5.1 イベントの調査・分析

学生街では年間を通してさまざまなイベントが行われている。我々はそれらのイベントを学生主催と自治会主催、また開放的か閉鎖的であるかという視点で4つに分類をした。学生主催かつ開放的イベントにはやどかり祭、学園祭、バスツアー、体育会の試合観戦などがあげられる。学生主催かつ閉鎖的イベントにはスポーツデー、就活関連、サークル活動。自治会主催かつ開放的イベントにはフリーマーケット、スポーツ大会、ボランティア。自治会主催かつ閉鎖的イベントにはごみ拾い、集会などである。また共同で行われているイベントとしてはつくば祭り、つくばマラソンなどがある。
我々はこれらのイベントの中から実地調査可能なものを抜粋し、イベント主催者へのヒアリング、参加者へのアンケートを行い、それらのイベントを学生と一般住民との交流が図られているかという視点で分析をおこなった。
 以下の図はイベント分析の図である。

 参加者の人数を参考に規模を割り出し、参加者へのアンケートにより学生と一般住民の交流の度合いを測り、ヒアリング、実地調査により一般住民の参加人数を調べ、一般参加人数を総参加人数で割ることで一般住民の参加者の割合をだした。

<野球部応援バスツアー>
開催日時5月27日(日)
主催 筑波大学硬式野球部(マネージャー7人、当日20人)
参加人数 80人程度
目的:野球部の応援

主催者は筑波大学硬式野球部で参加者は学生と学生街の一般住民。参加人数は83人程度、一般住民の参加率は1割程度である。このバスツアーはリーグ戦最終日でたくさんの応援で優勝へ導こうという目的で開かれていた。
コンビニ等へのポスターの貼り出しや部員からの直接の呼びかけなどにより、積極的に一般住民への広報活動を行っていたそうである。交流は主にバスの中でのレクリエーションで図られていた。メリットは広報活動が幅広いこと、参加者のリピート率が高いことなどで、デメリットは参加可能人数がバスの収容人数に限られることがあげられる。グラフは、規模は小さく、交流はバスの中のみなので低く、一般住民の参加は1割程度。
 また主催者側へのヒアリングでバスツアーへの評判は学生、地域共々好評である。



<スポーツデー>
開催日時:5月19日(土)・20日(日)
主催:スポーツデー実行委員会
参加人数:延べ6000人程度(学生のみ)
目的:学内スポーツイベント

スポーツデーは学内イベントである。そのため一般住民の参加はない。そのためグラフは規模だけが大きいものとなり、交流はまったくないという結果になった。
 スポーツデー実行委員側では毎年一般住民の参加について議題にあがるそうであるが、実行には至っていない。
 その理由として一般の方が参加して怪我をした場合、保険管理センターに連れて行くことができない。(保険管理センターの利用は筑波大の関係者に限られるため)運営側としてはメディカルセンターなどに連れて行くことは、事が大きくなりイベントの運営存続にも関わるため極力さけたいということである。
 筑波大学には医学専門学群もあり、けがへの対応という点では医学生の協力を募れば対応できそうである。
 イベントとしては誰もが気軽にスポーツを楽しめ、参加人数も多く充実したものとなっている。



<やどかり祭>

開催日時:5月26日(土)
主催:やどかり祭実行委員会
参加人数:2000人程度(一般住民1割程度)
目的:新入生や地域住民等の交流

やどかり祭の目的として公式ホームページを引用すると「日ごろお世話になっている地元の方々に楽しんでいただき、たくましい筑波生の姿を見てもらうために。新しく集まってきた新入生に、やどかり学生仲間になってもらうために。私たちは、この祭を大切に、華やかに作っています。」ということである。
さまざまな人が自由に参加できるが、個人個人が楽しむという感じであるため、出店やステージ出演にかかわっていない場合、深い交流は期待できないという結果になった。
グラフは、規模が大きく、一般住民の参加は少ない、交流はあまり期待できないという結果がえられた。



<柔道教室>

開催日時:毎週水・土曜日
主催:つくばユナイテッド・柔道部
参加人数:60人程度(幼・小学生)
目的:スポーツと地域の活性化

主催者はつくばユナイテッドで、筑波大学柔道部の学生が指導にあたっている。指導する学生は柔道部員全員が4人ずつローテーションで行っている。学生にとってもの指導の勉強になっているという。
参加対象者は県内の小学生でその他は相談により認めている。柔道教室は主に口コミで広まり参加募集時には大勢の募集があった。参加人数は現在60人くらいの幼稚園生、小学生。
目的はホームページを引用すると、「『筑波大学柔道部』が『つくばユナイテッド』と共に、筑波大学の柔道の発展と大学周辺地域における柔道の普及と技術向上の目標を達成するために設立しました。大学周辺地域の方々と、筑波大学柔道部との架け橋となるよう活動を行っていきます。」ということである。
柔道教室のグラフは、規模は小さいか、一般住民の参加率、交流度合いが非常に高い結果となった。しかし、参加者が全員子供という点が残念である。

 *補足としてつくばユナイテッドについて。つくばユナイテッドは@競技スポーツの発展A地域貢献の発展・拡充を目指している。
 つくばユナイテッドが活動するきっかけとなったのは、もともと格部活動が自主的に地域に対し活動を行っていた。大学が独立行政法人になるのを契機にそれらを統合し、各部活動ではなく筑波大として活動を行うようになったということである。
対象としているのは筑波大学の近隣に住む住民である。また県内の中高には、筑波大への受験の宣伝の意味もこめて積極的に活動をおこなっている。
活動資金は、サッカー部のスポンサーであるジョイフル本田から、サッカー部に対して寄付されたものの一部30万円程度をつくばユナイテッドのほうにまわしてもらっているそうである。また筑波大学貢献プロジェクトという組織から53万円の寄付金をうけとっている。
その資金の使い道としては、ほとんどの活動、スポーツ教室等はボランティアで行っているが、ただスポーツに関する外部の人を呼んで講演をしてもらう際に謝礼を払うことがある。またチラシなど広告費にお金が使われている。


<ゴミ拾い>

開催日時:月1回
主催:自治会
参加人数:20人程度
目的:地域の清掃

春日4丁目、天久保3丁目の自治会長さんへヒアリング調査を行った。現在、月に1度のごみ拾いを行っている。参加者はその地域に住む一般住民の方たち。参加人数は20人程度で目的として自分たちが学生のお手本になろうと学生が汚した町を清掃している。現在、ごみ拾いは学生の参加はないが、一般住民の人は学生に参加してマナーなどを見直してほしいと強く思っているそうである。グラフは規模は小さく、一般住民の参加は100パーセント、交流はまったくないという結果だった。


5.2 考察

お祭やスポーツイベントに参加するには以前から知り合いである必要がある。柔道教室やごみ拾いは定期的に開催されているものであり、密な交流がはかりやすいが、現状では学生の参加が難しいこれらのイベントを調査した結果、イベントとしては成功しているものもあるが、地域住民と学生の交流という観点からは、いまだ不十分である。そこで我々は、今あるイベントのよい部分を生かしつつ、新たに交流の場を設けることによって地域力の向上を提案することにした。