6.考察と今後の展望
以上のことから、今後より厳しい高さ規制が必要になってくると考えられる。そこで実際にどの程度の高さ規制が可能か探ってみることにした。
作業としては、ゼンリン住宅地図つくば市を使って、調査対象地域の中から更に、第一種高度地区に当たる地区の、三階以上の建物の数を階数ごとに調べる。
これは新たに規制をかけることによって既存不適格となる建物が、どの程度存在するか把握するためである。
ここで既存不適格とは、「建築時には適法に建てられた建築物であって、その後、法令の改正や都市計画変更等によって不適格な部分が生じた建築物」のことをいう。
そのまま使用していてもただちに違法というわけではないが、増築や建替え等を行う際には、法令に適合するよう建築しなければならない。
そのため買う側は、それをきちんと理解したうえでの判断が必要になる。
階数ごとに建物の数を調べたら、規制の高さを設定することで実際どれくらいの建物が既存不適格になるか調べる。ここで建物の一階の高さはすべて3mとする。
実際に、新たに既存不適格となる建物の数を調べたら、それを吟味することでどの程度の規制が妥当かを提案する。
表:第一種高度地区における階数別建物棟数

上の表から高さ規制を15m(5階)にすると新たに既存不適格となる建物は21棟となる。
高さ規制を12m(4階)にすると該当する建物は65棟となって、15mにした場合の3倍もの建物が該当することになってしまう。
また対象となる地区は、用途地域では第一種・第二種中高層住居専用地域にあたる。そのため用途地域との兼ね合いから高さを規制しすぎることは、用途地域の分類から妥当ではないと考えられる。
以上のことから、今以上に規制を厳しくする場合、高さ規制15m(5階)が妥当であると考える。
実際に、横須賀市では第一種・第二種中高層住居専用地域において、高さ規制15m,/b>が施行されていることからも、この提案は現実的であると判断できる。