6−2 街路樹整備のコスト計算
■目的
快適な歩道空間を達成するために、木の根による隆起の段差は改善が困難な問題である。
理想である歩道の凹凸ゼロを目指すには防根シートを使った全面植替え工事を行うことになり、私たちの力では到底実行できない。
そこで、実際に植替え工事にどのくらいの予算がかかるのかを算出する。
そして、現在かかっている維持費と比較し、植替え工事の可能性を検討する。
■方法
場所は歩道の整備状況が比較的悪いユリノキ通りを想定する。まずは全体の維持費を施設部からのヒアリングを参考にして算出した。
次に、歩道を隆起させている街路樹100本あたりの工事費用を標準工事歩掛要覧(土木編)2)と建築物価を用いて算出した。
また、ユリノキ通り全体で歩道を隆起させている街路樹の数を調査した後、総工事費用を算出した。
そして、最後に維持費との関連性をグラフにした。
■結果
@維持費
維持費は主に剪定費と表面工事費に分けられる。一般にユリノキは2〜3年に1回剪定が必要と言われ、
今回は剪定費を100本あたりで計算した。表面工事費は、歩道が隆起している箇所を植替え工事ではなく
歩道の表層だけをはがし、根(支持根)をきる応急処置的な方法である。
A100本あたりの工事費用
街路樹の植替え工事は歩道工事と街路樹を植える工事がある。
歩道は上から表層、路盤、路床に分けられ、歩道工事ではそれぞれアスファルト、クラッシャランと呼ばれる砕石の敷き詰め、転圧作業を行う。
路床には手を加えない。植替え工事では、街路樹の養生をするための幹巻き、土壌の掘り起こし、街路樹の植え込み、の作業を行う。
<歩道幅150p(表層5p、路盤10p)>
B維持費と植替え工事費の比較
ユリノキ通り全体の街路樹の数を調査したところ、160本であった。
つまり、総工事費用は、約1億1千万円の費用がかかることになる。