う.
 5) コミュニティ体育館
  コミニティ体育館は,社会福祉センターに隣接し,主に社会福祉センター主催のスポーツレクリエーションの開催を目的とした施設である.また,一般開放も行い,地域の交流の場として利用してもらう.
 6)コミュニティホール
  コミュニテイホールは,体育館同様,社会福祉センターに属する施設としてセンター主催の各種イベント(演奏会,映画上映,演劇など)を行う.
 7)社会福祉センター
  社会福祉センターは世代を越えた交流の場として,老人福祉センターと連携し若い世代と高齢者とのふれあいを推進する.世代間交流活動を「生きがい事業」として,高齢者の生きがいを高めると共に児童の健全育成を図るための以下のような事業を提案する.
  ・生きがい事業
   @ 宍塚周辺クリーンアップウォーク
    →自然豊かな宍塚大池を中心とする遊歩道を清掃しながら歩く.
   A 伝統文化・歴史継承推進事業
    →高齢者が長年培ってきた技術や生活の知恵の伝承講座を開く.
   B 高齢者によるフリーマーケット
    →生きがい大学のサークル活動などから生まれた作品の展示・即売.
   C 将棋・囲碁大会
    →生きがい大学のサークル主催で行う,世代を越えた技能大会.
  また,ゾーン内に公共のコミュニティホールや体育館の建設を予定している.これらの施設は,ふくしむらの住民や土浦市民のみならず,土浦市外・つくば市や牛久市などからの広域の利用にも対応したオープンな施設になる.
 8)精神薄弱者通所授産施設
  精神薄弱者通所授産施設は,一般企業に就職することが困難な障害者のために福祉就労の場を提供を目的とした施設であり,職業訓練と現場実習を行う.
 9)診療所
  ふくしむら診療所は,村のほぼ中心部に位置しており,主に養護老人ホーム入居者対象の診療所の予定である.また,地域に住む高齢者を対象として外来も受け付ける.
 10)障害者自立支援センター
  障害者自立支援センターは,障害者が地域社会の中で自立的に生活を営むことのできる場の確保に努める.また、精神薄弱者通所授産施設とともに障害者が就労できるよう職業訓練と現場実習を行う.
 11)福祉専門学校
  ふくしむら区域内に,主に高齢者福祉・心身障害者福祉対象とした福祉関係の専門学校の建設を計画している.
 12)駐車場
  ふくしむら用の駐車場は,ふくしむらの玄関ともいうべき南側,県道123号線沿いに3箇所,新設道路建設によって土浦学園線に抜けることのできる北側に1箇所を予定している.高齢者や心身障害者の利用を考えて,それぞれ区画をやや広めに取る.駐車可能台数は,バスなどを含め合計約400台を予定している.
  ふくしむら内部は,基本的に車両の乗り入れは禁止で,南北入り口そばの駐車場に車両を駐車して入村する.ただし、緊急時を考慮して,村内道路は車両の通行が可能な幅員を確保する.
 13)大池・貝塚を巡る遊歩道
  宍塚大池・上高津貝塚を巡る遊歩道を整備し,休日などにウォーキングコースとして利用してもらうことにより,日常生活において忘れられがちな土浦市の持つ歴史文化や豊かな自然を理解してもらう.また,社会福祉センター主催の宍塚クリーンアップウォークによりボランティアによる環境美化を行う.

 第5節 周辺交通計画

  周辺交通計画として,まずふくしむら北部から土浦学園線に抜ける新設道路を計画している.この新設道路の建設により,つくば市方面など土浦学園線を利用する広域からのアクセスを確保できると考えられる.また,ふくしむらへのアクセスの主要道路となる県道123号線の拡幅・歩道整備もあわせて計画する.
  公共交通は,現在県道123号線を走る茨城観光のバス路線の整備,学園線を走る関東鉄道バスの新設道路への引きこみを計画している.
  また,地域ごとへの直行直帰の無料送迎も行い,不便なく通える施設として,多くの高齢者に利用してもらえるよう努める.車両は車椅子での乗降が可能なバリアフリーのふくしむら専用バス「B.B.(バリアフリーバス)」の運行を計画している.

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