筑波大学ペデストリアンにおける自転車交通
第3章 予備調査
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5-1 まとめ
今回の実験によってわかった全体を通しての共通の問題解決策は通路の確保と駐輪場の積
極的な利用ということになる。しかし、混雑のすべての原因が駐輪問題にあるわけではない。
歩行者との交錯や構造上の問題が大きく影響しているケースも考えられる。今回は、これら
のことは調べられなかったが、ペデストリアンの大きな問題点だあることは確かであり、こ
れからの課題である。
今回の実験によって、誘導による混雑の解消にはある程度の成果が見られた。実験中、利
用者の声もインタビューしたが、答えはすべてが利用しやすくなったというものだった。そ
の意味では今回の実験は概ね成功したといって良い。しかし、どんな誘導も利用者のモラル
の欠如があっては機能しない。実験中にも狭い通路上での立ち話や、駐輪禁止のはり紙前へ
の駐輪、点字ブロック上への駐輪など、明らかにモラルの欠如した行動をとる人たちがいた。
誘導によってある程度の問題は解決できるかもしれないが、結局最後には利用者の行動に
よってすべてが決定するので、混雑問題に限らず、交通問題を根本から解決しようとするな
らば、利用者のモラルに直接訴えかけるしかない、というのが究極的な結論だと考える。
しかし、誘導によってある程度の問題の解決ができるであろうこともまた今回の実験の結
果から分かる。混雑問題の解決によって学内の自転車交通問題のすべてが解決するわけでは
ないが、自転車交通の快適利用へのひとつの有効な手段であることは今回の実験結果からも
明らかである。
5-2 おわりに
以上が、本実習の調査レポートである。ペデストリアンの問題の多面性に驚き、考えさせ
られた実習であった。
我々が実際に考案し、実行した簡易な実験が、予想以上に大きな成果をあげたことは大変
喜ばしいことであり、また、混雑緩和の可能性を示してくれるものでもあった。本実習をと
おしては「実際に自分の目で見て確かめる」ということの重要さを学べたと思う。
参考文献
石田東生、谷口守編 (1993) 『筑波大学交通長期構想策定調査実施報告書』.
筑波大学学生担当教官室編(1995) 『学生生活実態調査』.
謝辞
この研究を進めるにあたり、多くの方々のご協力をいただきました。学内自転車交通に関するデータ等の提供、実験の許可など実験全般に渡り支援していただいた筑波大学総務部総務課の井手さん、学内交通施設に関して話を聞かせていただいた筑波大学施設部企画課の山田さん、同じく建築課の中川さん、実験の資材を貸し出していただいた筑波大学経理部管財課の鈴木さん、そしてこの実習全般にわたり御指導いただいた石田東生先生に心から感謝いたします。
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