6.整備計画
■6−1.スポーツ
私たちは、健康促進効果が期待できる運動として、有酸素運動に着目した。
有酸素運動には、
・心肺機能、酸素摂取能力の改善
・慢性疾患の発症率低下
・不安や抑うつ感を軽減し、健全感を高める
・無酸素運動に比べ、脂肪燃焼率が高い
等の効果があるといわれている。
有酸素運動の具体例としては、ウォーキング、ジョギング、エアロビクス等が挙げられる。
市内におけるマラソン大会
土浦市では以下のようなマラソン大会も年に数回開催されており、ジョギングに取り組みやすい要因が整っている。隣接都市であるつくば市でも、つくばマラソン等が開催されているので、県南地域はマラソン大会が盛んである。このことから、日ごろのジョギングなどのモチベーションを維持することにおいて、土浦の環境が優れているといえる。
・かすみがうらマラソン
フルマラソン、10マイル、5kmの部があり、参加者数国内第3位(2008年、約2万人)の大会。ウォーキング大会も併催されている。また、大会当日には応援者のために無料でフルマラソンの中間地点まで送迎してくれる応援船も運航される。
・国際盲人マラソンかすみがうら大会
かすみがうらマラソンと同時開催される、国内開催の盲人マラソン大会の8大会のうちのひとつ(2008年)。
・土浦マラソン
新治地区で開催される、市民マラソン大会。距離はすべて5km以下に設定されており、小学生各学年男女、中学生男女、一般男女の部がある。
・鶴沼ウルトラマラソン
神立地区で、市民団体鶴沼ウルトラマラソニアンクラブが主催している。100kmの部と52.07kmの部があるが、各定員130人と参加人数は限られている。
市内においてジョギングに適した道
土浦市で景色等も楽しみながら走れる遊歩道としては以下が挙げられる。
・りんりんロード
旧筑波鉄道の線路跡に茨城県が整備し、2002年3月に全線開通した、全長約40kmの自転車専用道路。JR土浦駅近くから筑波山のふもとにある旧筑波駅を通り、JR水戸線の岩瀬駅に至る。筑波鉄道の各駅跡が休憩所になっていてトイレやベンチ、案内板が整備されている。
・関東ふれあいのみち
関東地方の一都六県を一周する長距離自然歩道で,総延長は1,665km。10km前後に区切った144箇所の日帰りコースが設定されている。各都県コース、全コースを踏破すると,それぞれ踏破認定証と記念バッチが交付される。茨城県コースは,総延長255km,全18のコースにより形成されている。土浦市内には学園都市のみちと予科練ゆかりのみち、寺社めぐりと田園風景のみちの3つが通っている。
関東ふれあいの道整備計画
私たちの班はまだ生かしきれていない資源である、関東ふれあいのみちに着目した。これは、霞ヶ浦湖畔を通りつくば市に至る歩道である。現状における問題点としては、歩車分離がされておらず、景観も悪いということが挙げられる。そこで、この関東ふれあいのみちをランニングコースとして整備し、市民がさらにジョギングに取り組みやすい環境を目指す。

(図24:整備予定ランニングコース)
・ランニングコースの整備にかかる費用
ランニングコースを整備するのにかかる費用を材料費・人件費などを考え、1mにつき19000円と仮定した。すると、ランニングコースを5km整備するには、総額9億5000万かかることがわかった。
しかし、この費用を土浦市の人口で割ると
9億5000万円÷143800人=ひとりあたり約6600円となり、国からの補助なども考えると、決して大きすぎる額であるとはいえない。
・ランニングコースを整備する意義
日常的な運動量が少ない人に比べ、有酸素運動を継続している人たちの死亡危険度は低いという医療機関の研究結果。(2008年10月3日 読売新聞より) : 図21
人は余命を1年間伸ばせるとしたら平均52万円払うというアンケート調査結果(2009年1月4日 日本経済新聞によるアンケートから算出) : 図22

(図25:ジョギングやウォーキングを続けた場合の危険度)

(図26:余命1年延長に支払う金額)
以上のことを踏まえると、ジョギングを誘発するためにランニングコースを整備することは、有益であるといえる。したがって、この整備計画を実行する価値はある。
・ランニングコース設置の景観シミュレーション

          

(図24:ランニングコースの景観シミュレーション)
■6−2.霞ヶ浦
2006年に行われた「まちづくりアンケート」において「土浦ならではのものでまだ生かされていないもの(ふるさと自慢)は何ですか?」という質問の答えで一番多かったものが霞ヶ浦であった。
この霞ヶ浦をもっと好きになるために、市民が霞ヶ浦にもっと慣れ親しむ必要がある。そこで、以下のような事業計画を提案する。
・市民清掃活動
市民清掃活動は現在公共機関が中心になって行われている水質改善、環境改善活動を市民レベルの活動にするために行う。市民自らが清掃活動に参加することで霞ヶ浦に愛着をもてる。これが土浦に誇りをもてることにつながる。
・バードウォッチング・フェスティバル
バードウォッチング人口は日本に100万人いると言われている。また霞ヶ浦には四季を通じて150種の野鳥がいる。この自然資源を使い、バードウォッチング・フェスティバルを開催する。オリエンテーリング形式で行い、参加目標人数を5000人とする。スムーズで効率的な運営のため、オリエンテーリング形式を採用することで多くの参加者の受け入れを可能にする。フェスティバルの開催によってバードウォッチングの浸透を図り、平常時の観光客の増加も目指す。
・国民宿舎「水郷」
国民宿舎水郷のありかたを見直す。現在、水郷では赤字経営が続いている。そこで水郷の新しいコンセプトとして『安眠安食』を提案する。よく眠り、よく食べることができる宿泊施設として、経営の建て直しを図る。また、水郷を上記に挙げたような市民清掃活動、バードウォッチングの拠点として、宿泊してもらう。それにより、健康と環境の拠点となり、土浦の新しいイメージ戦略にもなる。これによって土浦をヘルシー都市として全国に発信する。
■6−3.中心市街地
現状の問題点としては、居住人口及び人通りの減少、百貨店等の撤退、商店街のシャッター通りなどが挙げられる。これを解決するためには、市街地の人通りを増やすことが不可欠である。そこで、私たちは中心市街地活性化のため「食」に着目した。土浦の食べ物はもちろんのこと、茨城の食べ物を更なるアピールを図る。
・レンコンのアピール
レンコンは栄養価が高く、ビタミンC、ビタミンB12、鉄分、タンニン、カリウムなどの成分を含んでいる。したがって、造血作用、整腸作用、肝臓の働きを助ける、美肌効果、ガン・糖尿病・心臓病・高血圧・脳卒中など生活習慣病の予防、風邪の予防、咳止などの効果があるといわれている。近年では、花粉症に効果がある成分が含まれている、という研究結果が明らかになったことで注目を集めつつある。土浦が、レンコン全国1位の生産量を誇るということを内外に広め、知名度の上昇・地域ブランドの確立を目指す。
・美食ロード
中心商店街の道を「美食ロード」と名づけ、中心商店街を中心に土浦を食の面からアピールする。既に「カレーのまち・つちうら」としてPRしているが、カレー店を含め「食」の店を美食ロードに誘致・集結させることで、空き店舗を埋めシャッター通りを改善する。美食ロードの集積効果は駅周辺の他の店にもプラス効果が働く。
また、次の章で言及する「ステーション」を活用することにより、食によるさらなる町興しを促進する。この点の詳細については、次章で述べる。
・美食ロードによる効果
CUETを用いたところ、仮に中心市街地業務用地(店舗面積)が1500u増加したとすると、中心市街地居住人口が約600人増加するとの試算結果が出た。よって、この施策を行う価値は十分にあるといえる。

(図27:CUETを用いた中心市街地居住人口変化)
■6−4.きらりんネットワーク
“きらりん☆ネットワーク”とは、土浦市内を楽しく歩けるようにするためのしかけである。このネットワークは、ステーションとwebコンテンツの2つの要素から成り立っている。
・ステーション

(図28:ステーション イメージ図)
ステーションは、メインステーションとサブステーションの2つに区分される。メインステーションは、主要な観光資源に配置。サブステーションは、各地区に分散的に配置。郵便ポスト程度の配置数(1個/km2程度)を想定している。
メインステーション、サブステーションともに、現在地付近の情報発信、共有を目的としている。メインステーションでは、サブステーションより発信する情報量は多い。情報は行政のみならず、付近住民や商店などと協力して、より身近な話題を発信できるように工夫する。運営は、設置は行政が行い、運営は町内会組織などを活用して、地域住民に委任する方式を考えている。メインステーションは以下の場所に設置することを考えている。

(図29:ステーション配置図)
・webコンテンツ
ステーションをより魅力的なしかけにするために、webコンテンツによる補強を行う。コンテンツ上に全てのステーションの情報を掲載。各ステーションにQRコードをとりつけ、それを読み取ることによって様々なイベントを行う。例えば、スポット周遊ラリーや、”au smart sports”のようなランニング応援サイトなど、スポットを利用(周遊)してウォーキングやランニング、観光ができるようにコンテンツ整備を行う。

(図30:webコンテンツイメージ)
きらりんネットワークの役割
きらりん☆ネットワークは、単にビジターのみならず、市民にも有効活用してもらえるものを目指している。
>ビジター
・まちを出歩くための基本軸として使う。
・ネットワークサービスから得られた情報をもとに、観光コースを選択する。
・名所をまわると、粗品がもらえるなどのイベントを開催し、もっと楽しく観光ができるようにする。
・Web上に観光客の口コミ情報などを載せることで、相互交流を行い生の情報を得る。
>市民
・まちを出歩くための基本軸として使う。
・ステーションで自分たちの居住地を紹介することにより、よいところを再発見する。
・ネットワークを有効活用することによって、様々なイベントを開催。(ランニングなど)
ステーション設置費用と観光への経済波及効果の比較

〜設置費用の根拠〜
・岩手県藤沢町で観光掲示板を設置した場合
私たちの定義におけるメインステーション  4機
サブステーション   16機   設置総額 \7,140,000
・私たちが設置するstation数
メインステーション 20機(藤沢町の5倍)
サブステーション 80機(藤沢町の5倍)  設置総額 \7,140,000*5=\35,700,000

茨城県産業連関表逆行列係数表13部門表サービス部門に上記設置費用をかけ、算出した。なお、サービス業基本統計は、『N医療、福祉』『Qサービス業(他に分類されないもの)』『H情報通信』(一部)『L不動産業』(一部)『M飲食店、宿泊業』(一部)『O教育、学習支援業』(一部)『P複合サービス事業』(一部)などが要素として含まれている。そのため今回は、サービス部門を観光と仮定して計算を行った。
以上より、第一次経済波及効果>ステーション設置費用となるため、ステーションを設置するインセンティブは十分にあると考えられる。
ここまで述べてきた「きらりん☆ネットワーク」を活用し組み合わせた、様々な情報提供サービスを提案する。具体的には次項からの、6−5.キララガイド、6−6.環境オリエンテーリング、6−7.美食ロードで述べる。
■6−5.キララガイド
キララガイドとは、ステーション同士をつなぐコースの検索が行なえるwebコンテンツのことである。また、検索機能のみならず、地域住民がおすすめするコースの紹介なども行なっていく。
使用方法の具体例としては、ランニングコースの検索機能などが挙げられる。目的(走行距離等)、出発地、目的地、経由地などを入力すると、利用者に合った最適なランニングコースが提示される。ランニングコースのみならず、犬の散歩コース、季節を楽しめるコース、歴史探索コースなど様々な目的のコースを検索できる。
キララガイドを使ってもらうことで、ランニングやウォーキングなどの有酸素運動を促し、人々の運動不足の解消につなげる。また市内をじっくり見てもらい、土浦市に点在するいいところに触れてもらうことで、土浦市を好きになってもらうという効果も期待できる。

(図31:ステーション検索画面)

(図32:ステーション検索結果表示画面)
■6−6.環境オリエンテーリング
土浦市には霞ヶ浦の水資源や、宍塚大池・里山の緑に恵まれ、豊かな自然に恵まれている。そのことから、多くの貴重な動植物がある。私たちはこの点を土浦市の長所として着目した。土浦市の自然のことをよく知ってもらい、親しんでもらう方法として、ステーションとwebコンテンツを用いた環境オリエンテーリングを提案する。
例えば、土浦市に百数十種類が生息していると言える鳥に注目し、バードウォッチングフェスティバル開催時以外の時にも土浦の鳥を見てもらえるようにする。
具体的には地元の住民がステーション周辺の鳥の生息状況を把握し、ステーションごとの書き込み欄やwebコンテンツに掲載しておく。地区の外から来た人は、その情報を頼りに鳥を探す。そして目的の鳥を発見することが出来たら携帯電話のカメラで写真を撮り、webコンテンツ上に写真を投稿する。以上のことを繰り返し、様々なステーションを巡ってもらうことで、土浦市の自然について段々と理解を深めていただく。

(図33:霞ヶ浦の鳥の写真)
■6−7.美食ロード
ステーションで美食ロードにある飲食店を紹介するとともに、webコンテンツを利用して飲食店の店舗情報や割引クーポンなどを提示する。
美食ロードに足を運んでいただくことで、土浦駅前商店街に人の流れを発生させ、商店街の活気を取り戻す。また、土浦産や茨城県産の農産物から作られた料理を食べていただくことで、地元農産物の良さに触れてもらう。

(図34:美食ロード 地図)
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