構想Concept
全体構想
背景
現在土浦市は霞ヶ浦や歴史ある街など特徴的な強みを持つ一方で、財政難、少子高齢化、観光資源・賑わいの不足、インフラの老朽化、公園の未整備、交通利便性の欠如、災害への不安など、様々な課題が存在します。今後、このまま何も施策を打たなければ、少子高齢化の進展や魅力の低下を引き起こし、土浦市全体としての活力が低下してしまうでしょう。そこで、本マスタープランでは「このまま土浦市としての活力がなくなってしまうのは嫌だ!」という強い思いを持ち、市が自ら活力を生み出し、好循環を産む、「持続可能な土浦」をコンセプトに、提案を行います。
目標
持続可能性の要素として、社会的持続可能性・経済的持続可能性・環境的持続可能性の3つを定義します。これら3つの持続可能性の要素は、人口や生活環境に関する社会要因、採算性や税金による経済要因、防災や保全を含む環境要因で構成され、相互に関係しあっています。私たちの全体構想としては、これらの3つの持続可能性が絡み合い好循環を生み出す土浦を目指すこととしました。これらの前提条件を念頭に置き、分野ごとの目標を掲げます。
図1:3つの持続可能性の関係
部門別構想
社会的持続可能性
まず、社会的持続可能性についてです。人口戦略会議で定義される、「自立持続可能性都市」を社会的持続可能性の定義としました。
図2:自治体の人口特性別9分類(自然減対策と社会減対策)
自立持続可能性都市とは、封鎖人口(転入・転出がなく、自然増減のみで人口が変動すると仮定した場合の人口)の減少率20%未満、移動人口(社会増減を含む増減で人口が変動すると仮定した場合の人口)の減少率20%未満の都市のことです。これらを達成するためには合計特殊出生率1.50、若年女性(20-39歳)年間流入数300人の両方を満たすことが条件となることが計算されます。これは、一般社団法人 持続可能な地域社会総合研究所が運営するサイト「地域人口分析・将来人口シミュレーション」をもとに、自立可能性都市の条件を満たす様々な都市の出生率を比較検討して妥当だと判断した数値目標です。当サイトでは出生率の定義が合計特殊出生率と異なっていたため、Pythonを用い、サイト上と同じ人口シミュレーションとなる合計特殊出生率に調節した値を数値目標としました。以降、この二つを社会的持続可能性の目標とします。
図3:人口予測(2020-2050)Pythonより作成
環境的持続可能性
環境的持続可能性は主に脱炭素に重点を置きます。土浦市では、2023年度、CO2排出量35.1%の削減(2013年度比)を達成しており、2030年までに40%の削減予定(2013年度比)です。これは国の基準である、2030年までにCO2排出量18%削減(2013年比)という目標を大きく上回っていますが、土浦市として2030年以降の目標がないことが問題です。日本としては、2040年までにCO2排出量73%削減(2013年比)、2050年度には100%削減(ゼロカーボン)を目標としていることを踏まえ、本マスタープランでも環境的持続可能性の基準として、2040年までにCO2排出量73%削減(2013年比)、2050年度には100%削減(ゼロカーボン)を目標とします。
| 2030年目標 | 2021年度時点 | 達成 | |
|---|---|---|---|
| 全体 | 18% | 21% | ○ |
| 産業部門 | 9% | 19% | ○ |
| 業務部門 | 40% | 31.4% | × |
| 家庭部門 | 39% | 16% | × |
| 運輸部門 | 28% | 18% | × |
表:土浦市CO2削減目標と現状
経済的持続可能性
最後に、経済的持続可能性についてです。経済的持続可能性としては地域の価値向上による固定資産税の増加や市民の増加・市民所得の増加による市税の増加により、財政が健全化することを目標とします。基金の繰り出しを極力抑え、補助金、助成金による資金調達なども含めて提案し、各提案の採算性としては、基本、税収増による定量的回収で採算が取れるかを基準とします。次に、将来の社会コスト削減分を考慮して、たとえ定量的に回収できなくとも必要であるかどうかの考慮を行います。最後に将来負担が少ないことを確認し、著しく土浦市に負担を与えることなしに土浦市の価値向上に寄与するものを選ぶこととします。
| 評価ステップ | 内容 | 回収の定義 |
|---|---|---|
| Step 1: 定量的回収 | 直接収入+税収増 | 投資額(イニシャル+20年ランニング)を上回るか |
| Step 2: 社会的回収 | 将来の社会コスト削減分 | Step 1で不足する分を補うに足りる社会的価値があるか |
| Step 3: 持続性判定 | 20年後の将来負担 | 20年後に負の遺産(過大な維持管理費)を残さないか |
表:経済的持続可能性の評価ステップ
地区別構想
本マスタープランでは、土浦市を中央地区、北部地区、南部地区、新治地区の4つに区分し、各地区における地区別構想を以下のように設定します。
図4:地区別構想
北部地区
北部地域は土浦市の4地域で最も若年人口が多く、全体の人口も増加している地域です。そこで、この地域を市が目指す「子育てに選ばれるまち」のための医療拠点として整備することを目指します。
核となるおおつ野地区には、周産期医療・小児医療・病児保育を集約した「こどもメディカルエリア」を配置し、既存の医療施設とも連携させることで万全の医療体制を構築します。
南部地区
南部地区は荒川沖駅を中心として、住宅街が広がっているという特徴を持っており、交通空白地域に住宅街があったり、駅前に商業・生活施設が不足していたりするという課題が存在しています。そこで本地区では、公共交通の整備によって駅に行きやすい、移動しやすい街を作り、駅周辺の利用者の増加による民間商業施設の駅前進出まで見据えます。
新治地区
新治地区は、里山や農地などの豊かな自然環境に恵まれ、これまで農業を基盤とした暮らしが営まれてきた地区です。しかし近年では、農家の減少や高齢化に伴い、耕作放棄地の増加が進んでいます。こうした状況を踏まえ、本地区では、地域の自然環境を継承するとともに、自然と人の営みが調和する持続可能なまちを目指します。
中央地区
中央地区は、都市機能が集積する歴史的中心地であり、霞ヶ浦や歴史的な街並みといった固有の資源を有しています。しかしその一方で、浸水リスクという防災面の脆弱性や、近隣都市への人口流出という構造的な課題を抱えているのも事実です。こうした状況を踏まえ、徹底した災害対策を基盤としつつ、南部・北部・新治の3地域が持つ特色を融合・調和させることで、市全体の成長を牽引する中心拠点としての形成を目指します。