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既存研究の収集と分析
| 『千葉大学施設環境部 エレベータ使用時の費用について』 エレベータの稼動時の消費電力は大きいことはよく知られていたが、稼動していないときの消費電力やエレベータの稼動回数といった利用状況も含めた電力消費実態は明確になっていなかった。そこで、西千葉キャンパスの5ヶ所のエレベータをサンプルとして測定を行ない、その結果を示している。 稼動回数と消費電力量との関係を求めたところ、エレベータを1回稼動させることで0.02kw(0.30円)消費電力量が増大すると予想された。 ほかにもエレベータの1日あたりの消費電力量におよぼす稼動回数の影響やエレベータの消費電力測定の結果などのグラフや図が示されている。 『日本オーチス・エレベータ株式会社 交通量計算』 エレベータの利用人口や輸送能力、設置台数の目安、サービス水準の計算式が掲載されている。ここに掲載されている、計算方法と、エレベータ会社2社からの返答に基づき、本調査での、電力消費量や電気代は算出されている。 『博報堂生活総合研究所 世界8都市・環境意識調査』 東京・ニューヨーク・トロント・ロンドン・フランクフルト・パリ・ミラノ・モスクワの8都市で環境意識のアンケート調査を実施した。「現在、地球温暖化が進行していることにあなたはどの程度危機を感じていますか?」について、「危機を感じている」「やや危機を感じている」と答えたのは全体で80.9%。東京は88.4%で、8都市中トップ。モスクワ市民の意識の低さ(60.0%)がきわ立つ。ところが、「『地球環境に配慮した生活』を送るための工夫・努力をしている」や「『地球環境に配慮した行動』が日常的な習慣になっている」など実践面に見ると、東京は途端に8都市平均を大きく下回り、モスクワをおさえて断トツの最下位となる。 これら先進国の都市では、そろって「経済発展」より「環境保護」優先という結果が得られている。しかしながら、東京の生活者の「地球温暖化への危機感」は8都市でトップ(88.4%)だが、「温暖化防止のために便利な生活を犠牲にしたくない」も8都市で最多(41.6%)となり、『エコジレンマ』という新たな単語が生み出されている。 本調査もエコジレンマに関わるひとつの調査となりうるため、興味深い資料であり、参考にした。 『ドクター塚本の階段健康法』 茅ヶ崎徳州会総合病院名誉院長の塚本礼三氏が階段の上り運動とウォーキングを合わせた階段健康法というものを紹介している。 いくつか挙げられている階段健康法のメリットや実態、この本で紹介されている先行研究を以下に記す。 ○階段利用のメリット ・階段を歩くこと自体が優れた全身運動。 ・代謝が良くなり肥満の防止にも貢献する。 ・天候に影響されず継続しやすく、短時間で効果的、仕事と並行して行うことができる。 ○階段と健康に関する先行研究の紹介 ・「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディスン」 ラルフ・パッフェンバーガー博士 ハーバード大学卒業生を対象に、1966年から30年近くに及ぶ長期大規模健康調査。 →階段歩行が生活習慣になっている人の死亡率は、そうでない人よりもはるかに低い。 →階段の種類を問わず、1週間に55階分以上の階段を上っている人の死亡者数は、20階分以下の人と比べて33%も少ないことが判明する。(1日で11階分を上る) ・「イェ−ル大学、ケリーブロウネル博士の研究結果報告」 毎日2階分階段を上がるだけでも、1年間に2.7キロの体重減少が可能。 ・「階段利用による医学的な効用」 下肢の多数の筋肉や腱の強化鍛錬によい運動(転倒防止、腰痛、膝の痛みを解消) ・ミルキングアクション作用による 心臓や血管の負担軽減(エコノミークラス症候群の予防) ・英国ジョーンズダウン大学、ボアハム教授の研究結果(2005年) →階段上がりを継続することによって、動脈硬化の原因である悪玉コレステロールと中性脂肪が減少し、善玉コレステロールが上昇する。 →心臓病の危険を減少(心筋梗塞、心臓病の予防、動機、頻脈、息切れの改善) ○他のスポーツと階段利用を比較した運動量 ・階段を下りるときは、普通歩行と同程度の運動量。 ・普通歩行のスピードで階段を上がるだけで、サッカーやテニス、スキーなどと同程度 の運動量。 ・2分間階段を駆け上がると、サッカーやテニスを5分間と同等のエネルギー消費効果。 ・健康づくりのためには、階段を週16階分上がれば充分。 |