パネル調査の結果から、コミュニケーションツールを用いた心理的方略だけでは、対象者の意識を変容させることはできたものの、行動変容を起こすことはできなかったことがわかった。実際に行動変容を起こすためには、心理的方略と同時に構造的方略が必要なのではないかと考え、理想の階段構造の提案を行うことになった。
○エレベータ利用に関するディベート
私たちはエレベータ必要派、不要派に分かれてディベートを行い、真にエレベータを必要としている人(高齢者や障害者など)を除いた人々の利用を促すような階段の構成要素を考えた。その際に、挙がったものは以下のような項目である。
・エレベータの扉付近にゲートを設置する
・階段の幅を広げる
・エレベータの数を減らす
・階段のデザインを工夫する
・階段の手すりの材質を工夫する
・階段にカーペットを敷く
・踊り場に観葉植物を設ける
・階段に音楽を流す
・階段に開放感を持たせる
・階段の構造をらせん状にする
・人が多く集まる場所に階段を設置する
○3A棟階段のリニューアル提案
以上を参考に、私たちの理想の階段構造を実現するような模型を作成した。なお、対象箇所は3A棟のエレベータ付近の階段である。
対象にした階段の現在の問題点を挙げる。現在の階段は幅が1.2mしかないため、上りと下りの利用者がすれ違うのがやっとの状態である。そのうえ、階段の両側がコンクリートの壁で囲まれているため、階段に閉塞感が生まれてしまっている。これらを改善するために、まず、階段の幅を現在の2倍以上にして、階段の空間にゆとりを持たせるようにした。さらに、壁の材質を工夫したり、吹き抜けを設けたりすることで、利用者が開放感を感じられるようにした。しかし、現在の建物構造では、階段の幅を今より広くすることが難しかったため、階段の向きを90度変えることで対応した。さらに階段の使い心地をよくするために、階毎に踊り場の壁の色を変え、階段の色や材質にも工夫を施した。
図2.模型 |
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