次に水質改善について。土浦市は、市が抱える最重要課題の一つとして霞ヶ浦の水質浄化を挙げている。かつては霞ヶ浦には多くの遊泳場が存在し、遠方より大勢の人が訪れていたが、都市化による人口流入の増加や生活様式の変化に伴い水質が悪化し、人が水辺から遠ざかりつつある。市民の霞ヶ浦のイメージは、平成3年度に実施したアンケート調査では、「大変汚れている」と感じている人が68.8%を占めていたが、平成24年度のアンケートでは33.5%に減少した。しかし、「大変汚れている」と「少し汚れている」を合わせると依然として76%を占めており、水質の改善をはじめとする「汚い」というイメージの脱却が急務となっている。
そこで、霞ヶ浦、市内の河川のうち、上記のウォーターフロント開発など観光に利用される水辺を優先的に、集中的に浄化する。参考となるのは、カナダのトロント・ウォーターフロントにある、シェーボーン・コモン(Sherbourne Common)だ。水質浄化の施設といえば、汚い、臭いといったイメージがあり、「Not In My Back Yard(NIMBY)」、施設の必要性は認めるが、自らの居住区域には建てないでくれ、という立ち位置にある。しかし、シェーボーン・コモンは、大規模な公園な設計の中に、有毒な副産物の発生しない、紫外線による汚染水浄化施設を入れることで、汚水処理施設の負のイメージを払拭し、同時に賑わいの創出にも成功した。
そのような施設を、川口運動公園の中の空き地に設置する。現在川口運動公園付近は、土浦市川まちづくりの中の水辺拠点として位置づけられているが、敷地東側に約30000㎡の空き地がある。この場所は、マンションが建つ計画であったが途中で頓挫し、基礎と柱の一部が残されている。この空き地を有効活用し、水質浄化と賑わい創出を同時に行うことができると考える。