現状調査


3.1 アンケート調査

  作成したコミュニケーションツーツの効果や現在の健康、環境の意識調査を行うため計2回のアンケート調査を行った。
・第1回アンケート調査
  社工、応理、教育、心理、障害、人文の6つの学類を対象に健康、環境意識の調査を5段階評価で行った。また、エレベータの利用状況などについて質問をした。
・第2回アンケート調査
第1回アンケート調査後に配布、掲示したコミュニケーションツールによるエレベータ利用の意識変化を調査するため、同じく6つの学類を対象に調査を行った。第1回と同じく健康、環境意識の調査を5段階評価で行い、エレベータ利用状況に関する調査も行った。また加えて、コミュニケーションツールに関する調査も5段階評価で行った。

グループ分類3.1.1. 分析方法 具体的な分析方法として,以下の3つの手法を用いた.
・段階間比較分析…1回目と2回目の結果を比較し,各項目で設定した尺度の変化を見る.
・群間比較分析…4つに分けたグループ間で結果を比較し,各コミュニケーションツールがどのような効果をもたらしたのか分析する.
・パス解析…コミュニケーションツールに対する印象が,実際のエレベータ利用に対する意識・行動にどれだけ影響を与えたかを計測する.

3.1.2. 分析結果
調査の結果を分析方法ごとにわける.
・段階間比較分析…ポスター群においては一部の学類でのみエレベータの利用状況にプラスの変化をもたらした.リーフレット群でもエレベータの利用状況にプラスの変化が見られた.また,制御群として設定した学類にもプラスの変化が表れている事が確認された.(図1,2)
・群間比較分析…ポスター効果の検証・リーフレット効果の検証のいずれにおいても有意な変化が見られなかった.だが,ポスター群の社工とポスターの 応理の2つを比較するとその変化に有意差が見られた.(図3)
・パス解析…踊り場ポスター・蹴上げポスター・リーフレットを見た学生がそのコミュニケーションツールに説得力をより大きく感じていると,エレベータの利 用に対する意識の変容が起こっていることが分かった.また,エレベータ の内外部に掲示したポスターに関しては,そのポスターの内容をより把握 していると,エレベータの利用に対する意識の変容が起こっていることが わかった.しかし,その意識の変化はいずれも行動変容には結びつかなか った.
グループ分類グループ分類グループ分類グループ分類グループ分類
3.1.3.考察
  段階間比較分析において,制御群にて有意な変化が見られたということは,コミュニケーションツール以外とは別の要因が関わってきているということが考えられる.その一番の要因として我々は,事前調査として行ったアンケート調査がエレベータの利用意志に影響を与えたのではないかと考えた.
  ポスター群の中で社工と応理に変化の違いが見られた事については,見るポスターは同じでも社工と応理でそのポスターを見たことによる意識の変化に違いがあったということであり,応理の学生の方がポスターの効果が高かったということがいえる.
  そして,各コミュニケーションを見たことによって学生達は,そのコミュニケーションツールの何かが要因となってエレベータを利用するという意識に変化が現れたが,実際の行動変容には結びつかず,個人の利用頻度に大きな変化が見られなかった.


3.2 エレベータ現地調査
3A棟,3B棟,2A棟,2B棟の各エレベータで4/28~6/12の期間,火曜12:00~12:15,金曜12:00~12:15 ,15:00~15:15の休憩時間15分間で乗り込み調査を行った.ポスターの掲示を境にエレベータ利用の変化が現れたかを集計すると,以下のグラフの様になった. グループ分類
結果,ポスター掲載前後で2学3学共にエレベータの無駄利用率に大きな変化は見られなかったが,エレベータの平均利用者数ではポスターを掲示した3学で減少の傾向が見られた.これは,普段からあまりムダ利用をしておらず,エレベータ利用に関して意識している人々の方が実際の行動変化へ移行しやすかったからではないかという結論に至った.