5 重点整備計画<郊外部の計画>


 郊外部には「3、基本計画」で述べたように、「運動」「車環境」「自然環境」「郊外型住宅」の4つの機能移転を計画する。具体的な場所についても、前述の通り神立・荒川沖・宍塚・おおつ野の4箇所を取り上げる。郊外部をより個性的で魅力的な地区にするために、キャッチフレーズとして移転した機能にちなんだ地区名称をつけることを提案する。以下の表はそれぞれの地区名称及びその概要を表している。


表5-1 郊外部の計画概要

5-1 神立地区整備計画

□ 現状

 神立地区は、土浦市の北東部に位置する。神立駅西側には土浦・千代田工業団地があり、常磐線神立駅を中心に市街地が形成されている。多くの企業の工場が立地し、それに伴ったレクリエーション施設も充実している。民間向けスポーツ施設(ピュアネス土浦)などもある。交通の便はよく、幹線道路・インターなどが存在し、外部からのアクセスが容易である。


□ 整備施策の提案

大規模運動施設により運動機能を補完する


アクティブシティ


 現在持つ企業・民間施設を生かし、企業とスポーツの連携をキーワードに、スポーツの振興に地域で努め、元気で活力のあるまちづくりを目指す。


□ 具体的施策案

@ 企業のもつ施設の一般開放を更に促進

 現在、日立などの工場で体育館などの一般開放が一部行われているが、開かれた企業として地区のイメージアップと共に、一般開放をさらに促進する。


A ランニング・サイクリングロードの整備

 整然とした幹線道路をランニング・サイクリングロード等として整備する可能性を探り、有効利用する。


B フットサルの振興

 サッカーより気軽に楽しめるスポーツとして、フットサルの人気が高まっている。神立にはピュアネス土浦などのフットサル場も立地している。企業のクラブにも取り入れることによって、選手の育成をし、神立を「フットサルで有名なまち」としてイメージアップ、集客の向上をはかる。


写真5-1-1 体育館開放の様子

写真5-1-2 サイクリングロード

5-2 荒川沖地区整備計画

□ 現状

 荒川沖地区は交通利便性が高く、常磐道桜土浦インター、国道6号、県道48号、学園東大通りなどが集っている。また、広い土地を必要とする大規模店舗がロードサイドに進出している。また、土浦〜牛久間移動の通過点であり、つくば市とも直結しているため、車での生活が便利なまちであると言える。


写真5-2-1 荒川沖上空

□ 整備施策の提案

車を使うことを前提に、その優位性を生かした機能を補完する


ニュー・サブアーバン


 中心市街地にあるべき店舗、郊外にあるべき店舗を明確化し、立地規制を行う。また、街路整備などの環境整備も併せて行うことにより、美しく便利なまちづくりを目指す。


□ 具体的施策案

@ 中心市街地と荒川沖で、店舗の明確な分担を計る

 食料品など、生活必需品を扱う店舗については、どの地域にもなくてはならないので、共通に分担する。しかし、他の店舗に関して、車での集客が狙える郊外部ばかりに店舗が集まってしまうと、中心市街地の活性化に悪影響を及ぼす。そこで、まず商品を量的な商品(均質的、ディスカウントショップで扱う)と質的な商品(一点モノ、ブランドショップで扱う)とに分類する。それぞれ、量的な商品を扱う店舗を荒川沖に、質的な商品を扱う店舗を中心市街地におくことによって、商店の明確な機能分担を実現し、相互に集客が狙えるような工夫をする。


A シーニックバイウェイ制度を普及させる

 シーニックバイウェイとは、シーニック=景観のよい、バイウェイ=わき道の訳で、地域と行政が協力しながら個性豊かなみちづくり、美しい環境作りに取り組んでいく制度のことである。道路に景観的な付加価値をつけることによって訪問者を増やし、地域全体の利益につなげることがポイントとなる。  この制度を国道6号線を対象に、東大通り入り口交差点を中心にした南北5キロの範囲で導入する。東大通りに流れてしまう車を土浦方面へ引き寄せることにより、中心市街地、荒川沖相互にとって利益を還元する。また、郊外型店舗などの大規模駐車場に緑地を整備し、良好な郊外環境を造りだす。
 整然とした幹線道路をランニング・サイクリングロード等として整備する可能性を探り、有効利用する。


写真5-2-2 シーニックバイウェイ制度導入のイメージ

写真5-2-3 緑地が植えられた駐車場

5-3 宍塚地区整備計画

□ 現状

 > 農業的・自然的土地利用の形態を持ち、ため池を中心とした多様な生物層をもつ100ヘクタールほどの里山がある。文化的遺産・遺跡群も豊富に点在する。


写真5-3-1 宍塚大池

□ 整備施策の提案

都市近郊にある本物の自然を生かし、自然とのふれあう機会を補完する


カントリーフォレスト


 貴重な里山を保全しつつも、人々の利用を促進できるような里山公園として整備する。


□ 具体的施策案

 自然観察、ホタル育成、生物調査、ナイトハイキング、フリーマーケット、野菜直売、落ち葉掻き、サツマイモの畑作りなど様々なイベントを開催し、宍塚の環境の魅力を伝え、自然保護へのインセンティブを市民に持たせる。総合教育の場、及び市民の憩いの場として活用する。


写真5-3-2 芋掘りの様子

5-4 おおつ野地区整備計画

□ 現状

 低地部で全国一の生産量を誇るれんこん畑、大地部に畑や平地林、池沼などが存在する。新規住宅地小高い丘にたち、静かな住環境が形成されている。丘を降りると霞ヶ浦が一望できる。


□ 整備施策の提案

豊かな自然に囲まれた豊かな住環境を補完する


ルーラルガーデン


 土浦市の特産品である「花卉」のイメージアップ事業として、おおつの一体を田園風景をもつ住宅地として再整備する。


□ 具体的施策案

□ 具体的施策案

@ 花のあふれる住宅地へ

 コスモス、キンセンカなどの管理の簡単な草花が辺り一面に咲き乱れる美しい住宅環境を整備する。また、グラジオラス、アルストロメリア等の土浦市特産の花卉の栽培体験・販売を推進する。


A 田舎の味が味わえる場所へ

 霞ヶ浦でとれたワカサギ・エビや、レンコンを用いた郷土料理の店舗、花卉の販売店、休憩所などを設置する。


 B イベントの開催

 美しい田園風景が広がる場所での青空コンサートを開催する。


写真5-4-1 郷土料理の販売店

写真5-4-2 青空コンサートの様子


CUTEとJICA-STRADAを用いた交通分析へ