数量調査

数量調査

 前項のヒアリング調査より、災害時に周辺点は店舗が無事であれば物資の販売を続けるということが明らかになった。ここから、災害時に周辺店が保有する飲食物は住民が等しく入手することができるものと仮定する。

 本研究の背景より、震災発生から外部からの救援が安定するまでの3日間を、地域内でまかなうことができる飲食物だけでしのぐことができれば大丈夫であるという前提を立てた。3日間で必要となる量のうち、コンビニエンスストア(以下コンビニ)、スーパーマーケット(以下スーパー)、大型ショッピングセンター(以下大型SC)といった周辺店舗やその他の地域施設でどれだけカバーできるのかといったことがわかれば、そこで足りない分が個人で用意すべき量ということになる。

 そこで、まずは周辺店舗が保有している飲食物の量の調査を行った。

 

対象周辺店(コンビニ)

まず、大学周辺に存在するコンビニをプロットした。災害時には道路が通行不能になり徒歩以外での移動が困難になることを想定し、プロットした店舗の中から学生が災害時に頼れる18店舗を絞り込んだ。以下にそのリストを示す。

@セブンイレブン つくば北大通り店

Aセブンイレブン つくば春日4丁目店

Bセブンイレブン つくば春日店

Cセブンイレブン つくば松見公園店

Dセブンイレブン つくば天久保4丁目店

Eセブンイレブン つくば桜柴崎店

Fセブンイレブン つくば平塚店

Gローソン      つくば春日店

Hローソン      つくば妻木店

Iローソン      つくば天久保3丁目店

Jローソン      つくば桜2丁目店

Kローソンストア100 筑波大学前店

Lココストア   学園天久保店

Mココストア   筑波大厚生会一の矢店

Nココストア   つくば上境店

Oミニストップ  つくば春日店

Pミニストップ  つくば天久保店

Qファミリーマート つくば春日4丁目店

R大学会館にあるコンビニ

V.2−2 対象圏域設定

災害時にまず頼りにするのは、日常生活において身近な存在であるコンビニだと考えられる。そこで本研究ではコンビニを基準に6つの生活圏域を設定した。どれだけの飲食物量が必要とされているのかと、どれだけの飲食物量を周辺店や地域施設によってまかなうことができるのかということをより正確に求めるため、圏域別に算出することにした。以下に6つの圏域の定義を示す。

 

※圏域番号を iとおく

1.テクノパーク桜圏域(2843人)

桜1,2,3丁目、

柴崎、上野、上境、

2.天久保12圏域(4222人)

天久保1,2丁目、妻木

平砂宿舎(50%)、追越宿舎

3.天久保34圏域(2261人)

 天久保3,4丁目

 春日4丁目(20%)

4.一の矢圏域(1153人)

 一の矢宿舎

5.春日4圏域(2839人)

 春日4丁目(80%)、東平塚

 平砂宿舎(50%)

6.春日123圏域(5558人)

 春日1,2,3丁目、春日宿舎

 

 

 

 各圏域の人数はつくば市の行政区別人口表20090401日現在版から計算した。また、各宿舎の入居人数は筑波大学学生課から提供していただいたデータを基に計算した。なお、より正確な人数を求めるため、丁目ごとに学生がどれだけ住んでいるかという情報や住民登録をしていない学生がどれだけいるのかという情報も知りたかったが、大学としてはそういった集計は行っていないとの返答をいただいた。

 対象圏内に、コンビニは計19軒存在する。


対象周辺店(スーパー・大型SC

 大学周辺にはカスミやカワチといったスーパーに、iiasLALAガーデンといった大型SCが点在する。しかしそれらの店舗配置を地図上にプロットすると、いくつかの特定の場所に密集して存在していることがわかった。そこで、密集しているところをひとくくりにして「供給拠点」とし、ひとつの店としてみなすことにした。各拠点の位置と、構成店舗を以下に示す。

※供給拠点番号をj とおく

1.テクノパーク桜拠点

カスミ テクノパーク桜店

カワチ薬品 つくば桜店

スーパーまるも 学園店

2.研究学園拠点

カスミ フードスクエアつくばスタイル店

とりせん 研究学園店

3.つくばセンター拠点

 ジャスコ つくば店

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


周辺店飲食物保有量調査方法

 前項までで飲食物量調査の対象となる店舗の選定が終わったので、ここからは具体的に、各店がそれぞれどれだけの量を保有しているのかを調査していく。項での周辺店ヒアリング調査により、店が保有している飲食物のほとんどが売場にでているとのことだったので、本研究では売場に出ている商品数がそのまま店舗が保有している飲食物の量であると仮定した。

 数量調査の対象品目を飲料と食料に大別し、飲料は「水」と「水とアルコール飲料以外の飲料」の2項目に、食料は「おにぎり」「サンドイッチ」「菓子パン」の3項目にそれぞれ分け、各項目に該当する品数を実際に店舗で数え上げた。

調査結果のままでは各項目が何個という情報だけなので、統一するために飲料水は体積(ℓ)に、食料は熱量(Kcal)に換算して集計した。食料品は商品によってひとつあたりの熱量が異なるので、実際の店舗でいくつかの商品の熱量を記録し平均値をその項目のひとつあたりの熱量数とした。

 

※食料にの熱量をKcalで示すと桁数が多くなるので、Mcalとした(1Mcal=1,000Kcal)
 前頁にて、文中で述べていない項目(サンドイッチ)が表に存在していたり、飲料水の量区別などが店舗ごとにばらついていたりしているのは、調査開始の段階でグループ間の統一が取れていなかったためである。反省としたい。また、食料は上で述べた3項目のほかにも食材や冷凍食品などたくさんの種類があるが、短時間で全商品を数え上げるのは非常に困難なことから、本研究では「調理をせずにすぐに食べることができる主食」に限定した。

 

 以上の結果をまとめたものを示す。スーパーや大型SCに関しては拠点別にまとめた。

 

コンビニに関してはすべての店舗について調査をするのは難しいので、一般のコンビニと学内にあるコンビニに大別し、それぞれの代表として2軒で数量調査を行った。調査したのは、一般コンビニがA、学内コンビニがMである。学内コンビニはM、Rの2軒だけで、その他の17軒は一般コンビニとした。調査をしていないコンビニについては、一般のコンビニはMと、学内コンビニはRと同数の飲食物を保有しているものとした。表は1軒あたりの量を表している。学内にあるコンビニを区別したのは、購買層が学生のみであることから他と比べて規模や品物の種類が異なると考えたからである。


飲食物配分方法

地域が保有する飲食物の量が明らかになったので、これらの飲食物が災害時に住民にどのように配分されるのかということを考えていく。

 

まずは、コンビニが保有する飲食物の配分方法から考える。コンビニが保有している飲食物の量は比較的少ないので、それぞれの生活圏域にあるコンビニが保有する飲食物は、全て地区内の住民に平等に配分されると仮定した。

 

次に、スーパーや大型SCが保有する飲食物の配分方法について考える。こちらはコンビニよりも大幅に在庫量が多いので、各圏域を超えて広い範囲に物資を提供できると考えた。

そこで、3つの拠点を中心にボロノイ分割を行い「供給エリア」を作成した。なお、それぞれの供給エリアはつくば市内までとしてある。エリアに含まれる大字の人口をつくば市の行政区別人口表20090401日現在版から求め、それらの合計を供給エリア人口とした。

以上の前提を踏まえて、拠点が保有している飲食物は各供給エリア内の住民に平等に配分される

と仮定した。供給拠点ごとの供給エリア分割図を左に示す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


飲食物配分量計算

 これまでの調査で得られた数々の値と仮定を踏まえて、周辺店が各生活圏に供給できる飲食物の量と、個人が備蓄すべき量を生活地区ごとに算出するための式を作成した。「個人が備蓄すべき量」は「3日間に必要となる量」から「一般コンビニ、学内コンビニ、供給拠点が保有している量」を差し引いたものである、ということを表している。

  配分ダミー変数Dijは、圏域iが供給拠点jに「内包されているとき」は1、「部分が含まれているとき」は0.5、「含まれていない」ときは0とした。

文献調査より、11日あたり3ℓの水と1200Kcalの食料があれば大丈夫であることがわかったので、Ddの値は、飲料の場合3ℓ、食料の場合は1200Kcalとした。

 

 

 

式に代入して得られた結果を表に示す。なお、ヒアリング調査より、水道は貯水池などから半日分は供給が可能ということがわかっているので、飲料の計算を行うときは式の右辺の1項目にある3Ddから半日分を差し引き、2.5Ddで計算を行っている。

 

 

 

計算結果考察

食料については調査の制約上対象をかなり絞ったせいか、周辺に供給できる量はほとんど無いという結果になった。一番多いところでもひとりあたり185kcalと、おにぎり1つ分程度の熱量しか供給できない。飲料水については圏域ごとに差が出たが、ほとんどの圏域で周辺店からは半日分程度しか供給することが出来ないという結果が出た。

 当初は地区別にどのような対策をとるべきかを提案すべく地区を分けて調査を進めていたのだが、このように地区ごとの差異が思ったほどみられなかった。その中でも一番厳しいところを基準として個人が備蓄しておくべき飲料水の量を求めると、必要となる備蓄量は飲料6.5ℓで、食料はまるまる3日分となる3600kcalとなった。

全体としてこの調査からは周辺店が保有する飲食物にはあまり頼ることができないという結果のみを得るかたちとなった。つまり、公助同様共助にもあまり頼れないということが判明したことになる。