6 CUETとJICA-STRADAを用いた交通分析
6-1 土浦市の交通現況
図6-1 土浦市 地図(1:50000 MapFan)
6-1-1 国道6号線
土浦市内の国道6号線は、2車線区間がほとんどであり、早朝夜間を除いて慢性的な渋滞が至る箇所で発生している。
@ | 中貫交差点・・・上り(東京方面)は千代田町から渋滞が続く状態がある。下り(水戸方面)は、中貫交差点付近でやや混雑が見られる。 |
A | 2車線の高架橋部分・・・信号が無いものの、交通容量の限界に近い通行量の場合はやや混雑する。 |
B | 荒川沖・中村地区周辺・・・ロードサイドショップやゲームセンターなど郊外型の店舗と住宅が立ち並ぶこの地域では、通過速度の低下による渋滞が起こる。「学園東大通り入口」交差点では、国道6号、東大通り各両方向で渋滞が見られる。 |
6-1-2 国道125・354号線
C | 南部(阿見美浦バイパス)・・・土浦市南部の国道125・354号線においては、「中村陸橋下」交差点では、交差点構造が複雑なため右折レーンの車両滞留による渋滞が起こっている。 |
D | 北部・・・流れはスムーズであるが、つくば方面から霞ヶ浦町方面もしくはその逆の通過を行う場合、※の部分が建設中であるため、中心市街地へ一度入らなければならない。 |
E | 中心市街地、旧国道6号線区間・・・朝夕は通勤・帰宅ラッシュによる渋滞、昼間はやや混雑する区間が存在する。一部区間は幅員が狭く、歩行者自転車の通行が非常に危険な場所がある。 |
6-1-3 都市計画道路 荒川沖木田余線
F | 土浦駅東口付近・・・幅員は広いものの信号機が多く混雑する。駅東口の幹線道路はこの道路のみであり、自動車が集中している。 |
G | 2車線区間・・・朝夕は通勤帰宅ラッシュによる渋滞が見られるほか、昼間も慢性的に混雑している。 |
6-1-4 県道123号土浦岩井線
H | 幅員狭し危険・・・旧6号を抜ける地下道付近では住宅が密集しており道路の幅員は狭い歩行者自転車の通行が非常に危険な場所である。 |
6-1-5 神立地区
I | JR神立駅前・・・駅前は駅前広場が狭く、付近の道路は歩道が無く危険である。 |
J | 「中貫」交差点〜神立・・・神立地区から国道6号へ向かう場合、「中貫」交差点付近で信号待ちによる渋滞が見られる。 |
K | 中心市街地〜神立・・・中心市街地と神立地区を結ぶ道路は、慢性的に混雑している。 |
6-1-6 その他
L | 土浦高架道・・・マイカー・バスともに普段の利用はされていない。 |
図6-2 2005年現在の道路網での2010年将来交通量を基にした道路混雑予測
2005年現在の道路交通網で2010年度の将来交通量を基にした道路混雑予測をJICA-STRADAにより行った結果、1.で述べた現況とほぼ同じ結果となった。よって、現在の道路交通網のままでは、2010年度以降も幹線道路を中心に至る所で道路混雑が起こることとなる。中心市街地での混雑度は1.5を超えており、自動車流入が顕著であることが分かる。
図6-3 土浦市北部・中心部・南部・東部、つくば市、牛久市、阿見町の各相互間自動車総トリップ数(平成10年度)
土浦市とその周辺のつくば市、牛久市、阿見町の自動車総トリップ数から分かることは、まずつくば市と土浦市中心部の総トリップ数が最も多いことである。つくば市と土浦市中心部の自動車による結びつきが強いことがわかる。
また、土浦市南部(荒川沖周辺)の自動車による結びつきは、つくば市や阿見町との結びつきが大きいことがわかる。土浦市南部には郊外型の専門店が多数立地しており、つくば市始め周辺地域からの買い物客がマイカーを使用して来ることが、トリップ数に影響を与えていると考えられる。
図6-4 茨城県市町村の将来人口予測(一部:国立社会保障・人口問題研究所)
国立社会保障・人口問題研究所が発表した「日本の市区町村別将来推計人口(平成15年12月推計)」によると、土浦市の2025年の将来人口予測は、135,321人である。現在の土浦市の人口は2005年2月現在で135,297人であり、発表された2005年将来人口予測を下回っている。土浦市の人口は予測された年よりも早く人口減少が始まったため、2025年の人口も将来人口予測を下回る可能性が大きい。2005年将来人口予測に対する実際の人口の割合は、98.8%であり、この割合が維持されると仮定すると2025年の将来人口は133,828人と予測される。
今回は、提案した土地区画整理事業等により約1,200人の居住人口の増加を見込み、2025年の土浦市の将来人口を135,000人として予測を行う。
発表された周辺市町村の将来推計人口と設定した土浦市の将来人口を基にすると、分析対象の市町村全体で2025年には70,758人増加する。この数値を用いて将来の道路混雑予測を行った。
6-4-1 国道6号牛久土浦バイパスの全線開通
現在つくば市の国道408号線から学園西大通りまでの圏央道つくば牛久I.Cを連絡する区間が暫定2車線で開通しており、学園西大通りから学園東大通りの区間においては、用地買収中である。土浦市の学園東大通りから国道6号線までの区間は、未だ事業化に至っていない。
図6-5 牛久土浦バイパスの事業進捗状況(国土交通省常総国道事務所)
国道6号線の主な渋滞ポイントの1つである「学園東大通り入口交差点」付近の渋滞や国道6号線、学園東大通りの混雑の緩和による通過交通の円滑な通行、住宅地への自動車侵入の防止等を目的に牛久土浦バイパスの事業化、整備促進を行う。
6-4-2 都市計画道路の整備
図6-6 土浦市の交通ネットワーク整備方針図(土浦市都市計画マスタープラン)
土浦市の交通ネットワーク整備方針図では、「中心市街地環状道路」が盛り込まれ、土浦市の都市計画道路からは「荒川沖木田余線」、「土浦新治線」が含まれている。中心市街地の道路混雑の緩和させるために、この2本の都市計画道路を早期に整備する必要がある。特に「土浦新治線」は、国道125号線と国道354号線を結び、土浦市北部・東部の幹線道路となるため、市街地への通過交通の進入抑制効果が期待される。
「荒川沖木田余線」は、一部の区間を除いてほとんど整備は終了しているものの、2車線区間ではラッシュ時に渋滞が起こる。また、荒川沖地区からひたち野うしく方面へ延伸される予定であるため、今後も交通量は増加すると考えられる。2車線区間では交通容量増大による渋滞解消を目的とした道路の拡幅を行う。
6-4-3 土浦高架道の延長
「川口2丁目土地区画整理事業」に盛り込まれている土浦市役所の移転、道の駅「つちうら」の整備によって、JR土浦駅周辺の道路交通需要は増大すると考えられ、現在の道路網だけでは、道路混雑をさらに増大させてしまう恐れがある。そこで、土浦高架道を事業地内まで延長することにより、JR土浦駅周辺の幹線道路の混雑を軽減させる。
図6-7 施策が整備された道路網での2025年将来交通量を基にした道路混雑予測
3.で行った人口予測を基にCUETを使用してトリップ数を計算し、4.で提案した施策の整備を加えた道路網と計算されたトリップ数を組み込んでJICA-STRADA道路混雑予測を行った。
「土浦新治線」中心市街地での道路混雑は縮小し、混雑度が減少している。幹線道路では、国道6号線は牛久土浦バイパスの開通により旧道の混雑度が減少したもの混雑は続いている。旧国道6号線には生活道路としての機能が残っており、依然混雑が続くものと考えられる。