• 人が輝くまち
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商業の太陽
―文化と出会いのまち―




課題


大規模店舗立地法等の緩和やモータリゼーションの進展により商業施設等の郊外化が進み、中心市街地におけるシャッター街化が進んできました(写真3)。本市の郊外の大型ショッピングモールは土浦イオンモールです。平成21年に開業し、3260台の駐車所を有し、車でのアクセスが容易です。土浦イオンモールの開店を機に、本市の人口は平成24 年では487,001人と、平成15 年と比べて約128,000 人の増加となっています。 一方、中心市街地では商業が衰退し続け、空き店舗も増えています。平成24年度には空き店舗数が60件を超えました。空き店舗はモール505から亀城公園にかけて広く分布しています(図10)。市が空き店舗対策として『土浦市中心市街地開業支援事業』を実施しています。これによって平成26年度10月から平成27年度12月までで21件が開業されました。



図11は土浦市における小売業販売額の推移です。80年代では土浦市の中心市街地で商業が盛んで、次いで荒川沖駅の周辺でも商業が発展してきました。しかし90年代に入ると、次第に販売額が減少し、商業衰退の傾向が見られてきました。郊外もその頃から急速に拡大し始めました。これは土浦イオンモールができる20年前の傾向です。よって中心市街地の商業衰退の主な原因が土浦イオンモールにあるとはいえません。代わりに、考えられる理由は隣接するつくば市の発展です。モータリゼーションの進展で土浦市ではなく新しくできた商業施設までいけるようになり、他市へ顧客が流れてしまいます。その意味では土浦イオンモールができて土浦の商業の状況は全体的には良い影響があったといえます。しかしながら市民によって運営された中心市街地の店舗が少なくなり、地域のらしさと文化、商店街で自然に起こる交流もなくなる懸念があります。



また、空き店舗が埋まっているということを仮定した上で魅力度を面積と店舗数として設定し、商圏分析を行った結果は次の通りです。土浦イオンモールの顧客数は中心市街地より多いです。(図12)



以上をまとめると土浦イオンモールが出店する前に、中心市街地の商店街が衰退し始めて、中心市街地の全ての店舗が開業されたとしても、土浦イオンモールのほうが顧客数が極めて高いです。単純に指標化できる店舗数と面積に加えて、簡単に指標化ができないメリットが大型ショッピングモールには多くあります。大型ショッピングモールでは人気のブランド出店やワンストップショッピング、レジャー施設やアミューズメント店の併設 で1日中滞在できるというメリットがあります。一方、商店街では何店舗かお店を回る必要があり、一箇所にまとまっていないため歩く時間も長くなります。天気が悪ければ更に不便であり、駐車場の利便性も低いというデメリットがあります。



提案


モール505リフォーム


現時点では中心市街地の商店街の空き店舗を商業施設として活性化しても、郊外の大型ショッピングモールに対して成功する可能性は非常に低いです。そこでまず中心市街地で集客数を増やす必要があります。集客が増えることに伴い商業への需要が生み出せます。 都市活性化基本計画では「新庁舎整備事業」によって公共サービスの拠点である市役所機能や市民交流機能を土浦駅前に配置することで、住民や職人、来訪者を増やすことを目指しています。同じ目的で以下の目的を提案します。 提案の対象地区はモール505と古書倶楽部の道です。新図書館をきっかけにして、古書倶楽部と道がつながっていることを利用し、モール505のリフォーム(図13)を行います。
3階:3階を一体化し小規模のジムにします。土浦駅を通勤で利用する人が多いため、通勤者を対象に家に帰る前にもしくは職場に行く前にジムに寄ることができるようになります。
2階:図書館に結ばれるカルチャーセンターにします。料理教室や子供の英語、音楽、ダンス教室などに空き店舗を活用し、全体の教室を一つの受付から利用できるようにまとめます。
1階:市民によって運営するイベント会場、コミュニティカフェ、土浦市生産物の販売所として店舗の再開を促進します。







古書倶楽部の道の景観改善


高校生が中心市街地を通ることが多く(写真4)、中央地区では高齢者の居住者の密度が高いため(図14)、2階と1階の主なターゲットは高齢者、主婦、高校生にします。図書館の建設で駐車場の容量が増え、モール505を利用する人も新図書館の駐車場を利用できるとアクセスしやすくなります








古書倶楽部の道の景観改善


また、電線地中化や舗装と看板改善などの景観改善で古書倶楽部の道を通ることを促し、モール505と新図書館が古書倶楽部の道でつながることを強調する。(図15) まとめると、買い物ではなく交流の目的で人が集まって、集客が増えることで、商業施設への需要が生むことを目的にします。



まとめると、買い物ではなく交流の目的で人が集まって、集客が増えることで、商業施設への需要が生むことを目的にします。