第2章 事前調査
2.1 ヒアリング調査
筑波大学生の服装への実態を調査するために、2回ヒアリング調査を行った。対象者
の服装が分かるような写真も撮影した。
▼1回目
日時:4月20日(金)13時〜15時
対象:筑波大学1・2・3学エリア(有効回答数55)
▼2回目
日時:4月25日(水)12時30分〜14時
対象:筑波大学1・2・3学エリア、医学等、体芸棟(有効回答数55)
Q.ジャージで学校に来たことがありますか。
調査対象者110人に対して、57人がYESと回答。筑波大学生の半分以上の人がジャー
ジ・スウェット登校をしていることがわかる。
Q.なぜジャージ・スウェットで登校しますか。
ジャージで登校すると答えた人に対して、理由をたずねた。その回答を私たちは大き
く3つにわけた。
1つめは、周りがジャージである、私服でくると恥ずかしいなどといった同調圧力(3
人)である。
この理由は、主に体育専門学群において聞かれた。
2つめは、ジャージが楽で私服がめんどうくさいなどといった怠惰やだらけ(15人)
からくるものである。
3つめは、体育や部活動などがあるといったカリキュラム的問題と着替える場所がな
いなどといった施設的問題の2種類を含む外的要因(23人)である。
Q.ジャージ登校についてどう思うか。
対象者全員に対して、ジャージ登校に賛成か反対か5段階評価をしてもらった結果、
大反対3、反対11、どちらでもない34、賛成31、大賛成32という結果を得た。
賛成派が全体の57%を占めており、筑波大学生はジャージ登校に対して肯定的なイメー
ジをもっていることがわかる。
2.2 服装調査
筑波大学と慶応義塾大学において、各大学の服装実態を調査するため行った。30分間
同じ場所で通行者を観察し、ジャージと私服の人数を計測する。
▼慶応義塾大学
日時:5月9日(水)11時〜11時30分
調査人数:235人
調査場所:慶應義塾大学日吉キャンパス正門前
▼筑波大学
日時:5月11日(金)11時〜11時30分
調査人数:278人
調査場所:筑波大学松美池バス停前
2.3 既存研究
[1]青木義次(1988):『都市空間における人と景観の相互作用』
[2]専修大学ブランディングプロジェクト アンケート
[3]富田弘美(2002):『女子学生の服装意識と性格との関連性』
[4]扇澤美千子,皆川温実,川端博子(2011):『女子高校生の服装意識から考察する
服装学習の方向性
[5]野津哲子(1984):『島根女子短期大学生の衣生活の実態について』
[6] 海道貴子,服部由美子(2005):『福井市およびその周辺に在住する大学生の着装行
動』
[7]藤井一枝(1990):『男子・女子大学生のファンションに対する関心度と行動』
[8]宮原和明 庄山茂子(2010)色彩が町並みの景観印象に与える影響についての基
礎的研究
[9]渡辺明日香(2003)ストリートファッションにおけるエリアと服装色の関連性
[10]藤木悦子(2000)女子短大生の服装に関する意識
[11]小島達雄 宇杉和夫(2002)公空間の私化・私空間の公化と居住空間の変化に関
する研究
以上の既存研究を拝読し、その中で特に下記の4つを参考にした。
2.3.1 青木義次 岡田篤生 尚炯鍾 「都市空間における人と
景観の相互作用」
*研究の背景と目的
景観に関する研究はこれまでそこに存在する人・もの等を除外した景観そのものに注
目してきたが、都市空間から受ける印象は、景観を含む様々な要素の集合したものか
ら形成されていると考えられるので、人間を含めた広義の景観が人々に与える印象に
注目し、景観の特徴及び景観を構成している要素について分析することを目的として
いる。
*調査方法
予備調査により服装と外見上の年齢2つの観点から分析対象を特定し(表1)、景観
については人の集積の高い施設が写り、人間が写らない写真を用意した。30の光景(
景観)を分析対象とし、各光景についての特徴を表3に記述し、この光景に各人間分
類の人間を加えた合成写真を図1のように2種類ずつ作成した。
40人の被験者に対し、30ごとの光景ごとに
@ 人間の写らない光景に対する18の形容詞対(図3参照)による印象評価
A 合成光景の中で人間と景観が似合っているかどうかの評価
B Aで1番似合っているとされた合成光景について前記と同じ形容詞対による印象
評価
の回答を求め、基礎データとした。
*人間との調和から見た光景分類
Aのデータより30の光景ごとに一番似合うとされた人間分類の相対頻度X1k(k=a~f)を
求めた。しかし光景によりばらつきがあるため平均eと標準偏差σで基準化し、
各光景について X1k>e+σならばK型 X1k
*光景分類と印象との対応
各光景について、@の印象評価が高いことを表2に示している。また、@とBについ
て比較した結果、18の形容詞対についてほとんど変化が見られなかったことが分か
り、景観に加わる人間がその景観に似合っているならば景観の印象はその前後で不変
に保たれることが判明した。
*人間との調和から見た景観特徴要因
表2左欄に示す光景分類でK型の光景が共通にもち、かつ反K型の光景が持っていない
光景の特徴要因をK型の光景分類によって得られたタイプごとに光景の特徴要因を光
景分類の特徴と考えを整理した。(表3) この結果、人間との調和から見た光景分
類によって得られたタイプごとに光景の特徴要因にいくつかの傾向が存在することが
判明した。
2.3.2 藤木悦子 「女子短大生の服装に関する意識」
*研究の背景と目的
高校の3年間は社会的に自己の存在を位置づけることを可能とし、安心感を得ること
ができるというプラス面があったが、服装を通して自己の個性やその日の気持ちを表
現するというチャンスを制限されるというマイナスの面もあった。
短大生となり様々な服を選択可能となったが、キャンパスの中は日常的であるがプラ
イベートな空間とは異なり、主として勉学という特定の目的や意識を持って人々が集
まる場所であると同時に、彼女たち自身の学生生活において関わりのある多くの人た
ちと交流する場所でもある。そこで、当研究は、そのようなキャンパスという場所で
の服装意識について調査することを目的としている。
*調査方法
顔などによる服装のイメージに対する影響を避けるため、学生の首から下を撮影した。
その撮影した写真を上衣・下衣をスタイルによって分類し、それぞれの組み合わせパ
ターンを抽出した。また、通学時の服装に関してヒアリングを行った。
*ヒアリング結果
通学時の服装にふさわしいものがあるかないかでは、「ある・ない」の回答の割合は
2:3であり、「ある」と答えた学生の大半は「勉強に来ている」、「TPO」などのこ
とを意識して服装を選んでいるようだ。また、彼らは目的遂行の邪魔にならない、遂
行に不必要なものは身につけないようにしており、他者への配慮を大切にしていると
思われる。逆に「ない」と回答した学生は、自分の自由感や自分の気持ちを服装選択
の基準に捉え、服装によって個性を表現しようとする傾向がある。つまり、前者の学
生はコミュニケーション手段として服装を捉え、後者は自己の快適性・満足感を中心
とした服装選択意識を持っている。また、福岡欣治の繊維製品消費科学によると、「
個性・流行」「実用性」「社会的調和」のうちインフォーマルな場面で服装を意識す
る人ほど、人目を引き自分を引き立て、自己表現できるといった「個性・流行」を重
視していることが述べられている。
2.3.3 渡辺明日香 「ストリートファッションにおけるエリアと
服装色の関連性」
ストリートファッションはエリアによってクラスターが異なり、嗜好色や配色が違う。
この違いはファッションスタイルに起因するものと考えられる。原宿・渋谷・銀座で
は、滞在している年齢層やファッション嗜好が違い、服装などのカラーも異なる。
2.3.4 日本建築学会九州支部研究報告色彩が町並みの景観印象に
与える影響についての基礎研究
ドイツ、中国、日本の町並み景観について日本、中国の大学生による評価を分析した
結果、以下のことが分かった。
@ 建物の色は自然の色との調和が必要である。
A 色だけの調和でなく建物と自然のバランスが重要である。
B 人々が憩う場には緑が必要である
C 看板のような付設物も景観を形成する上で建物の1つとして重要な要素である。
D 古い町並みに対して、町並み全体の調和する色は重視すべきである。